三多摩労研センター
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三多摩労研通信43号 自治労第76回大会ほうこくつづき

ならない国民の権利と国家が守るべき国民に対する義務を定めるものであり」と憲法観に触れていますが、改憲が焦点になっている今重要なことは、「憲法とは何か」という本質的な議論ではないでしょうか。

   近代立憲主義の理解の上に、憲法を制定・改正すべき主体が何であるのか、護憲が問われているのは誰なのか、この点を明らかにすることが、「お題目のように護憲、護憲を唱える」という護憲派の内外にある批判に対する答えになるのではないでしょうか。

   護憲の立場を明確にした「中間報告」に比べ、残念ながら「最終報告」は、「改憲に加担する」意図にも利用されかねない「曖昧な内容」を多々含む危険な「玉虫色」となってしまいました。

3、第76回自治労鹿児島大会の結果について

  憲法の積極的平和主義の理念を現実化するために、「平和基本法(仮称)

の制定を求めて取り組みを進めるということを、重点課題にすえました。

 ’92年の福岡大会で決定した、安全保障基本法(仮称)の「制定を求める」、

との方針を今回「制定を求める取り組みを進めます」に一歩前に踏み出し、

肥大化した現在の自衛隊や解釈改憲による海外派兵、憲法が明確に否定し

ている集団的自衛権の行使に歯止めをかけ、憲法の積極的平和主義を現実

化するために、「平和基本法(仮称)」を制定していくということが確認され

ました。

 また、大会では全国から出された多数の意見によって、

 ① 平和闘争について、自治労としては、憲法の前文および9条を堅持する。

 ② 現在の自衛隊の違憲状態は明らかなので、縮小・再編・改組をめざ

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す。

 ③ 国際貢献は、非軍事・文民・民生で行う。これらの目標実現のため、「平和基本法(仮称)」を議論していく。

 ④ 個別的自衛権の議論は、組合員に分かりやすく、議論する場は公開で進めて行きたい。

 ⑤ 「最小限防衛力」とは、平和基本法の警備組織の背景の概念であり、内容を固定するものではない。様々な角度からの自衛権論議があり、平和基本法の中身を議論するなかで明らかになるよう、憲法に沿った議論をしたい。

 ⑥ 連合の検討委員会には、直接自治労の意見反映を行っている。また、各構成組織の意見書集約が826日締め切りなので、自治労の主張を提出する。

 以上の本部答弁が示され、全体で承認されました。

 自治労本部は、この(76回定期大会での運動方針や、全国から出され

た意見を連合へ意見反映していくといいましたが、実際に自治労が「改憲

 に加担する」泥沼に陥らないために私たちは、職場・単組・地域から護憲の運動と結集を強め、広げることによって、自治労の改憲推進の動きを阻止する闘いをすすめなければなりません。

  肥大化し、世界の中でもとりわけアジアの脅威になっている現在の自衛隊や、解釈改憲による海外派兵や憲法が明確に否定している集団的自衛権の行使に歯止めをかけ、憲法の積極的平和主義を現実化するためと称する「平和基本法(仮称)」の制定によって、自衛隊の容認=解釈改憲への道を阻止しなければなりません。

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1980年代の第2臨調・行革を進めていくにあたり中曽根首相(当時)は、成長の家青年部の研修会で「行政改革でお座敷をきれいにして、立派な憲法を安置する。これが我々のコースだ」と演説しました。これは、憲法改革を悲願とする支配者階級側が、護憲勢力の自治労に対し、かつてない「組合つぶし攻撃」という政治的弾圧をかけました。ことの発端は、大阪市から始まったいわゆる「厚遇」問題で、一挙に政治問題へと高められ、公務員の定数削減に世論を誘導されました。

  これはかつて、自民党が日本の労働運動の中心的役割を担っていた国労を、総評解体の手段として分割民営化により解体攻撃をかけてきたことに通じます。

  今改憲を狙う政府・資本家階級は、改憲の露払いを行う連合に背き、護憲を唱える自治労を、全国統一闘争になっている賃金闘争を「地域給」の導入によって分断し、解体を目論んでいます。

