『ショックドクトリン』概要↓
◇二人の“ショック博士”=キャメロンとフリードマン
  キャメロンは一人の人間に対する、フリードマンは国家に対する“ショック療法” を唱えた
◇キャメロンは鬱などで受診してきたた患者(ゲイル・カストナーもその一人)を使い
 ①度重なる電気ショックや窓のない部屋で食事の時間をわざとめちゃくちゃにするなどして時間感覚を失わせるなどして記憶を抹消
 ②精神を“白紙”状態にし、そこに情報を書き込むことで新たな人格をつくりあげようとした

  =治療の名目で拷問を行い洗脳実験をしていた。

 

  人格破壊には“成功”したが、 ②の新人格の形成は失敗 
                                                                                                                                        *ケインズ主義VS新自由主義(シカゴ学派(シカゴ・ボーイズ))※名称変幻自在!
*ケインズ主義:世界大恐慌(1929)への対応と共産主義(cf 1848 共産党宣言)への対抗
   所得再分配・企業活動規制のために政府は経済に介入すべき 
*新自由主義 :ハイエク、フリードマンなどシカゴ学派(映画では“シカゴ・ボーイズ”)
   政府は一切規制をすべきではない―ケインズ主義敵視

*フリードマンの描いたモデル:一切規制をかけない自由市場主義経済では、個々人の自由な投票と消費者選択によりすべてうまくいく。企業がもうかれば“トリクルダウン効果”で庶民も潤うとする。だから政府は価格抑制や最低賃金設定をすべきではないとする。

  実際は平均収入以下の人のほうが多く、かつ所得再分配をしてくれそうな候補者に

 その票が流れる傾向にあり、その場合フリードマンのモデルは実現困難になる

 *1982 フリードマン『資本主義と自由』の序:

  現実の、あるいはそう受け止められた危機のみが、真の変革をもたらす。

 危機が発生したときに取られる政策は、手近にどんな構想があるかによって決まる。

 われわれの基本的な役割はここにある。すなわち既存の政策に代わる政策を提案して、

 政治的に不可能だったことが政治的に不可避的になるまでそれを維持し、

 生かしておくことである。」=ショック・ドクトリンの本質を表した一節

  *フリードマンのモデルは実際はサッチャー以前は独裁政権でのみ実現。

   ∵民主主義政権は選挙の洗礼を恐れて実行できず

   しかしサッチャーは実行 ∵ フォークランド紛争での大勝利による支持率の劇的上昇

 

◇サッチャーと同時期にアメリカ大統領をしていのがレーガンで、やはり新自由主義政策をとっていた。

  レーガン+エコノミクス(経済学)→レーガノミクス ⇒ これをもじって「アベノミクス」

◇新自由主義は実際は政治団体や個人に対する残忍な弾圧(拷問)に支えられてきた

◇フォード財団がシカゴ学派への資金提供者であることからもわかるように、

実際はいわゆる自由放任を唱える新自由主義のほうが

ケインズ主義より一層、(特定)富裕企業と政府の結合が密に。

  アイゼンハワー大統領(1890-1969)が危惧した軍産複合体というレベルを超えた

コーポラティズム国家が形成されつつある。

その征服しようとしている“フロンティア”は

アラブにおける石油経済、

西側諸国でこれまで営利から切り離されてきた

  災害関連事業や

  兵力供給事業。

これらの民営化にあたっては、
うわべだけでも国民の同意を得ようということさえない。

 しかし“ショック”(惨事、ないし拷問)の役割は隠ぺいされており、

イラクや

ニューオーリンズ(ハリケーン・カトリーナ)での

民営化強行なども、

ブッシュ政権の無能力や縁故主義のゆえだと誤って説明されている

関連略年表
1948     電気ショック療法というアイディアが“発明”される
1950年代   マギル大学で精神科医ユーイン・キャメロンが電気ショック療法などを利用した、      “尋問”実験(実体は拷問)を行う
1973.9.11   民主的な政権が続いたチリで、ピノチェト(ト(t)は本当は発音しない)らが

       軍事クーデタを起こし、非暴力で言論でのみ抵抗したアジェンデ大統領を虐殺。 
        このときフリードマンはピノチェトの経済顧問を務め、

      多くの国民がショック状態になっている間に、

      減税、

      自由貿易、

      民営化、

      福祉・医療・教育などの社会支出の削減、

      規制緩和

    などを矢継ぎ早に強行するようピノチェトにアドバイス。
      ピノチェトはこれらの政策に抵抗する数十万人の人を拘束し拷問した。

1981   ハイエク、チリを訪問し感銘を受け、

    イギリスのサッチャー首相に書簡を送り、

    チリをモデルとしてイギリス経済をケインズ主義から転換するよう促す
     低支持率に悩んでいたサッチャー、

    選挙の洗礼がある民主主義国では無理だとの断り状を出す

      フォークランド紛争 大勝利によりサッチャーの支持率が急伸
      炭鉱労組を“内部の敵”と位置づけ、ストライキを大弾圧
1992  ゲイル・カストナー、散歩中に新聞の見出し

    =「洗脳実験 犠牲者補償へ」
     を目にし、初めて自分が人体実験の被害者だと知る
2001.9.11     いわゆる同時多発テロと対イラク戦争

 

 <国内> 
 政府の中枢部門や機密レベルの任務のアウトソーシング進行
     例 アメリカ政府が企業に発注したセキュリティ関連の契約数

     03年 3512件⇒ 05~06年の1年10か月間 11万5千件

     ここでは政府の役割はそれらの企業の管理ではなく、

   潤沢な資金をもつ投資家であり顧客。

 <国外>
 ・バーガーキングやピザハットを戦地に引き連れていく
 ・人道・復興
  学校建設などもユニセフでなくベクテルが直接請け負うように

  国連平和維持軍でなく、

 ブラックウォーターのような民間セキュリティ会社に直接戦地に行かせる
  つまり戦争それ自体が市場創設
2003.5  ナオミ・クライン、大惨事(ショック)時に

      自由市場がいかに便乗するかの調査を開始

2004.末  大津波

        スリランカで、外国投資家と国際金融機関が結託し、

      パニックを利用し、
      村を再建しようとしている漁民数十万人を海岸から締め出し、

      リゾート・ビーチを建設

2005.9    ハリケーン・カトリーナ
        *不動産業者「今なら一から着手できる白紙状態にある。」
        *例 バウチャー配布
        *             公立校   民営学校
          ――――――――――――――――――              

             ハリケーン前   123       7
             ハリケーン後     4       31

 

以下 katsukoのコメント:

現にアソウは2013にCSISで水道だけでなく学校も民営化すると言っています。

 

たしかに日本の公立学校は主任制、職員会議での採決禁止通達、教育基本法改悪と

どんどん悪くなってきています。でも数が減ればなおさら統制は進むし

かつ私立は私立で内容がよくなるのかというと、

学費が払えない人が上の学校に進めない状況が進むだけでは?