ルカさん、たくさんコメントをありがとうございます。

 拝読していて、そういえば以前わたし自身ももっていた問題意識を

最近忘れていたことに気づきました。それはアメリカがいつまで

食料輸出国たりうるかということです。

 まず遺伝子組み換え作物で国土を汚染しなかったとしてもなお、

アメリカにはネックがある。水不足なのではないかということ。

 広大な農地が広がるのは中西部ですが、ハリウッドなどと

農民が水を奪い合っているという状況を、かなり以前―10年以上

前かもしれない―朝日新聞で見た覚えがあります。

 またここは灌漑農地だとおもいます。

日本のように大小河川が縦横に流れているところではないのでは?

 チグリス・ユーフラテス文明をはじめ、歴史的に栄えた文明が

滅びた理由、それは、他民族から侵略されたというのではなく、

灌漑の失敗にあったらしいのですよ。灌漑に失敗すると、

地下深くの塩分を地表に引き出してしまうのです。

下手に与えた水が、細い竪穴を作り、毛細管現象が

働いて、塩を含んだ水が上がってきてしまうということだと

おもいます。

 それからルカさんがおっしゃるように、たくさんたくさんのコーンや

小麦を作っているようでも、農薬を山のように撒いている。

それも遺伝子組み換えの場合には、強力なラウンドアップをです。

農薬をたくさん撒いて人手がかからないのでいっときはたくさん

の収量を得られるのですが、その後土地が荒れてどうしようも

なくなったという、“緑の革命”の末路を思い出してみましょう。

 それから、これは大豆についてなのですが、映画「食の未来」に

よると、マメ科は、根に窒素固定能力があるけれども、

遺伝子組み換え大豆に、もともとのその能力がどのくらい保たれているのか

疑われているそうです。

 アメリカは強くて豊かな国。それはなんといっても大量の食料を

(大量の補助金でもって)生産しうるところに基礎

があったはず。日本などと異なり、食料自給は当然で

多くを輸出し、輸入国がアメリカに依存せざるをえないようにするという

形で支配力を維持してきたはず。ITも金融工学もそのうえに

咲いた徒花<あだばな>でした。でもその基礎は揺らぎ始めています。