そこで
庭師たちは
「ここまで勤めてきたんだから 、御嬢様 の誰かが 宮殿に嫁ぐ まで、辛抱した方が良い。」
と言っていて、 王子様の誕生日の日になり、 地主と奥様と3人の御嬢様たちは、着飾って出かけて行き、 夜遅くに戻って来たので、
出迎えた女中たちが
「今日は、おめでとうございました。楽しかったですか?」
と言うと
奥様が
「何を言っているんだ 。大事な娘を嫁がせるんだから、王子様だって、気を遣って、親の私たちを楽しませてくれなきゃ、結婚は、お断りだよ。」
と言って
12月になると 今度はクリスマス会の招待状が届いたので 、地主と奥様と3人の御嬢様は、 ますます 着飾って宮殿に出かけ、 夜遅くに戻って来たので、出迎えた女中たちが、
「 お帰りなさい。 楽しかったですか?」
と言うと
奥様が、地主に向かって
「 あなた 。王様ったら、 何度も、あなたの家には、御嬢様は、3人ですかって言うのよ。 だから、何度も、 3人ですと言ったけれど、 王様は、すぐに忘れちゃうから 、頭が心配だよ。」
と言ったので
地主が、笑いながら
「私は、王子様のお誕生日会の時に 、王子様から、何度も、同じことを聞かれたんだよ 。だから、私も、娘は、3人だけですと答えたよ。」
と言うと
奥様が大笑いしながら
「もしかしたら、 王子様は、どの娘にするのか、迷っているんだよ。 でも 王様もお后様も、私たちを見て、特別に嬉しそうだったから、 私は、もう、嫁入り道具の用意は、出来ていますと言いそうになってしまったよ。」
と言いました 。
すると
一番上の御嬢様が
「えっ、 嫌だ。私の嫁入り道具 なんだから、 夫と2人で外国で買って来るよ。 親だからといって、余計なことは、しないでよ。」
と言うと
2番目の御嬢様が
「お姉ちゃんたら、もう 、王子様と結婚する気なんだ 。でも悪いけど、王子様が選ぶのは、この私だよ。それに、私も、 嫁入り道具は、自分で決めるから、用意したものなんか、1つも持って行かないよ。」
と言ったので
3番目の御嬢様が
「 まったく、 2人とも、 図々しい ったら 、ありゃし ない。 王子が選ぶんだから、 1番若い私に決まっているんだよ。」
と言ったものだから 、地主の家の玄関で、ドレスを着たまま奥様と3人の御嬢様たちの口喧嘩が始まってしまい、 大騒ぎしている所に、宮殿から2人の家来が来て
「明日の午後 、王様と御后様と王子様が、こちらに伺うとのことで、食事は、済ませて伺うので、気遣いは要らないとのことです。」
と言ったので
地主が、慌てて奥から出て来て
「 それでは、王様に、お待ちしていますと伝え下さい。」
と言うと
その家来たちまでが
「 ここの御屋敷の御嬢様は、3人ですね。」
と言ったので、 家来たちが帰った後に、奥様が
「ほら、 御土産の数の心配をしているんだから、喧嘩するんじゃないよ」と言いました。
そして
翌日になって、朝食が済んだ時に、奥様が、地主に「もしかして 、カチューシャ も、ここの娘だと思っているんだろうか?」
と言うと
地主が
「王子様の嫁になる人なんだぞ 。でも心配なら 、物置小屋の外から、 つっかえ棒をして、出られないようにすればいいんだよ。」
と言ったので、奥様は、本当に、つっかえ棒をして、ネルダとカチューシャを閉じ込めてしまい、 間もなく 王様と御后様と王子様を乗せた 馬車が、たくさんの家来たちを従えて 地主の家に来たので、 庭が騒がしくなり 、ネルダが様子を見ようと物置小屋の戸を開けようとしたのですが、 戸が開かないので
「カチューシャ 。閉じ込められてしまったよ。」
と言うと
カチューシャが
「 誰かが開けてくるまで 、のんびりしましょう。」
と言ったので
ネルダも
「そうだね。それじゃあ、横になるから、 カチューシャもベッドに腰かけるといいよ。」
と言った時に、物置小屋の外で、何かが落ちる音がして 、戸が少し開いたので、 今度は、 カチューシャが顔を出すと、1人の男の人が、カチューシャに近づいて来て、
カチューシャ が
「あっ、あの時の」
と言って、ポケットから、きれいに畳んだ ハンカチを出すと、その男の人は、 カチューシャの手を取って
「 私が結婚したいのは、この人です。」
と言いました。
すると、家来たちが 拍手をしながら、 王子様と カチューシャを取り囲んだので、 地主が
「王様。 このカチューシャは、字は、 読めないし、 書くことも出来ないんですよ 。」
と言うと
王様が笑いながら
「相手の隣に居て、居心地が良いと感じたら、その相手とは、本当に、縁があったと言う事だよ。 幸せって、そう言うものだよ。」
と言ったので、
王様は、 カチューシャを抱いて 馬車に乗せると
カチューシャが
「 王子様 。私には大切な人が居るのです。私1人だけなら行けません。」
と言うと
王子様は、すぐに家来たちと 物置小屋に行き、ベッドで横になっているネルダを抱え来て
「 カチューシャ 。大事な人は、この人だね。」
と言ったので、
カチューシャはネルダの首に抱きつくと、ネルダが涙を流しながら
「 カチューシャ。 最高に うれしい おくりものだよ。有難う。」
と言うと
カチューシャも 涙を流しながら
「違うわ。ネルダさんと私に、いい運が向いてきたのよ。」
と言って、ネルダと カチューシャを乗せた 馬車が地主の家を出ようとした時に、 ネルダは、振り返って、 物置小屋の陰にいるカッパを見つけると
「私と カチューシャは、これからは、 宮殿で、優しい王様や御后様や 王子様と幸せに暮らします。 大奥様の恩恵は、一生忘れません。 長い間、有難うございました。」
と心の中で、つぶやくと、馬車は、ゆっくりゆっくり 地主の家を出て行き、 ネルダとカチューシャは、2度と、地主の家に来ることはありませんでした……………とさ 。
終わり
最後まで読んでくださり
ありがとうございました
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