昨日は〈シネマヴェーラ渋谷〉にて『女相続人』を観ました。
今、此方では、昨年亡くなったオリヴィア・デ・ハヴィランド追悼上映をしております。『風と共に去りぬ』のメラニー役の方ネ?
『ローマの休日』や『ベン・ハー』でお馴染みの巨匠ウィリアム・ワイラーによる人間ドラマ。
主役のオリヴィアにオスカー主演賞をもたらした作品であります。
さて、如何なもんでしょうか…
うっわ~、めちゃくちゃに面白かった…残酷な面白さが炸裂。残酷からの痛快無比。
物語は、内向的で不器量だが財産がたんまりある女性キャサリンが、親戚の結婚パーティーで愛想が良くてイケメンだけどプー太郎のモーリスと婚約をするのだが、男が財産目当てと踏んでる父親は結婚に反対をして…ってなもの。
序盤で観客は「モーリスの奴、調子いい事ばっか云ってるから、きっと財産目当てなんぢゃね?」と、父親と同じ気持ちになるんですが、中盤から思ってた事を遥かに上回り、激しく残酷で面白く、片時も目が離せなくなります。
可哀想過ぎるキャサリンを演じたオリヴィア素晴らしく、決して不器量ではない方なのに、演出にのっとり不器量に見せておいてから、捨てられて劇中で本人曰く「2人の非情な巨匠に学んだ」後からの、毅然としていながら悪魔的な美しさを放っているのが凄い。コレを〈芸〉と云うのであります。
物語にのっとってのペラいモーリスを演じたモンゴメリー・クリフト(←かっこよすぎて、云う言葉が信じられない♪)、並びに、世間知らずな娘に我慢が出来ず「お前は何の取り柄もない、刺繍が上手いだけだ」と云う父親を演じたラルフ・リチャードソン、共に申し分ありません。
あと、ずっとキャサリンを案じていたおばさん役のミリアム・ホプキンスもグッドでした☆
本作の大成功は、ウィリアム・ワイラーの演出が抜群な事。
捨てられた後、階段を上っていくキャサリンの後ろ姿と長い階段とは、裏切られた気持ちをこれでもかと云うくらいに高めてます。
逆に、モーリスに仕返しをする場面では、刺繍の糸をハサミで「プツン」と切るんですが、こういうところも〈縁〉と重ねて上手い。
笑わせる場面も多く、例えば…
「ウチの旦那、天国で見守ってくれてるかしら?」
「天国にいればネ」
…とか、あとダンスしていたアビール氏と云うじいちゃんを案じる場面で以て…
「アビール氏はどうしたかしら?」
「鼻血を出してたワ」
…なんてのもあり、他にも思わず吹き出す場面が、いくつかありました。
洒脱でいながらリアルな残酷物語。くどいようですが、残酷からの痛快無比。ラストシーンも圧巻。損はさせません、皆さんも是非!