5月14日(日)、ton-caraさんの『麻のお茶会』に参加しました。

ton-caraの店主フセさんが機織りを習った「布衣風衣」の渡辺さんご夫妻を招いての麻のお話会です。

 

お話しから、ご夫妻が生活の中に根ざした自家織物の文化や手技にたいへん心を配られていることがわかります。それは麻に限らず、樹皮や木綿、絹と多義にわたります。今回は、そのなかから大麻にウエートを置いた内容でした。

 

上記の繊維は大麻の表皮と茎の間にある内側の繊維を剥いだもので、これは糸を作る前の原料です。手前から群馬県の岩島麻、福島県昭和村の手引きのモノ、同じく昭和村の機械引きのモノ、栃木の野州麻です。こうして産地で見比べる機会はなかなか無いでしょう。特に岩島と昭和村は貴重。現在個人で入手にすることは困難でしょう。

 

 

 

 

 

 

ご夫妻は、麻の栽培から織るところまでの技がのこる、おそらく最後の村に長年通われたそうです。フセさんのお話だと取材対象だった方々は20年前にもうお亡くなりになっているそうです。取材当時は、すでに大麻布の需要が無くなり織られなくなっていたとか。ただ技術を持っている女性が村に数名ご存命だったので、その方々に反物の製造を依頼し、その作業をつぶさに記録したのだそうです。

 

その記録映像を今回見せていただくことができました。麻の栽培から、繊維を採取するところ、糸績み、整経、機織りまでです。生活の中で培われた細やかな技が生き生きと記録されていました。

 

 

 

 

 

 

他、貴重な資料を幾つも見せていただきました。手前は祭りの時に馬の背に乗せた型染めの麻布。奥は型染めの布団カバーです。

 

 

 

 

 

 

見せていただいた大麻布は東北と関東のものが多かったのですが、こちらは対馬の麻。対馬は気になっている場所の1つなので感激しました。質問にも気さくにお答えくださり、とても楽しく興奮した時間でした。ありがとうございました。

 

麻は「木綿以前」とよく言われ、日本では木綿が入ってくる以前は山や野に自生する木や草から糸をつくって衣にしていたといわれています。わたしは麻に関心を持った20代のときに「木綿以前=麻」と漠然とくくって、そのときの認識のまま40代に突入しているのですが、今回のお話会を切っ掛けに、もっと深く繊維を味わいたいという気持ちになりました。

 

 

 

 

 

 

今回のお茶菓子、手づくりの草もちが美味でした。

 

5月に入り、養蚕準備やご注文の糸の製作で忙しい日々を送っているので、この休日のお茶会は清涼剤になりました。これで、また一週間頑張れます。