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2022.9.10 花巻駅

2014年より2023年まで岩手県の花巻と釜石の間を走った快速「SL銀河」は、東北の動態保存蒸機ということや気動車を用いたパワフルな編成ということで、大変人気な列車となりました。


2015年8月にはプラレールにて、2016年4月にはカプセルプラレールにて、フル編成での製品化がなされました。

これら製品は一応おもちゃながらC58とキハ141系列の特徴をよく掴めており、また当時は本格的な鉄道模型に製品が無かったためかなりの人気商品となりました。

カププラは中古市場でも頑張れば数千円で手に入り、また2022年に再生産があったため落ち着いてはいます。しかしプラレールとなれば、元の箱に入っているなら数万円、車両だけでもそれなりに高額で取引されています。


東北の車両の製品化はそこまで多くはなく、地元の子供達は限られた車種か他の地方の車両で遊ぶしかありません。

もしSL銀河を家族親戚にせがんだとしても、あまりの高値に諦めるよう諭されるでしょう。

そのため人々は再生産を待ち望みました。


2023年始め頃になって、某通販サイトに「SL銀河」の文字が現れ人々を驚愕させます。

そして1月末、ついに公式発表がなされます。

「SL銀河 クリアカラー 2023年3月発売予定」


はて、クリアカラーとは???



プラレール 銀河ドリームライン C58形239号機 SL銀河 2023年3月15日発売

←釜石・盛岡(・青森)       (弘前・)花巻→

C58 239+キハ143-701+キサハ144-701+702+キハ142-701


公式側

非公式側

※私のこだわりで持っている蒸機は全車の動輪位相を右先行(一部左先行)にしています。


C58 239

1940年(6月26日とする資料もあるが詳細不明)

                    川崎車輌兵庫製 No.2321

                    新製配置 名古屋局稲沢

1941年2月 転属 奈良

1943年5月 転属 宮古

1950年代後半 郡山式集煙装置取付

1968年12月 シールドビーム化

1970年2月 転属 盛岡 集煙装置撤去

1970年2月28日 山田線SLさよなら列車牽引

                             宮古~釜石

1971年4月 転属 八戸

1971年10月28日 八戸線SLさよなら列車牽引

                               八戸~久慈

1972年5月22日 廃車

1973年5月1日 岩手県営運動公園(盛岡市)にて

                           客車・貨車と共に静態保存

                           オハ35 2001 ハワム187953

2012年10月 釜石線での蒸機列車運転を決定

                       仮称「SL銀河鉄道」

2012年12月 保存車3両を搬出

                       C58・オハ35は大宮工場へ

                       ワムは神奈川県内(経緯不明)

2013年2月 ボイラーをサッパボイラへ搬入

2013年9月 サッパボイラから搬出

2013年11月6日 列車名発表「SL銀河」

2013年12月12日 火入れ式

2014年1月6日 復籍 盛岡車両センター所属

2014年1月7~22日 高崎支社管内で試運転

                                   のち盛岡へ回送

2014年3月7日 「みちのくSLギャラクシー号」

                          より営業運転開始

                          釜石→花巻

2014年4月12日 「SL銀河」運行開始

2019年 運行開始5周年

              静態保存時代をイメージした装飾

2022年7月 青ナンバーで運転(製品の仕様)

2023年6月4日   「SL銀河」一般向け運行終了

2023年6月11日 「SL銀河」団体最終運行


C58形は1938~47年に製造された、万能機を目指した機関車です。国鉄、私鉄、海外合わせ431両が製造されました。

2023年現在は239号機と363号機が動態保存され、それぞれ「SL銀河」「パレオエクスプレス」として活躍しています。

ほか北海道から九州に静態保存機が点在します。


2015年製品では装飾の無いごく普通の仕様でした。今回製品は煙室上の給水温め器と前照灯ライトリムが金帯付、ナンバープレートが青の2022年7月頃の仕様となります。

ナンバープレートはいつも通り横長です。16番ゲージのものを付けたいところですが、プラレールたった1両のためだけに10機分のナンバーセットを買うのは気が引けます。最近はテプラで作る方法もあるので、もしご興味あればやってみましょう。

しかし客車と一緒に機関車までクリアにしなくて良かったですね。クリアだと重厚感が無くなってしまいます。前例はありますが。(C62重連セットのクリアカラーとかいう代物)