  このことに、自治労組合員を目覚めさせる運動を推進しなければなりません。

( 自治労調布市職員労働組合副委員長 小島邦夫 )

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三多摩労研通信43号 自治労第76回定期大会報告

自治労第76回定期大会報告


1、自治労は「中間報告」を逸脱して「最終報告」へ踏み出す

  自治労は、「国の基本政策検討委員会」を設置し、今日の憲法問題に対す

る検討を行い、昨年12月の「論点整理」、今年3月の「中間報告」を経て、「自治労『国の基本政策検討委員会』報告」(以下「最終報告」と略)をとりまとめました。そして「最終報告」は中央執行委員会に提出され、第131回中央委員会(5)で承認されました。

  この「最終報告」にいたる大きな問題は、検討委員会の議論の経過からも「中間報告」から大きく逸脱していることです。

  今年39日の第17回検討委員会で確認され、310日の臨時中央委員会に報告された「中間報告」には、その前文に「検討委員会の到達点」として、次の5項目の「基本的な考え方」が明記されていました。

  ① 世界の先駆的理念である日本国憲法の前文、および第9条の堅持。

  ② 日本は国連憲章や憲法でうたわれた、国際平和と人間の安全保障の実現に向けて、外交などあらゆる平和的手段による積極的な国際貢献に取り組む。

  ③ 現状の自衛隊は違憲状態にあり、段階的縮小と分割・再編に取り組み、集団的自衛権については認めない。

  ④ 日本の国際貢献は国連主導の非軍事面に限定し、自衛隊とは別組織とする。

  ⑤ 世界の軍縮と平和の構築に向けて外交戦略を転換し、これまでの米国追随から国連及びアジアの安全保障体制の構築をめざす。

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   この中間報告」は、昨年12月に提出された羅列的・両論併記的な「論点整理」から、各地連の討議を踏まえて、「自衛隊違憲論」や「平和基本法―最小限防御力」等をめぐって、「個別的自衛権」、「アジアの安全保障問題」、「平和基本法のイメージ」等などが激しく議論され、意見の対立を克服するため、「中間報告起草委員会」が設置されて策定したもので、本部五役を含む検討委員会による真摯な議論の到達点であり、それ自体重みのあるものでした。

   また同時に、その内容も改憲の争点である憲法第9条について護憲を明確にしたもので、自治労運動の歴史と現状、職場世論を踏まえた評価できるものでした。

   しかし、10日の中央委員会で異を唱える意見が出され、確認されないという事態に示されたように、「中間報告」の提出とともに、これを否定する動きが始まりました。

   具体的には、「連合で議論を蒸し返すのか」という批判や「中間報告はそれとして、方針は別」という言動が流布されました。そして、「最終報告」では「中間報告」の5項目の「基本的な考え方」は「分散」され「霧消」状態にされ、その重要な部分は結局のところ否定される形になりました。

2、「最終報告」の評価について

  「中間報告」重要部分は「最終報告」では具体的にどうなったか。

  第1に、「最終報告」には、「自治労はこれまで、自衛隊は違憲状態にあると認識しており」と記され、「中間報告」の「現状の自衛隊は違憲状態にあり」は巧妙に否定され、事実上の自衛隊合憲論を容認してしまいま

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した。

   また、その行使については、「憲法上の厳しい制約の下におかれ」とされていますが、個別的自衛権についても「平和基本法(仮称)(以下、「平和基本法」と略)の前提として憲法上も認められるという見解を示しました。

   したがって、全国から寄せられた意見書の圧倒的多数が支持した「中間報告」の重要部分は否定されました。

   そして、自衛権=自衛隊を認めることを前提にした「平和基本法」が前面に出され、その制定が「現実を憲法理念に近(  、、)ける」「憲法の積極的平和主義理念の実現を図る」ためと提唱されている。と言うよりは、「最終報告」は、「平和基本法」掲げながら「中間報告」を否定したい狙いがここにありました。

