2018年春蚕の経過報告

テーマ:

 

6月3日(日)のBS朝日『暦を歩く』をご覧いただきました皆さま、ありがとうございました。

この番組は、一年の時の移ろい=「暦」を四季折々の「歌」に織り込み、それぞれの歌に息づく日本人の原風景を一篇の詩のような美しい映像でお届けするのがテーマだそうです。番組HPの中に、バックナンバー#171「養蚕」(群馬県安中)があります。この回の歌は、小林一茶の俳句「さまづけで育てられたる蚕かな」でした。暦の1つに加えていただき、嬉しいです。

 

せっかくなので季語を調べてみると、晩春には、蚕にまつわるものがたくさんあるのですね。桑、桑摘、蚕飼(こがい)蚕卵紙(たねがみ)など。面白いところで桑売(くわうり)というのがありました。ベテラン農家さんの話で、養蚕が最盛期の頃は桑が余ると他の農家に売ったり、足りないと買いに走ったというのを聞いています。いまはあまり聞きません。それから、蚕豆(そらまめ)の花というのもありました。

 

 

 

 

 

 

さて、当館の春蚕のご報告を。

5/26に5齢の1日目を迎えた写真です。

 

 

 

 

 

 

これは5齢6日目のお蚕さんです。

桑を毎日食べて、飼育台に枝がたくさん積み上がりました。一般的な飼育台では5齢期の途中で一度掃除をして、食べ残しの枝や蚕糞を片づけます。当館の飼育台は深いので、5齢途中での掃除はしません。なので、5齢の蚕が食べた桑の量がよくわかります。

 

 

 

 

 

 

トラックの荷台の桑は、飼育台1列にいる蚕が一番食べた日の写真です。枝の重さも入っていますが、1日に約200キログラムを食べました。

 

 

 

 

 

 

糸を吐き始める前日のお蚕さんです。

 

 

 

 

 

 

飼育が始まった日と比べると、成長の早さと大きさに驚きます。5齢の蚕は卵から孵ったばかりに比べ体重が約10,000倍、体長が約25倍といわれています。当館が今回飼育した「新小石丸」は一般的な蚕品種より飼育日数が短いので、数字はこれよりも若干小さいでしょう。

 

 

 

 

 

 

そして、卵から孵って23日目の6/1に当館のお蚕たちは、糸を吐き始めました。

お蚕上げの日は養蚕ワークショップでした。作業の様子はton-caraさんがブログに詳しく書いて下さいました。ぜひご覧ください。

 

 

 

 

 

お蚕上げをする前日の夜までしっかり桑を食べさせたことと、当日は晴天に恵まれ、この春の蚕達は直ぐに繭をつくり始めました。例年だと夕方には肌寒くなるので直ぐに室内を温めないと蚕の活動が鈍るのですが、この日は暖房をつけなくても20時頃まで室温は22℃ありました。なので、蚕は長い時間とても心地よく糸を吐くことができました。

 

 

 

 

 

 

蔟中1日目の夕方、ほとんどの蚕が格子の中に納まって繭をつくり始めたので回転を止めるストッパーをしました。白い丸の部品がそれです。回転蔟の特徴は蚕が上へ上る習性を活かしています。上部の格子に蚕が住まいを作り重くなると、その重みで自然に回転し、下部だった空き格子に蚕がまた上り、まんべんなく蔟に繭が作られます。このときの回転は激しくなる場合があり、弾みで蚕が地面に振り落とされることも少なくありません。農家によってはこれが可哀相で、天井に吊るした時に直ぐストッパーで固定し、人間が時を見て優しく回転させるという方もあります。振り落とし以外にも、回転させない方が蚕は落ち着いて繭をつくることが出来ます。当館は人間が就寝している間が困りますから自然に回転させますが、この話を聞いてからは以前より早めにストッパーをするようになりました。

 

蚕は繭を作り始めてから3日以上経つと糸吐きを終えます。吐いた繭糸の長さは1000m以上になります。繭の中からは糸を吐くピチピチという小さな音が聴こえなくなり、無になったような静けさです。中では幼虫から蛹への変態が行われています。あとは繭かきの日を待つのみとなりました。