Afternoon Cafe さん
http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-1338.html  から転載:

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「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ」byヘルマン・ゲーリング


 愛国者法と秘密保全法と改憲と
安倍総理が秋にも国会へ提出する秘密保全法、別名現代の治安維持法については村野瀬玲奈さんがこまめにエントリーをあげて下さっています。


◆村野瀬玲奈の秘書課広報室
国民から「国民主権」を奪う「秘密保全法」

この秘密保全法とよく似てるのが、自由の国であるはずのアメリカを全体主義的な監視国家の方向へ転換させた「愛国者法」です。
愛国者法とは、ざっくり言えば、テロと関係があると疑われてリストに載ると、司法の手続きに寄らずに常に当局の監視下に置かれ盗聴もされ放題、飛行機にも乗れなくなり仕事や国籍も奪われるおそれがあるという治安維持法のような法律です。
これは、911ごわずか45日で成立しました。典型的なショックドクトリンです。
テロ対策のために設けられたこの法により無くすことができるのはテロではなく、アメリカが誇りにしていた自由と人権でした。

この愛国者法と秘密保全法について書かれた堤未果さんの文章をお持ち帰り


◆ジャーナリスト堤未果のブログ
いま、最も危険な法案とは?
http://blogs.yahoo.co.jp/bunbaba530/67754267.html #
(引用開始)
「アメリカ発<平成の治安維持法>がやってくる!」
ジャーナリスト 堤 未果

3月31日、安倍総理は今秋国会での「秘密保全法」提出を発表した。
日弁連などが警鐘を鳴らし続けるこの法案、一体どれだけの国民がその内容を知っているだろうか? 

01年の同時多発テロ。あの直後にアメリカ議会でスピード可決した「愛国者法」がもたらしたものを、今ほど検証すべき時はないだろう。 

あのとき、恐怖で思考停止状態の国民に向かって、ブッシュ元大統領はこう力説した。
「今後、この国の最優先事項は治安と国会機密漏えい防止だ。テロリスト予備軍を見つけ出すために、政府は責任を持って全米を隅々まで監視する」

かくして政府は大統領の言葉を忠実に実行し、国内で交わされる全通信に対し、当局による盗聴が開始された。それまで政府機関ごとに分散されていた国民の個人情報はまたたく間に一元化され、約5億6千万件のデーターベースを50の政府機関が共有。通信業者や金融機関は顧客情報や通信内容を、図書館や書店は貸し出し記録や顧客の購買歴を、医師達は患者のカルテを、政府の要請で提出することが義務づけられた。

デンバー在住の新聞記者サンドラ・フィッシュはこの動きをこう語る。
「米国世論は、それまで政府による個人情報一元化に反対でした。憲法上の言論の自由を侵害する、情報統制につながりかねないからです。でもあのときはテロリストから治安や国家機密を守るほうが優先された。愛国者法もほとんどの国民が知らぬ間に通過していました」

だが間もなくしてその“標的”は、一般市民になってゆく。

ペンシルバニア州ピッツバーグで開催されたG20首脳会議のデモに参加したマシュー・ロペスは、武器を持った大勢の警察によって、あっという間に包囲された経験を語る。
「彼らは明らかに僕達を待っていた。4千人の警察と、沿岸警備隊ら2千5百人が、事前に許可を取ったデモ参加者に催涙弾や音響手りゅう弾を使用し、200人を逮捕したのです」
理由は「公共の秩序を乱した罪」。
その後、ACLU(米国自由市民連合)により、警察のテロ容疑者リストに「反増税」「違憲政策反対」運動等に参加する学生たちをはじめ、30以上の市民団体名が載っていたことが暴露されている。

政府による「国家機密」の定義は、報道の自由にも大きく影響を与えた。
愛国者法の通過以降、米国内のジャーナリスト逮捕者数は過去最大となり、オバマ政権下では七万以上のブログが政府によって閉鎖されている。