   第2に、「平和基本法」の問題です。

   「中間報告」「平和基本法(仮称)の制定と日本の外交戦略の転換」となっていた章は、「平和基本法と国際貢献」と「日本の外交戦略の転換」と2つの章に整理され、大幅に書き換えられました。しかし、「平和基本法」をめぐって問題点となっていた「『戦力』とは異なる『最小限防御力』の規定など、具体的な内容について」は、「最終報告」でも何ら解明されていません。

   「最終報告」は「『平和基本法』の制定に当たっては、憲法上の厳しい制約の下に置かれ、かつ、国際法上明記されている主権国家の『個別的自衛権』を前提とした『最小限防御力』を定義し、現在の自衛隊の縮小、分割・再編への道筋を明らかにすべき」、「したがって、『最小限防御力』

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とは、領土・領海・領空をこえて戦闘する能力を持たない国土警備に限定した組織によって担われるもの」とされているのみです。

   よって、ここに言う「国土警備に限定した組織」が、自衛隊の前身である警察予備隊のようなものを想定しているのか、また国土警備であるなら警察力で十分ではないか、等々の疑問は解消されていません。

   仮に「最小限防御力」という表現で、護憲勢力を幅広いものにしていくという意図があるとしても、そもそも憲法9条第2項からすると、「戦力」や、「自衛に必要な最小限の実力」に相通じるような「防衛力」を容認することになる「平和基本法」には賛成できません。

  ’933月の自治労中央執行委員会は、連合政治方針への意見反映として「自治労政治方針の具体化」を決めています。ここでは、「現行憲法の存続を基本に『安全保障基本法』を制定する」としていました。

   「平和基本法」は、この「安全保障基本法」にあたるものとして考えられますが、’93年の非自民連立政権の細川内閣、続く村山内閣など政界再編の中で、政権与党という立場から提起される「平和基本法」と、憲法改悪の実行段階の中での「平和基本法」とは、大きく性格を異にしています。

   したがって、護憲勢力の立場で9条の堅持をあくまでも明確にすべきです。また、「最終報告」に求めるのはどうかという意見があるかもしれませんが、近代憲法の基本としての「立憲主義」という憲法観について、この際明らかにすべきであります。

   「最終報告」は、「憲法についての評価と改正についての基本的考え方」の「憲法についての評価と課題」のところで、「憲法は、国家が侵しては

                


事務局から

労研事務局通知(laoyan shiwuju tongzhi)

911日投開票の総選挙は、自民党が296議席を獲得し、自民党幹部をし

 て「怖いくらいだ」と言わしめるほど、自民党圧勝に終わった。自民党がこれだけ圧勝しようとは誰が予測したであろうか。もちろん、現在の小選挙区制という選挙制度自体が政権党である自民党に有利に働いた面もある。先の国会で郵政「改革」法案に反対した自民党議員の選挙区に対立候補を送り込むなど、「刺客」等という劇画ばりのパフォーマンスで徹底的にマスメディアを利用した小泉流の手法もある。

★ しかしそれだけであろうか。自民党をこれほどまでに勝たせた「民意」とは果たしてなんであろうか。「民意」なるものの意識構造にむしろ空恐ろしさを感じる。一言で言えば排外主義を増長する意識構造である。異なるもの、足手まといになるもの、権力に逆らうものを徹底的に排除しようとする論理である。しかも今回、小泉首相が対立候補として立てた多くが官僚出身であるように、民間主導どころか国家権力のあからさまな介入と主導の下に、まさに総動員しての排外主義を煽るやり方には「民主主義」そのものが危うくなっていることの危機すら感じる。弱い立場に在るはずの「民意」がさらに弱い立場の人々を排除する。それがまた当たり前のように繰り返される事態は異常としか言いようがない(私が異常なのか?)。これからおそらく増税そして憲法改悪が目の前の現実のものになってくる。労働運動、労働組合の存在価値を示すのはいまだと思うのだが……。

私の所属する組合に関することについての報告を一つ。9515時より東

京地裁民事19部において裁判長と左右陪席三人の合議のもと、配置転換に関する和解条項を原告(スタッフ・ユニオン)、被告(国労)双方が了解しました。

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和解条項については下記に示した通りです。今後の裁判は国労書記の賃金減額問題についての争いになります。詳細につきましてはスタッフ・ユニオンの全体会議を経て明らかにしたいと思います。

