私の恋愛身分証明 第五話 有名なバンドマンの男 | なんやかんやあって最終的にYouTuberになった人のブログ

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ここではその情報やなんか適当にぺぺーいと記事書きますよ

 心が荒むには理由がある。裏切られた時、努力が無駄になった時、心を無くした時。私にとって大きな負荷がかかったのはプライドを傷つけられた時。
 ブスに浮気をされるという失態を犯した事実は、何年経っても消える事がなかった。そもそも男を信用した事がいけなかった。あの出来事が私に与えた影響は、付き合う男の条件をさらに複雑にした。

 イケメン
 服のセンスが良い
 私を猫っ可愛がりする
 お金を持っている
 刺激がある etc…

「お前躍動してるなwww」

 硬質化した価値観をあいつは楽しそうに笑っていた。最近になって思ったけれど、あいつも狂ってはいないか?
 
 イケメンが絶対条件には変わらない。その上で様々な条件が付随しているけれど、この条件を全て満たす相手を探すのは困難なのでは?と思われても気にはしない。現実に出会ってしまうのだから。

「お待たせ」

 変装もせずに堂々と歩く。マスクはしていたけれど、変装ではなく職業柄か喉を大切にしており、夏でもマスクは欠かせないらしい。有名なバンドマンの割には脇が甘いように思えるが、本人曰く大丈夫なのだと。

 有名人と撮った写真をよく見せてくれた。中にはテレビでもよく観るお笑い芸人も居た。彼のバンドの大ファンらしい。

 会う時はいつも車で迎えに来てくれる。デートはいつも奢りで、ご飯も食べたいものを与えてくれた。その時にもらった洋服は今でも着ている。出会った人の中でセンスはずば抜けて良かった。さすが売れているだけあって、そういう嗅覚は別格だ。

 いつもプレゼントをくれた。さすがに貰いすぎると思い入れがない。こういうのは特別な日に貰うか、サプライズで貰う方がありがたみがあると思う。

「ありがとう!!!」

 コンビニで会計を終えた後、テンションMAXでお礼を言う。これが彼の普通であり、何かやばい薬でやっているのかと疑ってしまうけれど、その心配は杞憂に終わった。ただただ変な人だった。

 とにかく刺激の強い日々が続く。公開する前の新曲の弾き語り動画を送ってくだ時は特別感に酔いしれた。ただ私は彼のバンドには興味はなく。特別扱いをしてくれる事のみ欲していた。

 彼との出会いはSNSだった。顔をちょっと載せただけで簡単に釣れるから便利だ。映えた加工写真?そんな必要はない。私の存在自体が加工されて生まれきたようなものだから。

「夏海あれは何?」

「あれ?」

 彼が指摘したのは私のSNSのアイコン。出会ったのはSNSだけれど、フォローをされていたわけじゃないので見ているとは思わなかった。

「アイコン!!」

「あっ…」

 その時にSNSのアイコンにしていたのは、最近出会ったイケメン美容師とのペア画だった。 
 その事をあいつに報告した時は

「お前こそ脇が甘いんだよ」

「わろたwww」

 有名バンドマンは付き合っているつもりだったらしい。私は遊びの延長でいい思いをしていただけで、そこまで真剣だった事にびっくりした。

「あーあ、勿体ねーな」

「いいんだよ別に」

 特別な思いはしていたけれど、決して満たされていた訳じゃなかった。一人に縛られる事に何の意味があるのか理解できない。そんな純愛を私は求めていないし、求められても困ってしまう。

 私が浮気をした事で別れるという形に落ち着いた。そもそも付き合っていないのだから浮気と言われても…と戸惑うけれど、おあとがよろしくなかった。

「今まで貢いだ金を返せ!」

 イケメンでセンスもあり、名声を手に入れお金もあるのにケチだった。貢いだお金? それはあなたが勝手に貢いだだけで、おねだりをした事もない。

「金持ちはケチだから金持ちなんだよ」

 そういえばあいつが前に言っていた。その時は意味がわからなかったけれど、今ならわかる。

 少し成長出来た。

「学ぶところがなんか違う気がするけどwww」

「今度はうまくやるwww」

「次がある事が怖ぇなお前の場合は」

「まあねwww」

 調子に乗っているわけではない。これがリアルであり、日常なのだから。

 もちろんイケメン美容師とも付き合っているわけではない。それはまた次の話。

 今もまだ、魅了するラブソングをファンに送っているけれど、その歌が私へのラブソングなのは草しか生えない。

 私の目の前を有名で哀れなバンドマンが通り過ぎていった。