ゆでたまご・中井義則先生の『生涯現役、火事場の漫画仕事術』(ワニブックスPLUS新書)を読みました。
ゆでたまご先生と云えば、云わずと知れた『キン肉マン』の作者のお二方ですが、中井先生は作画を担当されているお方☆
そんな中井先生の著書を読みながら「ああ…我々が夢中になっていた超人気マンガの裏では、こんなご苦労があったのか」と思わずにはいられませんでした(泣)。
原案は相棒の嶋田隆司先生ですが、割と無理難題が嶋田先生から中井先生へファックスで送られてくるんですと☆
例えば…
「バカめとばかりに高らかに笑い、余裕の笑顔を見せるブラックホール」(←ブラックホールと云うキャラクターは、顔が単なる◎なんで不可能ではあるんですが、相手の動きや表情を対比させて、それを表すんだそうな…正に、プロフェッショナル!)
とか…
「目の前のカップを手に取り、紅茶を飲み干すロビンマスク」(←此方は「超人だから」と云う理由で、マスクの上から飲ませたそうな!力技に乾杯♪)
…なんてな具合に。
そりゃあ、アシュラマンの技の掛け方やサンシャインの関節の動かし方は難題ですよネ?
でも、そんな無理難題をふっかける嶋田先生から…
「そこはもう、得意の絵のウソでなんとかしてよ……中井君なら、やれるでしょ!」
…と来て「これはもう、殺し文句です」と応えるところに、素晴らしいコンビ愛を感じました(泣)。
デビューしたての頃の先生方が、当時の『週刊少年ジャンプ』の編集長である西村繁男氏から云われた「あんまり上手くなりすぎるなよ…」は、我々の世界にも大いに通じるところがあります。
「みんなに面白い漫画を読んでもらいたい」と云う思いで始めたのに、人気が出てきたら「私たちはこんなにスゴい漫画が描けるんですよ」にすり替わってしまったと仰ってますが、コレは〈漫画〉を〈落語〉に変えても同じ事かと…肝に命じなければ!!…ま、あんまり上手くなりすぎてから心配すればいっか(笑)。
潰瘍性大腸炎を患い、下肢静脈瘤を抱え、メニエール病を発症しても、ファンの皆さんに喜んで頂きたいと云う思いで『キン肉マン』を描き続けている中井先生を、改めて惚れ直してしまう名著でした。
中井先生同様、私も吉川英治の有名なお言葉…
「我以外皆我師」
…を胸に秘め、精進致します。
中井先生、いつまでもお元気で☆…勿論、嶋田先生も♪(←右膝、お大事に!)