クラウン 第15話 帰ってきた私の王子様 クラウン

『ピリオドだ!ピリオドが来た!!!』

小躍りして喜び バランスを崩すソル

それをしっかりと抱き止めたのは ヘヨンだった!

『会いたかったよ 皇女様!』

『……手を離して』

大喜びのソルだったのに 途端に怖い顔になる

それでも ヘヨンのニヤニヤは止まらない

鬼のような顔で ついて来て!というソルは

背を向けた途端 デレデレの表情に!

何なんだ?と ソルを引き止めるヘヨン

『2ヶ月も音信不通だったくせに!黙ってついて来て!』

『クールな女になって 別れも受け入れるんだろ』

『よく平気で言えるわね!

可愛いメールを受け取りながら放っておいたわけ?どこに行って来たの?!』

『ニューヨーク』

『空気が読めないの?抱き寄せるとかアクションすべきよ!』

許しを得て キスを!

1つのキスに 1つの質問

『ミニは誰に見せた?』

『もっと露出した?』

『本当に会いたかった』

キスの嵐!

仲直りの儀式は終了した

握り合った手を放さず 視線も逸らさず

なぜアメリカに行ったのかと問い詰めるソル

『キャサリン?それともメリー?ジェーン?ブリトニー?

整理するのに手間取ったみたいだけど 全部忘れて

私は過去なんて少しも気にしない クールな女だから』

それには答えず ヘヨンは 鉢植えが見事に育っていると褒めた

育ててみたら珊瑚樹だと分かり 花言葉は “明日は幸せに”

『“愛してる”じゃなくて不安だったわ』

『だからダメなんだ 僕なしでいられる?

明日から君のそばにいるって意味だった』

『毎日デートして運転も教えて ピアノもね

私から 半径50センチ以上離れたら 毒薬を与えるかもよ』

『「張禧嬪(チャンヒビン)」を見てるのか?』

ヘヨンは ニューヨークへ行った本当の目的を ソルに話さなかった

父親に会い 遺留分放棄の確約を取り付けてきたのだ

すべての書類を 弁護士に渡す

『パク・テジュンさんが遺留分を放棄したので 正式にあなたが筆頭相続人に』

『それじゃ 祖父の財産の半分が僕のものに?』

『それからこれは パク事務官の相続放棄書類です

ついに 会長の全財産が 社会へ還元されますね』

『それは 僕がサインした場合の話では?』

『え?』

『今 サインする気はありません』

次に ヘヨンはオ・ユンジュと会う

ずっとそばにいると言ったのに ヘヨンはさっそく約束を破っている

すぐ戻ると言いながら 外出したままのヘヨンに ソルは不満だった

リゾート事業への転職を強いられたユンジュは 発令と当時に辞表を出した

そんなユンジュに ヘヨンは ソルにも話していない父のことを報告する

父親は 永久に韓国に戻る意思はないと

『それがお祖父さんが与えた罰なら従うと

それから もうお前に会わない』

『……』

『もちろん 偶然に会うことはあるだろう

でもお前は 僕に会わなくても そうつらくないはず』

『あなたは… 時々ひどく残酷ね

知ってる?どうしてそんなふうに… もう行くわ! パパが待ってるの』

会いに行くと 父オ・ギテクは 知らない男性と一緒だった

笑顔で席を立ち ギテクは去って行く

どうやらこれは ギテクがセッティングした“お見合い”だ

初対面のユンジュに 男性は遠慮がなかった

その経歴とスキャンダルを口にする

『それがあなたと何の関係が?!』

言い返したのは ユンジュではなく 突然現れたナム・ジョンウだった

ジョンウは ユンジュの手を取り 外に連れ出した

激しくプライドを傷つけられたユンジュは その手を振りほどく!

『一緒に行く』

『理由がない!』

『じゃ 理由なしで』

『なぜ来たの?どうして?!』

『会いたくて』

『……なぜ会いたいの?