今後ともご支援、ご協力をよろしくお願い致します。

更団結強烈起来了!(geng tuanjie qianglie qilai le)

再見!(zai jian)

             

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   ( M )

三多摩労研通信43号 総選挙をめぐる情勢と課題

総選挙をめぐる情勢と課題

 

911日に投開票された第44回総選挙の結果については、自民党が単独過半数を大きく超える296議席を獲得し、自公連立政権は327議席に達し、

引き続き小泉内閣が存続することになった。

 新社会党は兵庫1区に原和美兵庫県本委員長を擁立し、社民党近畿ブロックの推薦を得て闘いました。

 また、中央での合意書と12都道府県、4ブロックで社民党との選挙協定を交わし、「07参院選挙での共闘」に向けた努力を確認しつつ、護憲勢力の議席獲得をめざしました。

 兵庫1区の闘いは、獲得票21,844票、9.69%、第3位と健闘し、07年の参院選挙に向けて大きく展望を切りひらいたと言えるでしょう。

 改憲への危機感は、護憲派に寄せられ、社民党は7議席、共産党は9議席を獲得しました。

 私たちの支援・協力が社民党の議席確保に貢献したといっても過言ではないでしょう。東京ブロックの比例区1議席奪還に代表されるのではないでしょうか。

 小泉内閣は、改憲と戦争政策、アジア外交の諸課題、増税、社会保障改悪や教育・労働政策などに対する国民の批判をかわすために、メディアを総動員して郵政民営化の賛成か反対かの是非論に争点を絞ってきました。

 小泉内閣と構造改革を競い合い、憲法改悪案について自民党との「コンセンサス」を公約した民主党は、ファッショ的な手法で国民を欺瞞する小泉の手法に対して真の対立点を明らかにすることができず、惨敗を喫してしまっ

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た。

 この総選挙の結果、小泉内閣は、特別国会で郵政民営化法案を成立させた後、新自由主義構造改革の仕上げと改憲作業を一気に加速させようとしています。

 それは、年金・医療・介護をはじめとする社会保障制度の改悪、消費税・所得税などの大増税、教育・労働政策の改悪として国民に襲いかかろうとしています。

 今次総選挙の結果によって、憲法・民主主義、国民のいのちと暮らしは一層深刻な危機に直面するでしょう。

 07参院選挙に向けて憲法擁護の共同行動は緊急の課題です。そして、国会内での憲法擁護の勢力が依然として少数勢力である状況に変わりはありません。新議員のうち84%が改憲派といわれています。

 私たちは、中央・地方での社民党との合意・協定の具体化をはかりながら、共産党を含む地域での協力、市民団体や労働組合との共同行動をさらに発展させ、憲法改悪阻止の共同戦線を構築し拡大させるために全力をあげなければなりません。

 また、その運動を担う組織強化に全力を尽くし、今後の統一自治体選挙や07年参院選挙の勝利を目指して、直ちに準備を開始しましょう。闘いはこれからです。

 平和で安心して、働き続け、生き続けられる社会にするまで、共に頑張りましょう。

(2005912)

( 憲法を生かす会・八王子 鈴木孝 )

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三多摩労研通信43号 朝鮮半島出身者の遺骨問題

朝鮮半島出身者の遺骨問題

1、遺骨についての基本的考え方

 多くの人々は朝鮮・日本を問わず、遺骨や遺体(ここでは遺骨に限定する。)を前にして弔うことは、個人が彼岸へ旅立つのに必要なことと考えている。遺骨が放置されて弔うことができず、個人がさまよっているままということは遺族にとってがまんならないことである。少なくとも生きていた証として遺族は重視する。だから災害時などに遺体の捜索に全力を尽くす。

 したがって遺骨は弔いをすべき遺族のものである。すなはち遺骨の所有権は遺族にある。そして遺骨になる原因について責任のあるものは遺骨を遺族に返還する義務がある。そして返還時に遺族に対して謝罪・補償をしなければならない。