前照灯•副灯のLP405、炭水車前照灯のLP43が作り分けられています。副灯が高いという東北形の特徴をおさえています。

点灯はしませんが、腕に自信のある方はいかがでしょう。でも副灯は点かない方がリアルですヨ。

※プラレールの改造は自己責任で。メーカー補償は受けられません。


プラレールではC58は3種類存在します。

1970年代にはD51にダミー動輪と炭水車を追加したものがありました。

単品ではスハ43に緑帯を入れたスロ51or53が連結されています。セットではテンダー機対応の大転車台に付属していました。

当たり前ですが239号機はその金型ではなく、新規で起こされています。


2016年には239号機をベースとした京都鉄道博物館のC58 1が製品化されています。

お召装飾の静態保存仕様で、色々と239とは作り分けられています。



←キハ143-701 キサハ144-701→

東北線基準 山側側面


キサハ144-701 キハ143-701→

東北線基準 海側側面


キハ143-701

1978~82年 新潟鐵工所製 オハフ51 27

1995年3月31日 気動車化 キハ143-155

                             施工 苗穂工場

2012年11月28日 譲渡 JR東日本 除籍

2014年1月23日 復籍 キハ143-701


キサハ144-701

1978~82年 富士重工製 オハフ51 7

1994年3月25日 気動車化 キサハ144-101

                             施工 苗穂工場

2012年11月28日 譲渡 JR東日本 除籍

2014年1月23日 復籍 キサハ144-701


←キサハ144-702 キハ142-701→

東北線基準 山側側面


←キハ142-701 キサハ144-702→

東北線基準 海側側面


キサハ144-702

1978~82年 富士重工製 オハフ51 10

1994年3月29日 気動車化 キサハ144-103

                             施工 苗穂工場

2012年11月28日 譲渡 JR東日本 除籍

2014年1月23日 復籍 キサハ144-702


キハ142-701

1978~82年 新潟鐵工所製 オハフ51 30

1995年1月9日 気動車化 キハ142-201

                             施工 五稜郭車両所

2012年11月28日 譲渡 JR東日本 除籍

2014年1月23日 復籍 キハ142-701 冷房化


2014年3月7日 「みちのくSLギャラクシー号」

                          より営業運転開始

                          釜石→花巻→郡山

2014年3月8日 郡山→上野

                           尾久→上野はD51 498牽引

2014年4月12日 「SL銀河」運行開始

2023年6月4日   「SL銀河」一般向け運行終了

2023年6月11日 「SL銀河」団体最終運行

2023年6月19日 秋田総合車両センターへ回送


キハ141系は1990~95年に、北海道にて余剰となった50系オハフ51形の気動車化により製造されました。

客車の気動車化というジャンルでは大成功を収め、最多の44両が改造されました。


釜石線での蒸機列車運行にあたり、C58単独では牽引力に不安がありました。※D51 498が入線したときもDE10を2両付けたほどの急勾配路線

そこでキハ141系を4両購入し、後補機兼客車として使用しています。客車から気動車になって自走客車になりました。公式的には気動車でも客車でもなく「旅客車」と濁していますが、気動車です。乗るとディーゼルエンジンの鼓動がわかります。

キハ141系の生みの親JR北海道では電車と気動車の協調運転がありますが、蒸機と気動車の協調で対抗?しています。


SL銀河は釜石線の列車ですが、所属は盛岡です。花巻駅の構造の都合で盛岡~花巻の回送列車はキハ141系でC58を牽引しています。

普通の客車列車ならC58をバック運転するか他の機関車を用意することになるので、効率化に寄与しています。


2015年製品は各車異なる成型色に側面デザインのステッカーを貼っていました。今回は各車異なるクリア成型で、側面デザインは印刷となりました。

クリア成型は賛否両論ですが、遠目で見ればまあ良いのではないでしょうか。しかし2015年製品の価値は下がっていないので未だ入手困難です。

プラレールもカププラもそうですが、キハ142・キハ143の正面が細かく作られています。そのおかげか塗装変更してキハ141系に復元された作例がネット上にあります。

プラレールの仕様ですとキハ142側にC58が付く上り列車(釜石→花巻)にはできません。分売パーツの中間動力用連結器を買うか、腕に自信のある方はごく普通に店頭にある補修用連結器セットから改造しても良いでしょう。


このまま先頭にしたいくらいのクオリティ。なお実車では必ずこの顔が先頭で走る機会があります。


プラレールではこれ以外にも50系客車が何度か登場しています。

2002年に登場した「ドラえもん海底列車」では、EF81と私鉄特急中間車をドラえもんラッピングし「ED79と50系」と言い張っています。

2003年の「JR北海道スペシャルセット」では釧路湿原ノロッコ号が完全新規で登場しました。789系スーパー白鳥とキハ400+スハネフ14の急行利尻との渋いセットで、かなりの価値があります。

ディテールも良く大変素晴らしい出来ですが、その金型は1度しか使われていません。

2009~2018年には一般販売の「SL人吉」として完全新規で登場。2019年以降はイベント限定の「SLあそBOY」に流用されています。



2014年より運行しています「SL銀河」ですが、キハ141系の老朽化により2023年6月をもって運行を終了しました。

末期はやはり乗車希望が殺到しており、指定席券は1ヶ月前の10時の発売と同時に完売となっていました。


またC58 239の動向は6月現在未定です。「新たな観光列車」という計画もありますが、そこにC58が起用されるかはわかりません。

ただしSL銀河が「東北のための列車」であったため、もし再活用があるのなら東北エリアでしょう。

いずれにせよ客車がありませんので、「SLやまぐち号」のような新造車になりそうではあります。そういえば2011年頃に「東北に新型客車を造る」なんて噂ありませんでしたっけ。私の思い違いかもしれないですが。