愛してた人を捨てて 婚約者にフラれた女が

どんな顔をしているか気になったから?!』

『ユンジュ』

『呼ばないで 何もなかったみたいに』

『そうだな 何もなかったとは とても言えない

だからやり直そう そう言いに来た』

『……ジョンウさん どうかしてる』

『知ってるだろ 君は 僕といる時がいちばん素敵だ』

泣くつもりがなくても ユンジュの目から涙がこぼれる

ジョンウは 静かに抱きしめた

同じ時 皇女イ・ソルは オ・ギテクに会っていた

娘であるオ・ユンジュを解雇したという報告と

皇室財団の理事長の任に就いてほしいという依頼だった

皇室再建の夢を叶えられなかったパク・ドンジェ会長

その悲願を受け継ぐことが出来るのは オ・ギテクしかいないと…

『断るんですか?会長に言いつけますよ』

『皇女様…』

皇室関連のニュースを伝えるユ・ギグァン記者

☡ 故パク会長の筆頭相続人 パク・テジュン氏が相続権を放棄し

パク・ヘヨン氏が 筆頭相続人になりました

パク会長の財産の半分が 国民投票の結果によって

パク・ヘヨン氏の個人財産になるか 社会に還元されます

パク氏は会見で 皇室再建に反対したことを謝罪しました

しかし最近 不動産と美術品を現金に換えるなど… ☡

まるで 財産を独り占めにしたいような報道の内容になっている

ユ・ギグァン記者の解説は 全面的にヘヨンを否定するもので

還元すればしたで 税金逃れであると攻撃している

ナム・ジョンウは 報道されたヘヨンの行動が真実か聞きに来た
ヘヨンは真面目に答えようとせず 次第に苛立つジョンウ

『僕がどうすると思う?予想してみて 容易じゃない 悩んでるんだ

なぜ他人の財産に興味があるんだ?』

何を言ってるのか さっぱり分からない

『自分の金を取られるようで じれったいんだろ?』

『……わざと?』

ようやく ヘヨンのやろうとしていることが分かって来て 笑い出すジョンウ
ヘヨンは 自分が当然相続を放棄する… のではなく

世間を翻弄して関心を集め 投票率を叩き出そうとしているのだ

『こうでもしなきゃ 皆 投票しない

大企業の金を奪う楽しみを与えたんだ 何事にも悪役は要る』

『そして何事にも 美女が絡んでる』

『そのとおり』

続くインタビュー取材でも ヘヨンは徹底的に記者をはぐらかす

これでは 記事を書けば確実に波紋を呼びそうだと 困惑する記者

『祖父が大企業のトップなので 噂が立つのは慣れてます

ああ 今は… 僕が企業のトップですかね? ハハハ…』

たちまちネットに流れ出す記事に ソルは驚くばかり!
皇女になれと応援していたはずのヘヨンが どうして変わってしまったのか

その ヘヨンが呼んでいると伝えに来た警護員ポンジェ

『彼を出国禁止にして!言動が怪しいわ!』

『私にそんな権限はありません』

『久しぶりにカッコよく命じたのに!出国禁止がそんなに難しいの?!

じゃあ 張りついて監視して 会話も録音して!』

『もっと難しいかと…』

『まったく…! こうなったら皇室は自分で守ります!!!』

ヘヨンは 部屋でのん気に携帯ゲームに熱中している

その態度に激怒するソル!

『インタビューで私を怖がらせる気?!』

『僕は今 裕福だ 2人で外国に逃げよう』

『宮殿を守らなきゃ!私はこの国の皇女よ!』

『国民が賛成して 僕が財産を還元したらな』

『な…何ですって?!』

『機嫌を取れ』

あれこれと注文をして ソルが慌てたり怒るのを楽しむヘヨン

もううんざり!と ソルは “見合いをする!” と言って財団の会議に行く

還元を受けずに 皇室財団を運営しなくては!

ソルは 財団の定例会議で 新理事長オ・ギテクを紹介した

今後 皇室財団の存在意義を確立していくとの 見解を示し

たとえ皇室が再建されなくても 一生 活動を続けていくという

そんなソルに 理事を代表してナム・ジョンウが質問する

『会長の財産が還元されなくても 続けるんですか?

