HSBC香港で、口座開設をするのが難しくなった・・・と昨年末から言われるようになって、もう作れない?と思っている方も多いように思われますが、そんなことはありません。
最近では、一挙に日本人の口座開設者が減ったためか、HSBC香港の行員は意外とハングリーな状態です。
本音と建て前という話しをよくしていますが、香港の銀行というのは、本音と建前がいつも交錯しまくっています。
建前は、特に昔から変わっているわけではなく、アンチマネーロンダリング規制の観点から、怪しい客の怪しい口座やお金の出入りは監視されています。
英語で会話ができない客も基本的にはお断りです。
住所証明は、英語または中国語の表記しか認められません。
しかし、本音は、新規で口座開設してくれる客が少なくなり、入れて貰えるお金が少なくなると、銀行も商売ですから困ります。
行員は常に、ノルマを課せられています。
それは、新規の口座開設数(アドバンス以上)や預金額や、投資や両替に回って手数料が発生する取引を受ける金額などでしょう。
なので、常に抜け道というものは存在していました。
特に、長年の付き合いがある担当者は、時に日本では考えられないほどの融通を利かしてくれることがあります。
しかし、今年になって絶望的になってしまったことは、「クレジットカードの発行」です。
今までであれば、口座開設から1年以上経った口座で、最低5万香港ドルの定期預金を担保にすれば、VSAゴールドカードやアドバンス・プラチナカードが発行されていたのですが、今年の4月以降は、「香港での収入証明」が無ければほぼ無理です。
100万香港ドル以上の預金を前提に、プレミア口座を開設した場合のみ、香港で収入を得ていない外国人でも、プレミアMASTERカードが発行される可能性はありますが、それ以外の条件ではほぼ不可能です。
既に、VISAゴールドやアドバンス・プラチナカードど保有しているひとは大事にされた方が良いでしょう。
あと、住所証明に関しては、新規で口座開設に臨まれるかたは、免許お持ちの方は必ず「国際運転免許証」を取得しておいて下さい。
今回、私の人生経験の中で初めて、この「英文の住所証明」が無いために友人の口座開設ができない事態に遭遇しました。
その友人は、何を思ったのか、日本の免許証も国際運転免許証も持ってこずに、戸籍謄本とそれを自分で翻訳したものを持ってきていました。
日本の運転免許証さえあれば何とかなったのですが、さすがにこれには参りました。
しかも住民票でもなく戸籍謄本で、翻訳に認証無しです。
住民票の場合でも、最近では一部の市町村を除いて、最初から英文で出してくれる場合があり、それなら問題ないのですが、翻訳は翻訳の内容を弁護士など資格のあるひとに認証して貰わなければなりません。
オフィシャルな認証のない住民票とその翻訳ではダメです。
ありとあらゆるコネを使って、なんとか口座開設を試みたのですが全滅でした。
香港のCPAを探して、CPAに無理矢理戸籍の翻訳を認証させようとしましたが、CPAはコピーの認証はできても翻訳文の認証はできないのです。
香港の知り合いの弁護士にも断られました。
最終的に、とある支店で特別なコネを使って、後日国際運転免許証のコピーをメールで送るという条件で、書類をホールドさせることに成功しました。
しかし、今度は、友人が日本に帰ってみると、日本の免許証が不手際で失効していることが判明し、国際運転免許証が手に入らない。
そして、急遽代わりに英文の住民票を取りに行ってもらったところ、今度はそこの市では英文の住所証明発行ができないとのこと。
仕方ないので、某大手都銀で、英文の残高証明を申請して貰うことに。
ところが、今度は申請したものの、英文の残高証明発行には時間がかかるということで、1週間経っても送られてこない。
督促しても、窓口では、書類発行の部署は別なのでいつになるかわからないとのこと。
いったい日本の銀行というのはどうなっているのでしょうか?
英文の残高証明ひとつ出すのに、窓口でお金を払って申請しなければならず、しかもいつ発行されるのか、今どのようになっているのかわからないとは・・・。
もし、私であればその場で暴れていたに違いありません。
支店長を呼び出して貰い、その場ですぐに発行しなければ、口座をすぐさま解約し、死ぬまでお宅の銀行には1円の金も預けないと伝えることでしょう。
友人は紳士なので、「窓口の女の子の対応は非常に誠実で好感が持てて、一生懸命やってくれたので仕方がない」というコメントでした???
その窓口の女の子に是非会ってみたいものです。
銀行においては、窓口の女の子が、いかに可愛い子で愛想良くマナーがしっかりした印象の良い人間であるかということがどれだけ重要なことを思い知らされました。
このように、住所証明に関しては、日本国内で、海外でオフィシャルに通用する英文の残高証明を入手する最も簡単な方法は、国際運転免許証であり、それ以外のものは非常に面倒です。
この事実だけでも、如何に日本という国のシステムがグローバルスタンダードにマッチしていないかということは明白です。
以前にお話ししたことがありますが、海外で投資を行う上で非常に重要な概念は、国籍と居住地という2つの概念です。
それぞれ、証明できるオフィシャルな書類が要求されます。
特に税法が国によって異なることから、この2つの明確な概念と、証明は重要なのです。
国籍はパスポートによって証明できますが、住所は英文で証明できるものがなければ、そのひとが実際にどこの居住者なのかを明確にできないのです。
いちど海外の銀行口座を保有すれば、その銀行が発行する英文のステイトメントが住所証明となります。
フレンズプロビデントや、ロイヤルロンドン(RL360)など海外の金融プロバイダーが発行するステイトメントが有効な場合もあります。
今後HSBC香港での口座開設を考えておられる方は、住所証明だけは甘く見ないで欲しいものです。
とりあえず国際運転免許証が鉄板です。
免許の無い人は、ひとまず自分の住んでいる市の市役所に問い合わせて、英文の住民票が出せるかどうかを確認して下さい。
もし、出して貰えないようであれば、自分が口座を持っている国内の都銀で、英文の残高証明を請求するしかないでしょう。
その場合には、記載事項と納期に注意することです。
記載事項には、以下のものが明記されているべきです。
1)ローマ字表記の(自分の)名前と住所&(可能ならパスポート番号)
2)銀行のレターヘッドとローマ字表記で支店名と住所
3)銀行印
4)担当者(行員)の名前と肩書き
5)担当者(行員)のサイン
納期については、2週間程度見ておいた方が良いでしょう。