原発より“横須賀原発”ー原子力空母のほうがより怖い。

 それは武器を積んでいるからという意味ではなく、

積んでいる核燃料棒のゆえに。

 

 GW[ジョージワシントン]に積まれた2基の原子炉について

米軍は軍事機密を理由に詳細を明らかにしていない。

 ただ米国側のファクトシートによれば、「最大のもので

大規模商業炉の5分の1」と記載されており、2基の総出力数は

美浜原発1号機の出力量(34万キロワット)近い40万キロワット

程度とみられている。

 では実際の安全性はどうなのか。

 NPO法人「ピースデポ」の湯浅一郎代表は「海の上なので

揺れいは強いだろう。だが大津波が着たら、福島第一原発と

同じような事故が起きる可能性は十分にある」と警告する。

 「空母ごと陸に上がってしまったり、引き波の時に海が干上がったり

して取水ができなくなり、原子炉の冷却に支障をきたすことが考えられる。

また、狭い東京湾に汚染水が流出すると、その被害ははかり知れない。」

 危険はそれだけに止まらない。商業炉で使うウラン235の濃縮度

が3~5%なのに大使、原子力空母は原子爆弾と同じ97%とされる。

 商業炉が3年程度で交換する燃料棒も、軍事行動優先の空母は

20年以上同じものを使い続ける。湯浅氏は「長く使うとそれだけ

核分裂生成物、いわゆる死の灰がたまる。事故が起きてそれが飛散

したら、影響は商業炉事故の何倍も大きい

 実際に1999年、米サンディエゴ港で原子力空母が座礁し、

冷却システムが故障して原子炉2基が緊急停止するトラブルが発生

している。

 原子力資料情報室の試算では、GWが横須賀基地に停泊中か

周辺を航行中に事故が起きると、被害は関東全域に及ぶ。

 軍事評論化の前田哲男氏は、「震災後の3月21日にGWが横須賀を

出港したのは、余震による津波を警戒したのかもしれない。その

危険性は米海軍も認識しているはず」と分析する。

 横須賀市によるとGWは08年9月の配備以降、日数では

5割以上横須賀に停泊しており、津波に

遭遇する可能性は決して小さくない。

 前田氏は「深刻な事故が発生すれば、東京湾全体が死の海に

なりかねないほどの危険がある。首都圏の住民は、静岡の浜岡

原発と同じくらい重要なこととして認識するべきだ」と訴えている。


 ↑ 111028東京新聞