パクさんの様子では 還元されないかも』

『はい』

ジョンウは ヘヨンの真意を知りながら ソルに聞いてみたかったのだ

『予算がないのに どうするんです?』

『問題ですね …こうしてみては?

皆さんは 低予算で存在意義を確立し

私は 皇女風のベッドなどのCMに挑戦して 収入を得ます』

笑い出す理事たち

ジョンウも 満足そうに微笑んだ

『その覚悟なら お手伝いします』

さっきから しつこく電話をかけてくるヘヨン

ソルは 早々に会議を終わらせ 折り返した

渋々会うと ヘヨンは“見合い”が気になって仕方がない

『見合いしたのか?』

『そう言ったでしょ 感じが良かったから また会ってみる(定例会だから)』

『相手の職業は?そいつに笑顔を?』

『普段通りよ 私はいつも笑顔だから』

『目を見て話した?』

『鼻を見て話したら変でしょ?』

『僕がいるのに見合い?!!!』

『私はもう 昔のイ・ソルじゃないわ!』

もう埒が明かないと 帰ろうとするソルを引き止め

ヘヨンは 約束していた運転を教えると言い出す

これが 新たないさかいの始まりになった

『やってられない!まっすぐ走れないのか?!』

『走ってるじゃない!』

『斜めに走ってるぞ!斜めに!何キロだ? 20キロ…アクセルを踏め!』

『これ以上踏めない!』

『後ろと横も見ろ!ミラーは飾りじゃないんだぞ!』

『そんな余裕ない!あなたが見てよ暇なんだから!』

『運転してるのは君だろ!本当にイライラする!!!

ハンドルにしがみついてないで離れろ!』

『どこ触ってるの!』

『触ってない… 濡れ衣だ しがみついてると視野が狭くなる』

『さっき“しっかり握れ”と!』

『もういい!止めろ!』

路肩に停車して 車を降りた2人は さらにいがみ合う!

『もう運転なんかしない!教え方が下手!』

『教えようがない!』

『もう結構よ! “下手過ぎて”ですって?!』

『スネたのか? 今のは取り消す 罰を受けるよ…』

『どんな罰?!』

ふいにキスするヘヨン!

『これが罰?! “清く正しい31年”? 遊び人だったのね!』

『やっと分かった?』

今度は手を握る

『放して!』

『明日は忙しくて握れない 大統領に会う』

ヘヨンは 大統領に協力を求めた

『祖父は 大統領を後援しました

それを美談にするか 捜査資料にするか 選択を』

『それは脅しか?』

『単なる依頼です 言い方が悪くてすみません』

『皇室再建は国民の意思に従う』

『感謝します』

『君には魅力がある 祖父のためか 信念のためか 女性のためか知らん

莫大な財産を放棄するとは こんなに愚かで勇敢な男はいない

私の味方ではなく 敵なのが残念だ』

“太陽サンサンペンション”では

母親キム・ダボクが 大事そうに娘の記事の額縁を拭いている

“高齢者センターを訪れた皇女”

“小学校で1日教師をしたイ・ソル皇女”

“口蹄疫の拡散 皇女が韓国牛の広報”

『来週は投票だけど 娘は皇女になれるわよね?

