バルザックの『従妹ベット』を読みました。
今まで読んだ小説の中でも抜群に面白かった『ラブイユーズ』を読み、解説で紹介されていた小林信彦さんの『小説世界のロビンソン』を読み、それによると本作が面白いと小林さんが仰っていた為、読んでみましたが…
まァ、めちゃくちゃに面白い!
『ラブイユーズ』もそうなんですが、痛快無比としか云えない〈悪すぎる悪〉に、ただただ酔いしれます。
バルザックは、印象として取っつきにくい方が沢山いらっしゃるでしょうが、物凄く娯楽色が強いので超絶オススメです☆
物語はわかりやすいものの、描かれる人物が匂い立つ程にリアル。
「こんな悪い奴、おれへんやろ!」と思う隙を読み手に与えないくらいに強烈です。
本作が出たのが、調べによると1846年。
バルザックは1799年生まれですから、今の私とほぼ同い年の頃に書かれてるのヨ!
何が凄いって、読めばわかりますが、人物描写は勿論の事、当時の流行や風俗について恐ろしく詳しく描写しておりますので、コレはバルザック自身が相当遊んで、また、様々な方と付き合っていなければ書けないのです。
主に夜間に執筆・推敲をしてから、疲れた身体を引きずってでも、社交界に顔を出していたそうな…
また、三島由紀夫によると、バルザックは一日18時間も小説を書いていたそうな…
それだけの人間のエンジンがある事に、ただただ脱帽です。
唸る格言も多く、例えば…
「一般に、育ちがよくてきわめて素行のわるい連中のほうが、道徳堅固な人間よりはるかに愛想がいいという事実を否定できないであろう。
(中略)
道徳堅固ということはそれだけですでにすばらしいことだから、自分のほうから機嫌をとったりしなくてもいいのだと考える」
…と云うくだりには、激しく頷いてしまいました。
アナタの周りにも、きっといらっしゃいます。悪い事をしない真面目な人程、愛想が悪い。悪い人程、愛想がいい…何故なら、後者は後ろめたいから(笑)。
あと、自分が出世してお金を持った時、求めるものは流行のものではなく、自身が学生時代に手に入らなかったものだってのも響きました。
「もともと怠惰はすべての芸術家の正常の状態」
「〈貞節〉と対決するんだから、〈悪徳〉も武装しなくっちゃ!」(←何てカッコいい台詞でしょう☆)
「無知こそは、あらゆる犯罪の母なのである。
犯罪とは、なによりもまず、推理力の不足だからである」
「人生にはしばしば、偉大な忘却が欠かせないものなのである」
…ちなみに本作のラスト、マジぶったまげます。
悲しいですが、そこに真実があります。正に「三つ子の魂百までも」…或いは「年は取っても浮気は止まぬ、止まぬ筈だよ先がない」!(笑)
是非とも読んでください!くどいようですが『ラブイユーズ』も。本っ当に面白いから☆
今から『従兄ポンス』を読みまする~♪