まあ、何と言うか、事実は小説よりも奇と言うべきか、呆れて言葉が出ないと言うべきか。ここ1週間ばかりの黒川某氏をめぐる一件には、人間の業というものを感じざるを得ません。一般人ですら自粛警察に叩かれる恐れがある中で、渦中の人物が新聞記者宅で賭けマージャンに興ずるなんて、どのような考えで出来たのでしょうか。いろいろな人がいろいろな考えを述べられているでしょうが、私が考えたのは主に以下の三つ。

 

 

   賭けマージャンをすることに対する罪の意識がなかった。

   新聞記者の自宅での賭けマージャンならバレないと思った。

   バレてもいいと思った。あるいはバレて欲しいとすら思った。

 

 

もし①だとしたら、かなりヤバイです。不要不急の外出を慎むようにと言われているのに、それを平気で無視して賭博行為を行う人が検事長だとしたら、日本の検察制度に対する信頼は完全に失墜します。

 

 

普通に考えれば②が本命でしょう。恐らく新聞記者の間では、賭けマージャンをしていることは周知の事実。でも記者も同席していてグルになっているので、新聞が記事にすることはないだろうとの甘い考え。新聞が記事にしなければ、テレビでニュースになることもないだろうと。その間隙を突いたのが文春。もともと文春は朝日新聞とはライバル関係にあるし、週刊誌の雄として、新聞社の不正を暴きたいという考えもあるでしょう。雑誌記者は外出自粛要請などものともせずに、ネタを探し回っているでしょう。渦中の人物ならばマンツーマンでマークしているはず。バレなければいいとか、バレることもないだろうとか考えるのは、甘すぎます。

 

 

さらに面白いのは、産経と朝日という左右の両極がともに雀卓を囲むという呉越同舟であったこと。さしずめ、検事長の右側に産経で左側に朝日の記者が座っていたのではないでしょうか。

 

 

個人的には、意外と③の可能性が高いのでは、と思っています。普通だったら検事長がマスコミに追い回されることはないでしょう。もしかしたら、定年後の悠々自適な生活を夢見ていたのかも知れません。息苦しさに耐えられなくなって、破れかぶれで賭けマージャンに救いを求めた可能性はあります。欲望は理性を超越します。依存症になってしまうと、命を賭しても、やってしまうことがあります。公職を辞すれば、好きなだけマージャンをすることだって出来るようになるでしょう。それを許さない安倍首相もろともにクビになるのを覚悟で新聞社の誘いに乗った。そんなシナリオも考えられます。

 

 

様々な対立軸が見え隠れする中での今回の騒動なので、様々な陰謀が蠢いていることも容易に想像できます。黒川検事長に黒田総裁で、真っ黒けっけやないか!とツッコミを入れたくなる安倍政権。黒字の黒なら縁起がいいでしょうが、腹黒の暗黒宇宙。どこまでも、闇は深いです。でも最も深いのは、人間のこころ。池の水は抜けばきれいになりますが、人間の欲望は尽きないので、いつまでも濁ったままです。