現在、山友会で取り組んでいる「2019年 夏の募金キャンペーン」。
『この孤独は、あなたとは縁遠い世界だろうか』
というテーマでキャンペーンを行っています。
(キャンペーン期間:2019年7月1日~9月30日)
キャンペーン期間中、孤立や孤独に伴う問題に対しての取り組みという視点で見た山友会の活動の意義などについての記事を連載しています。
第12回目を迎えた今回の記事。
山友会の仲間たちにとって大切な場所であるお墓の持つ意味や、今回の募金キャンペーンのテーマの背景にある孤立や孤独の問題について、山友会のお墓を建立させていただいた浄土宗・光照院 副住職の吉水岳彦さんにお話を伺いました。
2015年に実施した「無縁仏となってしまうホームレスの人々が入れるお墓を建てたい!プロジェクト」。
関わりのあったおじさん※達と、死後もつながりが続いていくようにとの想いから、山友会のお墓が建立されました。
※おじさん…山友会を訪れる年配の路上生活者の方や元ホームレスの方のことを、親しみを込めて「おじさん」と呼んでいます。
2015年にお墓が建立されてから、これまでに15名の方のご遺骨をお納めしており、毎年お彼岸の時期には、おじさんたちとスタッフ・ボランティアの方々とでお参りしています。
お墓というものは「遺骨を納める場所」でもありますが、山友会のおじさんたちにとっては「仲間とのつながりを感じることのできる場所」です。
お墓参りの時には、手を合わせながらお墓をしみじみと見つめ、旅立っていった仲間たちに何かゆっくりと語りかけているようにお参りされています。
■「死んだ後も一緒にいられるなら、残りの人生を一生懸命生きていける」
山友会のお墓が建立されている浄土宗・光照院には、山友会のお墓のほかにいくつかのホームレス支援団体のお墓もあります。
2007年の暮れに(一社)つくろい東京ファンド代表の稲葉剛さんから、身寄りのない仲間たちのためのお墓を建てたいと相談されたことがきっかけとのこと。
山谷地域で育ってきた吉水さんは、着るものも食べるものを気にしていないように見えていたおじさん達にとって、お墓が必要なのだろうかと当初は疑問を感じたそうです。
そこで、実際にホームレス支援団体が行っている活動に参加。ホームレス状態にある方それぞれに孤独さを抱えていることを感じたそうです。
「新宿で行われたホームレス支援団体の夏祭りの追悼供養に参加したのですが、名前も顔もわからない亡くなった人たちに手を合わせるために400人以上もの人たちが集まっていました。その日は炊き出しもあったからだとは思うのですが、それでも多くの方が神妙な面持ちで手を合わせているのです。私は経を唱えていましたが、お焼香に並ばれている方の列が全然途切れないのです。それは、まるで何か大切な存在を近くに感じているような様子でした。」
写真:路上の人におむすびを/ひとさじの会 吉水岳彦さん(2/3)
そして、そこで出会ったこの頃に出会った元ホームレス生活者の方から聞いた言葉が一生忘れられないそうです。
“自分たちは路上に出るまでにそれぞれ違う道だけれども、あらゆる縁を切らなければならなかった。NPOの支援のおかげで食べ物や着る物をもらえただけでなく仲間ができた。いつ死ぬのか分からないし、お互いがどのような最期を迎えるのかも分からないけれど、もしも今の仲間たちと死んだ後も一緒にいられるのなら、残りの人生を一生懸命生きていける”
こうして、実際にホームレス状態にある方の支援活動に参加された吉水さんは、「誰かとつながっていられると感じてもらえるならば幸せだな」と思い、お墓をつくることを決心したそうです。
■死後も誰かとつながっていられることがもたらすもの
お墓があることで、生前親しかった仲間たちとのつながりを感じることができます。
また、残された人にとっても故人をしのんで、絆を確かめることができる。
このことについて、吉水さんは、
「おじさん達が今の生を充実させていくために、たとえ亡くなった後でも誰かとつながっていられると感じられるなら、それは大事なことだと思います。自暴自棄になってしまうおじさんの中は、“俺なんか生きて何をしていても、野垂れ死にしても、誰かに迷惑かけるわけじゃないんだから、どうなっても構わないだろ”と言う方もいます。そういう方も、誰かとつながると自分のできることをするようになり、友人のことまで気に掛けるようになります。誰かと必ずつながっているのだという安心感は、とても心強いことなのだと思います。」
と語ります。
山友会を訪れるおじさんの中には、“死んだら山友会の墓に入れるから安心だよ”とおっしゃる方が多くいます。
さまざまな事情があって家族との関係が疎遠になっていても、死後も大切な誰かとつながっていられることは、おじさんたちにとっての生きる希望となっているのかもしれません。
■孤立や孤独の苦しみを思う
今回の募金キャンペーンの背景にある孤独や孤立の問題についても、吉水さんに伺いました。
孤独や孤立のもたらす問題として挙げられる孤独死について、
「孤独死という結果ではなく、そこに至るまでの孤立が問題なのだと思います。おそらく、多くの人たちが一人で亡くなっていかざるを得ないのかもしれないけれど、亡くなるまでの時間ずっと大切な誰かと一緒につながっていられるとしたらどうでしょう。亡くなるのは急ですが、“おやすみ”と言って、そのまま永遠の眠りについていたとしたら、それは幸せなことなのかもしれません。」
と、単に一人で死んでしまうという結果だけでなく、その背景にある孤立に想いを巡らせることの大切さについてお話になりました。
そして、おじさん達の抱える孤独について、
「路上で生活をしていても、部屋で暮らしていても、自分の居場所を見つけられないことはすごく苦しいことです。本当は帰りたい家があるけれど、そこにはもう戻れない。さまざまな障害を抱えていることで、周りと違うからと他人から避けられてしまう。何で自分はこんな思いをしなければならないのかという苦しみ、どうせ自分なんてダメなのだからというあきらめや疎外感のような辛さは、路上生活をしているかどうか、家族がいるかいないかということに限らないと思います。」
と、深い孤独におかれた方々の苦しみを思い、胸を痛めていらっしゃいました。
おじさんたちの「居場所」や「大切な誰かとのつながり」を一緒に守っていくことも、私たちの大切な役割なのだと思います。
(山友会クリニック 天方)
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【2019年 夏の募金キャンペーンへのご協力のお願い】
”この孤独は、あなたとは縁遠い世界だろうか”
さまざまな支援をきっかけに、つながりとコミュニティを築いていく山友会の取り組みは、孤立による多くの問題を経験してきた山谷地域を
互いに助け合える地域へと変えていくことにつながります。皆さまの力が必要です。
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