2、朝鮮半島出身者の遺骨

 朝鮮半島出身者の収集、返還されていない遺骨にはその原因として次のことなどがある。

 (1) 関東大震災時に虐殺された人々

 (2) 植民地時代に国家総動員法によって強制連行されてきた人々

   1) 過酷な労働、事故、病気などによって亡くなった人々、日本敗戦後朝鮮への帰還途中舞鶴で爆発沈没した浮島丸に乗船していた遭難者もいる。

   2) 工場などで、空襲にあい亡くなった人々

 (3) 植民地時代に徴兵などによって日本軍人・軍属として戦闘中に亡くな

  った人々、中には特攻隊員もいる。

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 (4) (2)(3)には原爆被害者もいる。収集返還は困難であるが補償などについては政府に責任がある。

3、関東大震災時に虐殺された人々の遺骨

 関東大震災時に虐殺された人々については日弁連人権擁護委員会の緻密な

調査により、日本政府の責任が明確に認定され、政府が適切な措置をとるよ

う小泉総理大臣に対して勧告を行ったが、政府は何の対応もしていない。日

弁連の勧告には強制力がないとはいえ、まったく反応もしないというのは不

誠実極まりない。遺骨の取り扱いは寺院や民間団体が行っている。

4、植民地時代に国家総動員法によって強制連行されてきた人々の

遺骨

 上記については本年、慮泰愚・小泉会談において、政府は強制連行被害者

を私用した民間企業について調査を行い適切に措置することが約束された。しかし対象とするのは南出身者に限られ、しかも朝鮮総連が、今までに把握している企業数よりはるかに少ない企業しか調査対象にしていない。また返還の際、未払い賃金、補償金等をどうするのかはっきりしていない。補償などがないまま返還しようとしても遺族は受け取らないと思われる。厚生労働省は各都道府県に対して調査を行うよう通達を出したが、都道府県側は担当する部署もはっきりしておらず十分な調査が行われていない。

5、徴兵等によって日本軍人・軍属として戦闘中に亡くなった人々の遺骨

 日本軍人・軍属の東南アジアなど各地に散逸している遺骨については厚生省(現厚生労働省)は遺骨収集事業を行ってきた。しかし朝鮮半島出身者については原則として収集の対象としていない。ところが創氏改名のため日本人と

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思われて収集されたものはかなりの数になる。

 目黒の祐天寺には1,000体以上の朝鮮人軍人軍属の遺骨があり、厚生労働

省から管理を委託されていて毎年有志によって慰霊祭が行われている。

6、そのほか、各地の寺院に朝鮮半島出身者の遺骨があり、寺院や民間団体が、慰霊祭などを行っている。

7、遺骨の調査・収集・慰霊・返還は、朝鮮半島全域の出身者を対象に権限ある国が責任を持って行うべきである。そして返還の際、謝罪・補償を伴うのは当然のことである。

                   (20059)

( 三多摩労研センター代表 西村昭 ) 

                 

三多摩労研通信43号

= 国鉄労働組合第73回定期全国大会 =

9.15判決を前に積極的方針示せず!

 国鉄労働組合の第73回定期全国大会が830日~31日熱海市で開催されました。今の国労には時間をかけてテイネイ(・・・・)に議論しなければならない課題がいくつもありますが、特に今年の大会は9.15鉄建公団訴訟判決を前に国労としてどのような態度をとるのか、またJR西日本福知山線大事故の教訓から安全を守る闘いを労働組合としてどのように位置付け、どう闘うのかその方針の確立が求められていました。しかし、大会で提案され決定した方針は我々が求めた積極的な方針とは異なり従来の方針を繰り返す内容にとどまりました。

 ①、20031222日の最高裁判決以降、国労本部は「裁判の準備はするが今はその時期ではない」との態度をとり続け、今大会方針の「ILO勧告に基つ゛く政治解決を図る」との「基本方針を今後も踏襲する」としています。しかし、2003年中には全動労争議団、千葉動労争議団に加え国労闘争団の中にも新たに訴訟に加わる組合員が増えるなど、不当労働行為責任を求める鉄道運輸機構への訴訟は闘いの中心的な流れになっています。この流れに国労のみが背を向けている現状は許されません。しかもこの1年間闘い続けてきた「ILO勧告による政治解決」を求める運動は一定の拡がりを作ってはいるが「政治解決」は一歩も踏み出せないでいます。要請行動の繰り返しだけでは具体的に政治解決へ踏み出す事が出来ない事を国労本部は認識すべきでした。

