第3話 ![]()
『すみません 成均館(ソンギュングァン)の新榜礼(シンバンネ)でして』
『学生の方です』
『成均館(ソンギュングァン)の学生?!
貴様!!!直ちに大司成(テサソン)を呼び お前を追い出させるぞ!!!』
『申し訳ありません ご無礼をお許しください』
面目が潰れた兵曹判書(ピョンジョパンソ)ハ・ウギュは激怒している
キム・ユンシクは ウギュの隣に座っている妓生(キーセン)に目をやる
チョゴリを脱がされ 肌をあらわにしている妓生(キーセン)に
自分のチョゴリをかけ 兵曹判書(ピョンジョパンソ)の前に正座する
『どこのどなたかは存じませんが… この女性は連れてい行きます』
『何?!』
相手が誰か知っていながら ユンシクは空々しく言い切った
『兵曹判書(ピョンジョパンソ)を父に持つ掌議(チャンイ)が
父親の権力を笠に着て 好き放題なのです 連れてこなければ
成均館(ソンギュングァン)から追い出し 殴打すると脅されました
追い出されるのはともかく 殴られたくないのです
体が健康でないと 新榜礼(シンバンネ)の悪習を 王様に訴えられません』
むき出しになった部屋の 四方から他の客が見ている
ユンシクの言葉に ひと言も言い返せないハ・ウギュだった
そっと抱き起こし 妓生(キーセン)を連れ出すユンシク
礼を述べるチョソンのことなど目に入ってはいない様子のユンシク
『最低な奴!あんな官僚たちが国をダメにしてるんだ!!!
あいつら まとめて漢江(ハンガン)に…!』
『チョソンさんに会えたのに ここで夜を明かす気ですか?』
『え?チョソン?!!!』
憤慨して妓房(キバン)を出るハ・ウギュは キム・ユンシクの顔に見覚えがある
しかし どこで会ったのかまったく思い出せないでいた
一方イ・ソンジュンは…
“花中君子は蓮の花 その中で最も満開の芙蓉花(プヨンファ)を折れ”
『芙蓉花(プヨンファ)も蓮の花を指すが…最も立派な蓮の花?』
この謎を解いたのは ソンジュンの召使いスンドルだった
ソンジュンが目指すのは 掌議(チャンイ)ハ・インスの妹ハ・ヒョウン
『何と無礼な!儒教の道徳を知る者が女をたぶらかすとは!
こう言えばいいんですよね?』
先回りしたインスの取り巻きビョンチュンが ヒョウンに入れ知恵をしている
謎を解き 妹に会いに屋敷に忍び込むソンジュンを捕らえようと…!
しかし いくら待ってもソンジュンは現れず 取り巻きたちは厠(かわや)へ行く
我が儘なヒョウンは怒りだし 部屋に閉じこもってしまう
そこへようやく現れたソンジュン
ヒョウンは その凛々しい顔立ちにうっとりと見惚れる
酒場で飲んでいるハ・インス
女林(ヨリム)ク・ヨンハは インスの落ち着かない心境を見抜くが…
『チョソンは自分の心が動かぬ限り
男が命を差し出すとしても びくともしない女だ 私には分かる』
『だから奴をチョソンに送った 新榜礼(シンバンネ)の罰則で
キム・ユンシクの上衣をどうしても脱がせたかったから』
ユンシクは チョソンの部屋に通されながら 願いを切り出さない
そればかりか 何も話さずに帰ろうとする
『私の下着がなければ失格でしょうに 大丈夫ですか?』
『…自分で何とかする 私的な事情で女性を辱めるのは 男らしくない』
『そのお心はいただきます あなたは下着だけお持ち帰りに』
帰ろうとしたユンシクは チョソンの申し出に振り向いた
『心を寄せた男性に差し上げる 私の気持ちです』
『恥ずべき物ではない 思い出として大切にしましょう』
ユンシクは チョソンが差し出した下着を広げ墨絵を描く
『では私は お礼に詩を詠みます』
ハ・インスの屋敷…
厠(かわや)から戻ったビョンチュンたちは ヒョウンの部屋に男の影を見る
イ・ソンジュンめ!と部屋に飛び込むが そこには下着姿のヒョウンが…!
