まりあが落ち着いてから詳しく話を聞いた。
直人が別に一部屋とってあるコレクション部屋を掃除してる時だった。
棚の上に置いてあるスニーカーを降ろし、ホコリを払おうとした時に踏み台から落ちたらしい。
その部屋を覗いてみると、直人が趣味で集めたスニーカーと帽子が散乱している。
相当派手に転んだのだろう。
片付けは明日すればいい。
それより今は、彼女の側についててあげよう。
直人はすぐにまりあの部屋に戻った。
まりあはベッドに座って、憔悴しきっている。
「直ちゃんが大切にしている物を…ごめんなさい」
「あんな高いとこまで掃除しようとしたの?」」
「うん、そしたらバランス崩しちゃって」
「…大切なスニーカーに傷がついたかも」
「どうってことないよ」
「それにしてもあれだけ派手に転んだら、しばらく立てなかったろ?」
まりあの額に触れた。
「ん、痛かった」
「掃除なんていつでもいいのに…」
頭をヨシヨシと撫でてから、顔を近づけキスしようとすると、直人の腹が大きな音を立てた。
「直ちゃん?」
「あ~、腹減ったぁ…」
「ひょっとしてライブ終わってから、何も食べてないの?」
「ん、それどころじゃなかったからさ。一秒でも早く飛んで帰りたくてね」
「直ちゃん…」
「なぁ、腹減ってない?俺が何か作るよ」
「私が作るから、直ちゃんはゆっくりしてて」
「たまには彼氏に甘えなさい」
「…」
「パラパラかにチャーハンのうにホワイトソースがけでもいいか?」
「…うん、美味しそう」
「冷蔵庫にウニなんて、あったかなぁ?」
つづく