 我々は、積極的な方針への転換を求めて全力を上げましたが、本年も「当

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面、政治解決に向けた取り組み、ILO勧告の履行を求める運動などに全力をあげる。」との方針が決定されました。9.15判決がこの闘いに決定的とも言える影響を与えることは何人も否定できません。この判決を機に国鉄闘争の原点である1047名の結集と統一闘争が更に強化されるべきです。

 ②、425日の福知山線大事故は民営化によりJRは成功したとの評価を一変させました。かつて、私たちは「分割・民営」化反対闘争の時に「安全がおびやかされる」心配を指摘してきましたが、民営化20年を前に現実のものとなったと言えます。そしてこの大事故は労働組合に対しても重大な問題を投げかけています。国鉄労働組合の安全を求める闘いは充分であったのか、「我々は何をしてきたのか、また何をしてこなかったのか」が厳しく問われなければなりません。少数派労働組合とは言え厳しく問い直しが求められています。

 こうした理由から、この大会では安全闘争を強めるための特別の決意が求められていました。「安全闘争宣言」とも言うべき積極的な方針が必要でしたが必ずしも充分なものではありません。本部の方針にあるように、様々な施策が、JR福知山線事故で社会的に批判を浴びているように「安全よりも営利優先」の計画であると指摘せざるを得ない、と理解するなら安全闘争と表裏の関係にある合理化反対闘争が従来と異なる意味で強化されるべきです。方針は具体的項目で、「闘争指示第33号に基つ゛く安全総点検運動を継続・強化する。」にとどまっています。

 本部指示による「安全総点検運動」は全国で取り組まれ、北海道本部では250余りの要求が集約されたとの報告があります。全国的にどのような内容でどのくらい安全を求める要求が集約されているのか不明ですが、この要求

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が一般的な要求にとどまることなく拡く社会的にも呼びかけ、国労の「安全要求闘争」として粘り強く闘われるべきです。もちろんこれを支えるのは職場からの点検と要求作りであることは言うまでもありません。

 ③、大会2日目の冒頭、本部から「22名の統制処分はJR不採用事件の早期解決のため、本大会を持って処分を解除する。新たに訴訟を起こした組合員に関する査問委員会は設置しない」との提案がありました。我々は処分の撤回そのものを求める修正動議を用意していましたが、この提案を受け入れました。これは、我々の代議員による強い指摘だけではなく、本部側にも不団結の要因としてこの問題を放置できない思いがあったものと思われます。

 こうして、大会は9.15判決を前に積極的な方針を出すことなく終了しましたが、我々と思いを同じくする代議員・傍聴者はあきらめる事なく活動を強化する事を決意しています。

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( 三多摩労研センター事務局長 金平博 )