『いい方だと思ったのに!今日のことは全部兄に報告しますから!』
『…それでは掌議(チャンイ)の命令通り引き揚げます』
ビョンチュンたちが去り ソンジュンは屏風の陰から出てきた
『ご無礼をお許しください ふさわしくないことをさせました
あの者たちに引き渡したくなかったのです』
ビョンチュンの言うがままに ソンジュンを陥れるつもりだったヒョウンは
どうやら イ・ソンジュンにひと目惚れしてしまったようだ
帰宅途中のハ・ウギュに 矢を射る者があった
黒装束のその賊は 夜の闇に逃げていく
軒をつたい 屋根を飛び 追跡の手をかわしていく
その者が降らせた無数の赤紙を 帰る途中のユンシクが拾う
『金縢之詞(クムドゥンジサ)?』
赤紙の文字を読んだ途端 黒装束の賊が目の前に…!
驚きのあまり声も出ないユンシク
一瞬の後 ふたたび屋根伝いに逃げていく怪しい影
その影は泮村(パンチョン)に向かっていく
成均館(ソンギュングァン)のある泮村(パンチョン)に 官軍は入れないのだ
自分に向かって矢を放った者が 成均館(ソンギュングァン)に逃げ込んだ
兵曹判書(ピョンジョパンソ)ハ・ウギュは怒り狂う
またこの情報は 正祖(チョンジョ)の耳にも入る
『紅壁書(ホンビョクソ)は成均館(ソンギュングァン)と関連のある者か?』
『今はまだ分かりません
泮村(パンチョン)は 官軍が統制できぬ治外法権の地域です
もしかすると 官軍を避けるために…』
『ふむ… 隠れ場所にしているだけかもな 面白くなってきた
金縢之詞(クムドゥンジサ)を捜す紅壁書(ホンビョクソ)か』
赤紙に書かれた金縢之詞(クムドゥンジサ)の文字に憤るイ・ジョンムは
ハ・ウギュを前に声を荒げた
『処理したはずだろう!今さらなぜだ!!!』
『金縢之詞(クムドゥンジサ)はないと左議政(チャイジョン)もご存じのはず!』
『王が動く前に 紅壁書(ホンビョクソ)を捕らえるのだ!!!
我々が先に掌握せねばならない
下手をしたら 我ら老論(ノロン)の百年の苦労が水の泡だ!』
怪しい影に怯えながら歩いているユンシク
その肩を後ろから叩く者が…!
驚きのあまり尻餅をついたユンシクを助け起こすソンジュン
『密命は解けたんだね』
『時間までに戻らなければ その大事な収穫物も無駄になる』
成均館(ソンギュングァン)に戻った新入生たちは
それぞれの密命の収穫物を披露する
キム・ユンシクは 掌議(チャンイ)ハ・インスの前に収穫物を差し出す
チョソンの下着には チョソンの詩が…
“短い夜は長い夜より劣ると 誰が申しましょう
短くとも甘美な夜 どんな長い夜にも代えられませぬ”
『もう一度聞こう キム・ユンシク 本当か? チョソンがお前に手渡したのか?』
『そうです』
みるみる表情が曇るハ・インス
ク・ヨンハが面白そうに結論を切り出す
『最優秀者は決まりだな チョソンと床を共にしたこいつ以外にいないだろ?
キム・ユンシクを 成均館(ソンギュングァン)の学生に命じよう』
次に収穫物を差し出すのはイ・ソンジュン
しかしソンジュンは 遂行するどころか密命を解けなかったと答える
ク・ヨンハさえ 怪訝な表情になる
『遂行しなかったのではなく?花中君子が蓮の花とは分かるはず
北村(プクチョン)の兵曹判書(ピョンジョパンソ)宅には?』
『行ってません』
ハ・インスの取り巻きが イ・ソンジュンを目撃しており
キム・ユンシクも 北村(プクチョン)から戻るソンジュンと会っている
それでもソンジュンは 罰を承知で前言を翻さなかった
子供たちが 橋から川に向かって小便をしている
今にも上衣をはぎ取られ その橋から放り出されようとするソンジュン
その時 息を飲んで見守る学生たちの中から声が…!