為政者にとってファシズムは効率がいい。ジャーナリストの発言が制限され国民が委縮する中、政府は通常なら世論の反発を受ける規制緩和や企業寄り政策を、次々に進めていった。

ブッシュ政権下に時限立法として成立した「愛国者法」は、06年にオバマ大統領が恒久化。
その後も「機密」の解釈は、年々拡大を続けている。

日本の「秘密保全法」も、日米軍一体化を進めたい米国からの〈機密情報保護立法化〉要請が発端だ。その後、07年に締結した日米軍事情報包括保護協定を受け、米国から改めて軍事秘密保護法の早期整備要求がきた。 だが米国の例を見る限り、軍事機密漏えい防止と情報統制の線引きは慎重に議論されるべきだろう。なし崩しに導入すれば〈愛国者法〉と同様、監視社会化が加速するリスクがある。

震災直後、テレビ報道に違和感を感じた人々は、必死にネットなどから情報収集した。
だがもし原発や放射能関連の情報が国民の不安をあおり、公共の安全や秩序を乱すとして〈機密〉扱いにされれば、情報の入手行為自体が処罰対象になるだろう。 

公務員や研究者・技術者や労働者などが〈機密〉を知らせれば懲役十年の刑、取材した記者も処罰対象になる。国民は「適正評価制度」により「機密」を扱える国民と扱わせない国民に二分されるのだ。

行き過ぎた監視と情報隠ぺいには私達も又苦い過去を持ち、国民が情報に対する主権を手放す事の意味を知っている。歴史を振り返れば〈言論の自由〉はいつも、それが最も必要な時に抑えこまれてきたからだ。


ちょっと想像してみて欲しいのです。
自民改憲案と秘密保全法、既に成立してしまったコンピューター監視法や新型インフルエンザ特措法、それらのコンボがどんなものであるかを。

自民改憲案では人権は「公益及び公の秩序を害する」ときには制限できることになっています。国が「公益及び公の秩序を害する」と判断すれば人権制限し放題、それを担う法律が秘密保全法等の治安立法です。
原発関係はもちろん、晴れて軍隊となってアメリカと共に海外で戦争する「国防軍」についても、政府が隠したいと思った情報は全て「特別秘密」に指定して、それについて論ずる者はしょっ引けばよい。
コンピューター監視法でインターネットや携帯電話による市民の情報通信は常に監視でき、ウィルス作成の容疑をかけて政府に反対する者達の情報を早い段階で芋づる式に押さえることが出来る
インフルエンザ流行期にはそれを利用して、デモや集会も禁止できるし、戒厳令に近いような隔離、停留もできる。
そして災害や戦争、テロなどでいざ「緊急事態宣言」(自民改憲案99条3項)がなされれば、言論の自由はなくなり(自民党改憲案Q&A)、報道は管制下に置かれ、デモも集会も禁止国民、地方公共団体は全て国の命令に従わねばならない。

まさに戦前そのものの世界です。

前からアメリカに要請されていた秘密保全法制定を後押しするのに利用されたのは尖閣諸島問題でした。
先日、168名もの政府閣僚がこぞって靖国参拝をしましたが、この時期にわざわざそれを行って中国や韓国の反発を招くようなことをするのは、それにより中国韓国との緊張関係を生み出して国民の危機感を煽り、秘密保全法や集団的自衛権行使可能にすることも含めた改憲を推進するためではないかと思われてなりません。

愛国者法もアメリカ国民がテロの恐怖に右往左往してる隙を突いて国民が十分に感知する前にあっという間に制定されました。
ファシズムは静かに訪れますので、今、岐路に立っているのだという十分な自覚が持てないまま危険な法が通されてしまったら、気づいたときにはあとの祭り。

秘密保全法は戦前のような非民主主義的監視国家に戻すのに欠かせない、絶対に通してはいけない法律だと声を大きくして言いたいです。

以前もご紹介しましたがもう一度、こちらの本を推奨しておきます。

「徹底解剖 秘密保全法―生まれも育ちも中身も「秘密」に包まれて」 井上正信 著