9・15判決 JR不採用訴訟

<JR不採用訴訟>東京地裁の判決要旨

 JR不採用訴訟で、東京地裁が15日言い渡した判決の要旨は次の通り。
 第1 事案の概要
 原告らは87年4月、国鉄分割民営化の際、JRに採用されず、国鉄清算事業団職員となり、再就職促進法で「再就職を必要とする者」に指定されたが再就職せず、90年4月、同法の失効に伴い解雇された。
 原告らは主位的請求として本件解雇は憲法27、28条、29条3項に違反し無効で(1)雇用関係存在確認(2)雇用関係があることを前提に90年5月以降定年までの賃金支払い(3)違法解雇の損害回復で慰謝料1000万円(のち2000万円に増額)の支払いと謝罪文の交付、JR各社への採用――を求めた。予備的請求としてJRに勤務した場合に得られた賃金、退職金、年金相当額を損害賠償請求した。
 第2 本件の争点
 1 本件解雇は有効か(争点1)
 2 国鉄ないし事業団は不法行為を行ったか(争点2)
 (1)国鉄が原告らをJR北海道、東日本、九州の各採用候補者名簿に記載せず、各社に採用させず、事業団に振り分けた行為(不法行為(1))
 (2)国鉄の指示で国鉄側が82~87年のJR不採用までにした行為(不法行為(2))ア=国労所属を理由に些細(ささい)な事象での処分、余剰人員扱い、人材活用センターに配属するなどした行為 イ=事実上、組合脱退をJR採用の条件とした行為 ウ=国労の弱体化を図った行為
 (3)事業団側が原告らの再就職を妨害した行為(不法行為(3))
 (4)本件解雇(不法行為(4))
 (5)事業団側が原告らを地元JRに再就職させる法的義務を負いながら履行しないという継続的不作為(不法行為(5))
 3 被告に不法行為がある場合、損害賠償の範囲及び損害回復方法(争点3)
 4 損害賠償請求権は時効消滅したか(争点4)
 第3 争点への判断
 1 争点1と、2の不法行為(4)(5)の成否
 (1)再就職促進法の失効時には事業団との雇用関係も当然に終了することが予定されていたというべきで、本件解雇は合理的な理由があり有効と解するのが相当。
 (2)JR各社は雇用契約終結の自由を有し、再就職促進法も事業団職員を地元JRに採用させることを義務付けてはいない。採用において組合差別を行ったか否かにかかわらず、事業団が原告を地元JRに採用させる義務を負っていたと解することはできない。
 (3)本件解雇は憲法、労働組合法、再就職促進法等に違反する点もなく有効。原告らの雇用存在確認とそれを前提とした賃金支払い請求はいずれも理由がなく、予備的請求の損害賠償請求も理由がない。
 2 争点2ないし4
 (1)不法行為(1)の成否
  ア=国鉄は採用基準に抵触しない限り、採用候補者名簿に記載する者の選定について一定の裁量が認められていた。しかし、組合員であることなどを理由に不利益な取り扱いをすることは労組法上許されず、原告らが国労組合員であったことを嫌悪し不記載を行ったとすれば不法行為に当たるというべきである。
  イ=年齢などから採用基準に該当しない5人を除く原告らをJR北海道、九州の各採用候補者名簿に記載しなかった国鉄の行為が問題となる。この点▽国労組合員と分割民営化に賛成した組合員との採用率に顕著な差がある▽国鉄幹部らは国労所属は不利益を受けると公言していた▽分割民営化に賛成の鉄産労に入れば採用される場合があった――ことが認められる本件では、原告らを採用候補者名簿に記載しなかったのは、主として原告らが国労に所属していることに嫌悪し、不利益に取り扱ったものであると強く推認できる。
  ウ=5人を除く原告らを採用者名簿に記載しなかったのは採用基準を恣意(しい)的に適用し、勤務成績を低位に位置づけたと認められ、不法行為と評価するのが相当。
 (2)不法行為(1)に関する時効消滅の成否
 時効(3年)の起算点は、被害者が損害の発生を現実に認識した時をいう。本件は全国各地の地労委で救済が命じられ、救済命令取り消し訴訟で命令が取り消され、03年12月の最高裁判決で、JR各社への採用を求めることができないと確定した。ここに至るまでは救済命令が是認される可能性はあり、最高裁判決で損害の発生を現実に知ったと認識するのが相当で、時効は成立していないと解するのが相当。
 3 争点2ないし4のうち不法行為(2)(3)及びその時効消滅の成否
 (2)(3)は(1)と異なり、これが行われた時点で損害は明らかで、国鉄ないし事業団に直ちに請求が可能だったと認められ、3年(時効)が経過していることは明らか。
 4 争点3
 (1)賃金相当額の請求について
 原告らに不当労働行為が行われなかったと仮定しても、JR北海道、九州に採用されたはずとの証明はされていない。地位そのものを喪失したとの損害を被ったと解することはできない。
 (2)慰謝料請求について
 5人を除く原告らは、国鉄から違法に不利益扱いを受けたことで正当な評価を受けるという期待権を侵害され、差別を受け、精神的な被害を被ったことが認められる。なお、謝罪文の交付等まで命じなければ原告の損害が回復できないとの証明はされておらず、理由がない。
(毎日新聞) - 9月15日19時10分更新