『待った!』
皆の注目が ソンジュンからユンシクに移る
ユンシクは 最優秀者に与えられる褒美として ソンジュンの放免を要求する
『奴のために権利を使うと?』
『……』
『私には官職の推薦権がある』
『知ってます』
『お前が望むなら 私は官職も与えられる それでも奴のために使うか?』
『そうします』
イ・ソンジュンとハ・インスの間に 背筋を伸ばして発つキム・ユンシク
ク・ヨンハは やってられない という表情で笑い出す
いけ好かないイ・ソンジュンの哀れな姿が見られず 興ざめして帰る学生たち
ソンジュンがユンシクを呼び止めた
『感謝の言葉ならいらない
人助けじゃなく原則を守っただけだ 借りは返したい』
『余計な真似を』
『え?』
『新榜礼(シンバンネ)を見直そうと言うつもりだった 僕も借りを返したい
願いがあれば言ってくれ 何でも最善を尽くす』
茫然とするユンシクを置いて歩いて行くソンジュン
その背中に声をかけたのはク・ヨンハ
『なるほど 新榜礼(シンバンネ)の規則など 守る必要がないから
兵曹判書(ピョンジョパンソ)宅に行ってないと嘘をついたのか?
“小便にまみれようとも 幼稚な遊びには乗らない”
そんな自尊心や意地のため?それとも反抗心?』
『……』
『だから新榜礼(シンバンネ)をやるんだ
高貴な家に生まれ 頭を下げたことのない生意気な奴らに
思い知らせるためだ なぜなら…成均館(ソンギュングァン)だから
ここでは父親も財産も関係ない 偉そうに威張るのはやめろと…
後輩に教えるためだ だからあまり憎らしく思うな ん?』
言うだけ言って立ち去ろうとするヨンハにソンジュンが…
『では先輩は 新榜礼(シンバンネ)を経ていませんね
誰よりも派手な身なりでおられる
絹の衣で父親の財力を誇示しています』
『……ハハ… いやあ 賢いな 王様の見る目は確かだ』
『芙蓉花(プヨンファ)は 貞淑な女性でした 巻き込みたくなかったのです
先輩方を侮ったわけではありません』
『…入学おめでとうイ・ソンジュン!』
部屋に着いたユンシクは 部屋の前に置かれた靴を見て
入るのをためらっている
結局は自分より先に部屋に入ったイ・ソンジュン
この部屋でこれから寝泊まりしなければならないと思うと気が重かった
しかし 入るしかない…!
先輩学生たちは イ・ソンジュンが東斎(トンジェ)に部屋割りされていると知り
党派で分かれているはずなのにと憤る
『老論(ノロン)は西斎(ソジェ)で
少論(ソロン)と南人(ナミン)は東斎(トンジェ)だ!
今まで皆そうしてきた!』
『われら少論(ソロン)を見くびってる!』
『許可なく東斎(トンジェ)に入って来るとは!』
教授たちの間でも議論がなされていた
大司成(テサソン)が 率先してイ・ソンジュンを東斎(トンジェ)に移すという
もっとも恐れているのは こうしたことから始まる党派争いだった
博士(パクサ)チャン・ヤギョンは…
『おそらく うまくいかないでしょう』
『なぜだ!』
『イ・ソンジュンは今が盛りです 自分の信念を曲げない年頃です
大司成(テサソン)様も よくご存じでは?』
ハ・インスの取り巻きは ク・ヨンハの部屋に来て相談する
ヨンハは落ち着き払って ソンジュンもユンシクも どうせ長くもたないと言う
『お前も落ちたもんだ 近頃 何も成功してない』
『そうだな 今回は俺じゃないから平気』
『誰?!』
『俺たちには秘密兵器がある 泮宮(パングゥ)の暴れ馬 桀鰲(コロ)だ』
※泮宮(パングゥ):成均館(ソンギュングァン)の別称
『奴ならできるかな?』
『桀鰲(コロ)が同室生を追い出さなかったことは?
