ヤママユガの飼育

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春蚕の繭かきを終えた頃に、今年も楽しみでヤママユガを飼育しました。現時点で、全て完了した訳ではないのですが、多くが羽化したのでブログに記します。

 

この2年くらいは室内のみで飼育を継続しています。その育て方も段々と形になってきたので紹介します。まずは、消毒を済ませた卵から孵ったヤママユの幼虫を飼育ケースで育てます。飼育ケースは、昆虫などを育てる市販のものです。ふ化してから3齢になるくらいまでは幼虫の動きがすごく活発で、野生なので家蚕と違い、エサを探してどんどん歩き回ります。それが室内で脱走すると探すのが大変なのでケースに閉じこめておきます。

 

 

 

 

この図は、農文協特産シリーズ「天蚕」に掲載されているものです。このように挿した枝を飼育ケースの中に入れて幼虫を這わせます。この時の枝は新芽が伸びた柔らかな部分です。要注意なのは、図のように瓶の口のところを脱脂綿等でしっかり塞がないと、幼虫は柄をわたって水に入り水死してしまうことです。

 

 

 

 

 

4齢くらいになると、体が大きくなり激しく動き回ることもなくなります。そうすると、飼育ケースは卒業です。

 

 

 

 

 

この図は、江戸時代の指南書「山繭養法傅抄」に載っているものです。当館でも、以前はこの様に容器に水を入れ、大きな枝ぶりのクヌギを挿したこともありましたが、かなり大きな容器を準備しないと枝がバランスよく立たないことや、幼虫が枝から這い下りることがネックでした。

 

 

 

 

 

そこで、枝を逆さに吊るすことに行き着きました。物干しにクヌギの枝を吊るし、そこに幼虫を這わせます。枝の切り口には、水を含ませたオアシスを挿して、葉がしおれないようにします。これは他で見た事がないので、当館独自のやり方といって良いかなと思います。たまに、幼虫がボテッと床に落ちることはありますが、大量の徘徊はありません。屋内で飼ってみたい方にはオススメです。

 

 

 

 

 

今年の飼育時期はとても暑く、オアシスを挿していても葉がしなびやすかったので、枝は1日置きには差し替えました。

 

吊るす方法は、屋外飼いと違い、幼虫は自力で新しい枝に這って行くことは出来ないので、人間が補助してやる必要があります。這わせていた枝に葉が無くなると、その枝を幼虫がついた状態で切り、新しい枝に洗濯ばさみで留めます。そうしておくと新しい枝に自力で移ります。5齢になると、体が重いからなのか動きはとてもゆっくりです。幼虫は大人しいので補助作業は簡単です。こうしてお世話していると、まるで家蚕のお世話をしているかのようです。昔の人は、このヤママユガの生態を観察するうちに、これなら飼える、山に行ってわざわざ落ちている繭を拾ってこなくてもたくさん手に入ると思ったのだろうなと思います。それをまとめたのが、前述した「山繭養法傅抄」などの指南書になるのでしょう。

 

 

 

 

 

蚕絲館のYouTubeチャンネル「sanshimovie」にアップしているヤママユガの幼虫が葉を食べているところ。

 

 

 

 

 

孵化から繭をつくるまでには、50日以上掛かります。糸を吐き始めて繭が出来上がるのは3日くらいです。

 

 

 

 

 

繭が出来上がってからも、中で蛹化するので数日はそのまま吊るしておきます。

繭がたくさん収穫出来たら、写真の入れ物に移します。ちなみに、これはペット用の折畳みケージです。

 

 

 

 

 

ケージを毎朝チェックして、羽化していたら、羽根が広がってちゃんと乾いたことを確認してからペアリングの籠に移します。

 

 

 

 

 

籠に移したオスとメスです。手前のオレンジ色の蛾がオスで、黄色の蛾がメスです。

 

 

 

 

 

右の繭は、以前クヌギの木をネットで覆って飼育した時のもの、左側にまとまった繭は今回のものです。見ての通り、右の繭の方が大きい。屋内での飼育は、葉を自由に食べられないので体が少し小ぶりになってしまったのだと思います。今より大きく育てようと思ったら、もう少し工夫が必要ですね。

 

 

 

 

 

ヤママユガの卵です。交尾した後、メスは籠の外にお尻を出して、籠の外側の枠に卵を産み付けます。

いま、まだ羽化待ちの繭が10数粒あります。今年もこの繭は生糸にはせず、すべて羽化させて出柄繭にします。