以上引用です。

JR東労組に組織混乱つづく

JR東労3 JR東労2 組合掲示板に貼り出された。掲示の一部です。参考資料としてください。

三多摩労研通信42号 労研事務局通知

労研事務局通知(laoyan shiwuju tongzhi)


88日、小泉首相は郵政民営化法案が参議院で否決され、衆議院を解散し

た。解散による総選挙は、830日公示、911日投票の日程で行われることになった。この間の「郵政」をめぐる自民党内の抗争は基本的には「郵政」利権をめぐる争いによるものである。350兆円にのぼる「郵政」の資金を獲得しようと狙っていた日米の巨大多国籍資本に後押しされた米ブッシュ政権と日本財界、金融界への小泉首相の「約束」のごり押しにすぎない。したがって、公の民(公民)に向けての大義名分などがあるわけがなく、小泉首相の私的な「欲」による解散である。前代未聞の「解散権の濫用」といわれても仕方があるまい。


さて、そうは言っても「選挙」という現実はある。小泉首相のマスコミを利用した

パフォーマンスによって、今回の選挙の争点が「郵政」問題に「歪曲」化されたような感があるが事はそう単純ではない。小泉内閣は20014月に発足した。小泉改革が日本の経済構造を変えそれが景気回復のきっかけとなったという。はたしてそうか。まず雇用者報酬である。前年度比(名目)を見ると2001年度は1.2%減、2002年度は2.3%減、2003年度は1.0%減、2004年度は0.1%減。一度も伸びたことがない。「ボーナス支給額が3年連続で伸びた」というが、あくまでも大企業を調査対象にした統計にすぎず中小企業の実態や大企業の中でも非正社員の実態はそこに表れない。「失業率が下がった」とも言われるが、その裏には、リストラや倒産で失業した多くの人々の存在とパート、契約社員など多くの非正社員の存在がある。厚労省調査によれば非正社員の4割は月給(税込み)10万円未満で、10万円以上20万円未満の人も4割いる。

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経済アナリストの森永卓郎はこう述べている。「小泉改革は短期間で多くの「

見えない弱者」を生み出したのだ。他方にはカネを右から左へ動かすだけで巨万の富を得る人々がいる。では弱者の立場に追い込まれる人々の多くが、にもかかわらずその『改革』を支持しているのはなぜだろう。……状況が苦しくなればなるほど市民は劇的な変革と『強い改革者』を求める心境になる。歴史はそう教える」「だが、独裁者に近(  、、)くほど支持が高まるという恐れもある。有権者が独裁者を強い改革者と認識してしまう場合である。総選挙で小泉氏が勝てば、彼は今まで以上に強い権力を手にする。誰も止められなくなるだろう。それほどの大きな権限を彼に与えてよいのか否か、を判断すべきだ」そして、「今こそ『改革とは何か』を必死で勉強するときだ」と。


更団結強烈起来了!(geng tuanjie qianglie qilai le)


再見!(zai jian)

             

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   ( M )


三多摩労研通信42号 こらむ ろうけん ろうけん

ろうけん  ろうけん    

 少し前の話になってしまうが、ロンドンで同時爆破テロが起きた(77)。朝のラッシュの地下鉄などが標的にされた大規模なものだった。当然、日本の警戒レベルも一気に高まり、JRなどではゴミ箱の撤去や監視カメラの増設を決め、警察やガードマンによる巡回など、警備体制がより一層強化されている。いずれにせよ、このような大事件で巻き添えを食い、犠牲になるのはいつも決まって一般市民である。まったくもって物騒な世の中になってしまったものだが、中央線とて狙われないという保証はどこにもない。ましてや乗客に扮した自爆テロなら防ぎようがないではないか。イラク派兵を決めた政府のおエライさんは電車など利用しないだろう。また、郵政問題然りである。山村の郵便局がなくなっても痛くも痒くもないはずだ。政府はこれ以上、弱者を混乱に陥れるのは止めてほしい。

まったく納得できない。

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( のり )

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