映画「ショックドクトリン」“ネタバレ”注意 140225katuskoのブログ

映画「ショックドクトリン」を観ました。

原作はかなり厚い本が上下巻あるのですから当然でしょうが

相当テンポが速く、転換も急で、まだ消化しきれていません。

印象に残った点を断片的にいくつかメモします(時系列ではありません)。


◇ フォークランド紛争

これ、若い方は、同時代のこととしての記憶はないでしょう。

大英帝国がアルゼンチンをやっつけた戦争です。フォークランドという

アルゼンチンの南のほうにある島を巡って。イギリスが自分の領土を

侵すなと強弁して。

観て初めて知ったのですが、こんな名前の島、誰も知らなかった

のですって!

サッチャーの新自由主義(規制緩和ーというか規制をなくす、

に近いー、民営化)には、反発もすごくて、その反発のエネルギーを

逸らすため、というお定まりの戦争惹起だったようです。

何を言いたいのかというと―尖閣という名ね、みなさん、

今まで知ってましたか?

誰が尖閣という名を有名にしたのか?


◇調べればわかることだったのですが、あまりに常識のような

つもりになっている事柄って、改めて調べないですよね。

何のことかというとラムズフェルドの名。

あの殺戮者(というかまあ傀儡<かいらい>ですが。)ブッシュ

大統領(Jr.)のときの国防長官。

この人、シカゴ学派(これ、日本語では学派なんて

訳されていますが、シカゴ・ボーイズと呼ばれているんですね。

フリードマンの思想的子どもということかな)だったそうです。

フリードマンというのは新自由主義の主唱者というか首謀者

です。

イラク戦争の後、米系資本がどんどんどんどん入っていって、

民営学校なんかをどんどん建てた。

とするとですね、イラク戦争でイラクを徹底的に破壊した後、

ショックドクトリンを実行する、そのために9.11を起こしたのでは

ないでしょうか。

なにしろ深謀遠慮に富んだ人たちですからね。

広瀬隆さんがイラク戦争と同時ぐらいに、すでに

“復興”自体が目的なのではないか、と書いていました。

ブッシュのときの副大統領チェイニーはハリバートンのCEOか

何か。巨大ゼネコンです。

チェイニーもシカゴ・ボーイズかな。



◇大ハリケーン、カトリーナの直後にフリードマンは死んだのですが、

フリードマンは言ったそうです。痛ましい、しかし新自由主義を

実現する格好の機会だと(再現不正確)。

実際このときも、公営学校がたくさん水没したり、壊れてしまったりした

のをいいことに、民営学校がたくさん作られたようです。



◇新自由主義とは、公の部門とされていた事業を民営化して、

その会社に税金を還流させるシステム。



◇安倍晋三は、第一期のとき、教育バウチャー何とかと

言ってましたね。 全学校の民営化への第一歩というつもり

だったのでしょうね。

今の教育委員会廃止案も、首長をせっかく自民系にしても、

教育委員会5人全員を同じ傾向にそろえるのは難しい

(教育委員は前の首長が任命しているし)ので、

思い通りにならない可能性がある、それで出てきた案

なのでしょう。


cf 教育基本法改悪から早10年。田母神60万票はその成果か。



cf 杉並の和田中がサピックスに放課後の教室で営業させた

のも(親はサピックスに授業料を払うのですが、サピックスとしては

家賃ないしローンを建屋のために支出しなくていいので

こんないい話はなかったでしょう。しかも学校となると

学校より少し遠い駅前の塾校舎に行かせるより親は安心なので、

入塾希望者はとても多かったのでは?)

受験戦争に勝ち抜くという新自由主義の洗礼の水に、

よりどっぷりと浸からせるためだったのでしょう。



◇学生時代‟サンチゴに雨が降る”を観ましたが、

ショックドクトリンの映像を観ると、映画は甘かったような気もする。

素手かせいぜい投石しかできない、福祉に厚いアジェンデの治世を

望むデモに対し、軍は戦闘機を出していたのですね。

さすがにデモ隊自体を爆撃したのではないですが、議事堂を

などを爆撃していました。民主主義の破壊といいますが、文字通り。



◇新自由主義という悪に対し民衆が戦ってきた歴史の記録と

いう観方をする限りでは、また近現代史の復習(?学習?)という

意味では優れた映画。

ただ新自由主義という語の後ろに隠れているロスチャイルドとか

ロックフェラーという固有名詞は出てこない。その意味では

☆5つが満点として☆3~4か。

でもやはり観るべき映画。あるいは勧めるべき映画。