日本学生支援機構が、「保証人」に全額請求。。

●日本学生支援機構側は、保証人には分別の利益があるものの、

それは保証人自身が主張すべきであり、全額請求することは問題ないと主張

●札幌高裁は、いずれも保証人の側に立ち、

機構に対して過払い分と利子の計約200万円を保証人らに支払うよう命じた。

。。保証人連帯保証人の違い。。

 

https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20220522-00297198

奨学金の返済が「半額」に? 

日本学生支援機構の敗訴で「過払い金」の発生も

記事抜粋

 今月19日、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金を利用している人にとって、

極めて重要な裁判判決が言い渡された。

それは日本学生支援機構が、奨学金の返済にあたって本来の返済額よりも

多い金額を受け取っており、過払い分を返金すべきという内容だった。

しかも、裁判所は、日本学生支援機構は本来受け取るべきではないと知っていながら

その分も請求していたと認定している。

 そもそも、日本学生支援機構は日本育英会などが合併して発足した文部科学省管轄の

独立行政法人で、高校生が大学や専門学校などに通う際に利用する「奨学金」といえば、

この団体が運営しているものを指す場合がほとんどだ。

このような「学生支援」を名目に創設された半ば公的な団体が、

請求根拠が法的に無いことを認識しつつも請求を続けていたことは、通常考えられないだろう。

 ではなぜこのようになったのだろうか。

日本学生支援機構を訴えたのは、北海道で暮らす76歳の男性と、

同じく北海道に済む69歳の女性だ。

ポイントは、ふたりとも自身が奨学金を借りたのではなく、奨学金を借りた人の保証人

だったという点だ。

 そもそも、日本学生支援機構から奨学金を借りるには、

人的保証か機関保証(保証会社を利用)のいずれかを選択する必要がある。

人的保証の場合は、連帯保証人(原則父母)と保証人(4親等以内の親族)を2人用意

する必要があり、借りた本人が返済できなくなった場合にそれぞれに返済義務がある。

ただし、連帯保証人と保証人は、どちらも「保証人」ではあるものの、

返済義務に関しては法的に大きな差がある。

保証人は連帯保証人とは異なる。

まず保証人には「先に本人や連帯保証人に請求してください」と主張する権利がある。

そして、両者が自己破産などで返済できなくなった場合にのみ、返済の義務が生じる。

さらに、今回の裁判でもテーマとなった「分別の利益」を主張することができる。

これは保証人が複数いる場合、一人あたりの支払額は人数割りされるという

民法上の規定であり、日本学生支援機構の奨学金の場合、保証人は「連帯保証人」と

「保証人」の2人であるため、保証人の支払額は最大でも半額となるべきであった。

保証人に請求される事自体は適法だったようだが、残金が全額請求されたことは、

上の「分別の利益」の考え方からして、問題含みであった。

 二人は、全額請求はおかしいと考えて「過払い分」の返還と損害賠償を求めて

日本学生支援機構を訴えた。機構側は、保証人には分別の利益があるものの、

それは保証人自身が主張すべきであり、全額請求することは問題ないと主張していたようだ。

 

 第一審および19日の第二審(札幌高裁)は、いずれも保証人の側に立ち、

機構に対して過払い分と利子の計約200万円を保証人らに支払うよう命じた。

さらに

機構は、過払い分が不当利得と認識しながら支払いを受けた『悪意の受益者』というべきだ

と、そもそも機構は、保証人らには法的に支払う義務がないとわかっていながら

請求していたと述べている。

 この判決で明らかになったのは次の二点だ。

まず、仮に保証人が「分別の利益」についての知識がなく、自分から主張しなかった

としても過払いは過払いであり、払いすぎた分を日本学生支援機構は返還すべきだ

と判断した点。

次に、日本学生支援機構は仮に払いすぎだと認識していたとしても、

その事実を教えてくれない場合があるということだ。

 

 おそらく、ほとんどの人は連帯保証人と保証人の区別も知らず、

ましてや分別の利益について知識がある人は極めて少ないだろう。

もしいま保証人の立場で返済を求められている人がいれば、

もしかすると返済金額が減るかもしれない。すぐに支援団体などにご相談いただきたい