こうしちゃいられない!断食祈祷でもしなきゃ!』

いよいよ投票の2日前

皇女イ・ソルは ユ・ギグァン記者のインタビューを受けた

『投票前 最後の取材では?』

『そうかもしれませんし 結果次第では人生最後のインタビューかも』

ギグァンの質問に ソルは 皇女として誠意を持って答えた

『皇女になったら まず何をしたいですか?』

『まず最初に 誰かから祝ってもらいたいです』

『特定の方にですか?』

『不特定ではありません』

『答え慣れてきましたね』

『特定の人物のおかげです』

『ハハハ… かわされました』

皇室財団に呼ばれる皇女イ・ソル

皆が見守る中 パク・ヘヨンは “相続放棄念書”にサインした

続いて “財産還元証書”にもサインし 驚いているソルにウインクした

理事長オ・ギテクが宣言する

『これで パク・ドンジェ会長の宿願が叶いました

全財産は皇室財団に帰属し 財団によって社会に還元されます』

拍手が沸き起こる

臨時会議が終わり ナム・ジョンウは ヘヨンの決断を称賛する

ソルはまだ どう声をかけていいか分からない

『有効に使ってくれ

この件は 祖父の夢であり重荷でもあったから

投票が終わるまで秘密にしておこう

還元したと知られたら賛成票が入らない』

会う人がいると言い ジョンウは帰って行った

2人きりになり ソルは 感謝の言葉を口にする

『ありがとう』

『お礼は要らない

僕の物じゃない財産に欲を出してただけだ

機会をありがとう 祖父の意志通り 国民のために使ってくれ』

それでも笑顔にならないソルに ヘヨンは…

『外交官は高給取りだ 祖父から株ももらってる

金持ちはそう簡単に滅びない

僕が貧しくなったと思って逃げるなよ』

ようやく苦笑するソル

『僕にご褒美はないのか?ん?』

『どんなご褒美?』

ヘヨンは 平凡な街中のデートを望んだ

他愛ない会話をしながら 手を繋いでブラブラ歩く

『一般人としてデートできるのは最後だ』

『皆 賛成票を入れてくれるかしら』

『分からないが 大切なのは… 結果はともかく 君が皇女だという事実だ』

『宮殿を追い出されても そばにいてくれるわね?』

『いや モナコのお姫様と付き合う』

ソルの質問をはぐらかしながら ヘヨンはデートを楽しんだ

食べ歩きに ウインドーショッピング 露店でお揃いのキーホルダーを買う

ゲームの“モグラたたき”に興じる

やがて 皇女だと気づかれ始め 2人は手を繋いで走り出す

笑いながら街を駆け抜けると 街頭の大型スクリーンに2人の姿が!

“スキャンダルに世論の反感”

“相手はテハンのパク・ヘヨン氏”

それは これまでの2人の映像をつなぎ合せたものだった

☡ イ・ソル皇女はインタビューで

“特定の人物に祝ってもらいたい”と語っていました

一部では 皇室再建は脱税の隠れ蓑だとし

検察に捜査を求める動きもあります

このスキャンダルは 明日の投票に影響を与えると予想されます

MBSニュース ユ・ギグァンでした ☡

ユ・ギグァンは 見事にソルのインタビューを 悪意に書き換えた

慌てて宮殿に戻った2人を ナム・ジョンウが軽率すぎると諌めた

今さら否定の会見を開いても間に合わない

『むやみに恋人説を否定すると 悪い結果を招くかも』

『彼女の前で何を言うんだ!』

『いいえ この件は自分のやり方で解決します』

ソルは 国民へ向けたメッセージを録画する

動画は 直ちにネット配信された

<こんにちは 国民の皆様 イ・ソルです

ニュースに驚かれたと思います 結論から申し上げます

私は パク・ヘヨンさんを愛しています

皇室を巡る疑惑が報道されたので 私を信じない方もいるかと

でも 変わらない事実があります

私が パク・ヘヨンさんを愛していることです>

☡ 皇室再建に関する投票が行われています

午前6時から 多数の有権者が訪れています

先日の選挙の時より 人々の熱気が感じられ

皇室への関心の高さが分かります

皇室が作られる契機となるか 一時のハプニングで終わるか

国民の手で決まります ☡

“開票作業は順調”

☡ 国民投票の開票場です

この開票場では 午後6時10分頃から開票が始まりました

6時に投票が終了した後 投票箱が開票場に運ばれ

立会人が見守る中 事務官が開票作業を開始しました

この地域の投票率は 全国平均より低い… ☡

宮殿の職員たちと テレビ画面にくぎ付けになっているソルを

ヘヨンは 部屋の外へ連れ出した

リラックスさせようと 深呼吸を強要する

ソルに 目を閉じて深呼吸させ 自分は携帯で投票結果を見る

気づいたソルは 怒って携帯を見ようとする!

『終わったの?』

『…終わったよ』

その時 部屋から ナム・ジョンウと職員たちが出て来た!

『どうでした?』

『…テレビで確かめますか?』


2年後


大学の構内を 自転車で疾走するイ・ソルの姿があった



☝よろしければクリックお願いします