ひとりで生きて99歳 | つましくても、ささやかな幸せ

つましくても、ささやかな幸せ

地位もお金も能力も無くても得られる、日々のささやかな幸せを記します。
内容は、映画・演劇・美術鑑賞&読書感想文&旅行記&趣味の手品&日々の出来事などです。

 

 筆者の三條三輪さんは、98歳まで耳鼻科の開業医と劇団の主催者で舞台女優という二束わらじを履いてきたというのは、驚くばかりである。専門職の医者とクリエイティブな演劇、どちらも難しいお仕事だ。99歳の現在も現役の舞台女優は続けていらっしゃる。筆者ご自身も気に入っている「魔女」というニックネームが、正にぴったりだ。筆者が長い間2つの難しいお仕事を続けてこられたのは、きっと医者も舞台女優もどちらも大好きなお仕事だったからだと思う。私は専門職ではないがフルタイムの仕事と、プロとは程遠いが手品の趣味がある。今の仕事も趣味の手品も大好きなので、ずっと長く続けていきたいと思っている。98歳まで続けるのは無理かもしれないが・・・。
 筆者は一生独身を貫いていらっしゃる。今ではさほど珍しくはないが、筆者の年代では独身であることへの風当たりは強かったと思う。それでも筆者は「ひとりで生きることは楽しい」と言い切っている。それも凄いことだ。独身には独身しか味わえない楽しみ方もあるし、結婚している人には家族がいることで感じる幸せもある。独身であっても結婚していても、それぞれの幸せや楽しみ方があると思う。
 筆者は独身だけれども、「好きな人がいなければ、生きる意味がない」というのも素敵だ。必ずしも恋愛イコール結婚ではないし、いろいろな「好き」があると思う。誰かに迷惑をかけなければ、いろいろな人を「好き」になることで、人生に彩を与えてくれるだろう。
 「行動を起こしてから人生が変わった」人のエピソードにも、大いに共感した。私は一大決心して地域の手品サークルに入会した。手品を始めて忙しくなった面もあるが、好きで熱中できる趣味ができて、日々の生活が充実して楽しくなった。 
 筆者と私の食べ物の嗜好で共通している点があるのも嬉しかった。筆者は牛肉が大好きで魚はあまり好きではないが、刺身のトロが好きだと記されている。私も全く同じだ。私は糖尿病の予備軍なので、焼き魚や煮魚も食べなければと思っていたが、あまり魚料理は好きになれない。筆者が語られているように、好きなものを食べること中心でもいいのかもしれない。
 筆者のストレス解消の仕方も参考になった。小さなことにくよくよせず、気分転換できる楽しいこと見つけるのがいいのかもしれない。
 最後に筆者が「戦争反対」を声高に語っていらっしゃることにも心を打たれた。私には戦争体験がないので、実感としてその悲惨さが分からないのかもしれないが、戦争だけは日本で起こしてほしくないし反対していきたい。
 この本を読み、「私も好きなことを大切に、無理せず楽しいことでストレスを発散させながら、100歳まで長生きしたい」と強く思い、勇気をいただいた。