老論(ノロン)と仲良くしてる姿を見たことあるか?
最初で最後の夜になる あの2人が同室で寝るのはな』
その2人は…
服を着替えて寝る準備を整えるイ・ソンジュン
女であるキム・ユンシクは そちらを向くことすらできない
『脱ぐんだ』
『何だって?!!! あ… ぼ… 僕が服を着てても関係ないだろ!』
『着替えないと消灯できない』
『勝手にやるから気にせず寝て!』
『灯りも消さずに寝ろと?』
うるさいとばかりに 着替えもせずに横になるユンシク
その寝姿に向かい ソンジュンは理路整然と説教する
『“身なりを整えるのが礼儀の基本” 「小学」にあるだろ
清斎(チョンジェ)は礼を学び実践する場だ
だから居館修学(コガンスハク)が命じられ…』
『分かったから黙って!』
※小学:中国宋代の教科書
枕を持って出て行こうとすると 扉が開き 誰かが入ってくる
ムスッとした顔で 2人を交互に睨みつけ壁際に追い込んでいく
3人になった部屋を 取り囲むように学生たちが集まって来た
桀鰲(コロ)と呼ばれるその学生によって 追い出されるか残れるか?
賭けをして楽しんでいるのだった
『失せろ!!!』
中から怒鳴り声がし いよいよ期待する学生たち
2人の荷物をすべて投げ飛ばし 桀鰲(コロ)は大の字に寝転んだ
『無礼なやり方からして… 桀鰲(コロ)先輩ですか? ご挨拶を!』
『いらねえよ もう会うこともないから』
キム・ユンシクは それどころではなかった
ユニの姿でいる時に ゴロツキに襲われ それを助けてくれた相手が
今目の前にいる桀鰲(コロ)なのだ…!
女性の姿を見られているのに 一緒の部屋で隠し通せるだろうか…?!!!
この場は出て行くしかないと 扉の方へ逃げるように移動するユンシク
『おい お前 なぜここに?』
枕を落とす
『気は確かか』
『……』
『どこだと思ってる』
『それがその 僕は…』
桀鰲(コロ)は起き上がり ユンシクを突き飛ばし ソンジュンの前へ…!
『どうして老論(ノロン)がいるんだ』
『……』
『聞いてんだろ なんでこの部屋にいるんだ!』
『東斎(トンジェ)の中二房(チュンイバン)に割り当てられたからです
党派ではなく 原則に従っただけ』
『そもそも成均館(ソンギュングァン)を…
いや 朝鮮を党派争いで引き裂いたのは老論(ノロン)だろ?』
『この部屋を党派争いで裂いているのは先輩です
では先輩も老論(ノロン)ですか?』
『なに?!』
『僕は原則に従い就寝します』
さっさと横になってしまったイ・ソンジュンに
桀鰲(コロ)は茫然とする
矛先は自分に来る!とユンシクは 再び出て行こうと…!
ソンジュンの横に寝転んだ桀鰲(コロ)が 急に笑い出す
『俺が老論(ノロン)だと?!アッハハ…史上最低のけなし文句だ!』
『で…出て行かないんですか?では僕は 着替えに外へ…』
桀鰲(コロ)はユンシクを蹴飛ばし 真ん中に…
『俺に老論(ノロン)の隣で寝ろと? お前の場所はそこだ 永遠に』
そして灯りが消され 結局は誰も追い出されず
賭けはク・ヨンハの1人勝ちに終わる
『これから この成均館(ソンギュングァン)も楽しくなりそうだ』
どちらを向いても男という状況で ユンシクは眠れない夜を過ごす
しかし朝になってみれば…
早くから起きて小机に向かうソンジュン
大の字になって爆睡している桀鰲(コロ)とユンシクだった
一斉に外に出る学生たち
下働きが運んだ それぞれのタライに水が注ぎこまれ
整然と並び 顔を洗い 足を洗う
ひそひそと囁きの声が ソンジュンの耳にも入る
(イ・ソンジュンだ)
(左議政(チャイジョン)の息子か)
(老論(ノロン)が東斎(トンジェ)だなんて)
(なぜわざわざ来たんだ 西斎(ソジェ)に行くべきだろう)
(どういうつもりだ)
いよいよ初日を迎える新入生たちが 行進していく
その横で 心得を叫ぶ者が…
『服装の乱れは5点減点!身なりを整えるのも修練の一環!
全員心がけるように!いいな?
帰宅できるのは毎月8日と23日のみ!
試験は毎月1日の口述試験と!
月末に王がご質問なさる講読試験が待っている!』
※講読:書物を読み その内容を述べること
『成均館(ソンギュングァン)で馬に乗ったら減点15点!
門限を破れば減点10点!理由もなく無断欠席したら減点5点!
何よりも!!!儒教の教えに背く罪を犯した場合は!
追放の上 青衿録永則(チョングムノクヨンサク)だ!』
※青衿録永則(チョングムノクヨンサク):学生名簿から削除
『教官を装う学生は減点何点だ?』
『…お?チャンイクか?』
さっきから偉そうに叫んでいるのは ただの学生
しかも 博士(パクサ)であるユ・チャンイクと同期生のようだ
『アン・ドゥヒョン 自分の場所に戻れ 教官のフリをした君は10点減点だ』
『学堂の同期生にそう冷たくするなよ』
『ここは成均館(ソンギュングァン)お前は弟子で私は師匠だ!』
食堂では1人1人の膳が用意され そのご馳走に感動するユンシク
女林(ヨリム)ク・ヨンハが席を立ち ユンシクの前に座った
『これじゃ栄養にもならないが 円点(ウォンジョム)のためだからな』
『円点(ウォンジョム)とは?』
『大科(テグァ)を受けるための内申点
朝晩食べたら1点 300点で受験資格が得られる』
『そうですか 大科(テグァ)の受験資格か…』
『もちろん大科(テグァ)を受けなきゃな お前は並みじゃない
王様が認めた人材で チョソンが認めた一物を持つ大物(テムル)だ!』
こうして キム・ユンシクのあだ名は“大物(テムル)”となる
皆にからわれて肩を落としていると また後ろからイ・ソンジュンが…
『たいしたあだ名だな』
『やめてくれ 僕は認めない!』
しかし 大物(テムル)!と呼ばれると すぐに返事を返してしまうユンシク
ソンジュンはあざ笑うようにして さっさと行ってしまう
老論(ノロン)の長の息子でありながら 党派にこだわらないというソンジュンを
掌議(チャンイ)ハ・インスは許さない
また そのソンジュンをかばったユンシクも同じことだった
インスの取り巻きが ユンシクを取り囲む
ソンジュンに取り入って官職に就くつもりかと責め立てる
チョソンが認めた一物を拝もうと ユンシクの服を脱がしにかかる…!
そこへ ハ・インスが現れ 取り巻きたちを諌めた
『すまなかった 私が代わりに詫びよう だが不満に思うな
後輩に教えを施そうという 先輩たちの配慮なのだ
お前の出方次第で この成均館(ソンギュングァン)は極楽にも地獄にもなる
誰のもとにつくべきか 一度よく考えてみるがいい 変わり者の王が
法と手順を無視し 成均館(ソンギュングァン)に入れたほどの奴だ
その優秀な頭で考えろ 見張っているぞ お前の声や行く先 息遣いまで全て
ゆえにキム・ユンシク これ以上私を怒らせるな
この私の力を示すため その小さな体を傷つけるなど したくないからな』
書庫にいるイ・ソンジュンの前に キム・ユンシクは無言で立つ
本意で成均館(ソンギュングァン)を受験したわけではない
しかし今はもう 家族のために追い出されるわけにはいかないユンシクだった
『あの約束は有効かな?』
『……』
『新榜礼(シンバンネ)で僕に借りがあるだろ 願いを聞くって約束だ』
『約束したことは何であれ守る』
『…西斎(ソジェ)に移って!約束は守ると信じてる
イ・ソンジュン!西斎(ソジェ)に移って』

☝よろしければクリックお願いします

