前の記事のつづきです

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 環境問題として人為的CO2に注目したのはサッチャーだけではありませんでした。

「環境保護思想にとっても都合の良いものでした。
 私は中世環境主義と呼んでいます。
 中世の頃の暮らしに戻ろう、忌まわしい車や機会を無くそうとか、彼らは大変
 気に入りました。
 CO2とは工業化の象徴だったからです。」

「明らかにCO2は工業ガスであり、経済成長、車による輸送など、いわゆる文明と関係
 しています。
 環境運動には単に経済成長に反対している勢力があるのです。
 彼らはそういったものを悪だと考えているのです。」

「既にあった神話の正当化に使われたのです。
 反自動車、反成長、反開発、そして何よりも大悪魔アメリカ、反米です。」

パトリック・ムーアは彼の世代の環境運動の第一人者です。
グリーンピースの共同設立者です。

「焦点が気候へ移ったのは2つの理由からです。

 1つ目は、80年代中ごろまでには大多数の人々は私達環境活動家の主張のうち、
 合理的なものには全て賛同していました。
 大多数の人が賛同しているのに、それと対立的になるのはとても困難です。
 そして反体制を続ける唯一の道は、今まで以上に過激な立場を取ることでした。
 私がグリーンピースを去ったとき、世界中で塩素を禁止するキャンペーンをするか
 決めていた最中でした。
 私はこんな風に言いました。
 君達、これは元素周期表に載っている元素の一つだよ
 一元素全てを禁止しようとするのが私達の役割なんだろうか

 環境過激派が生まれたもう一つの理由は、世界中で共産主義が失敗したからです。
 ベルリンの壁が崩壊し、多くの平和運動家や政治活動家は環境保護活動へと移行
 しました。
 新マルクス主義を持ち込み、環境保護用語の使い方を身に付けました。
 そうしてエコロジーや科学ではなく、反資本主義や反グローバリゼーションに関係
 したアジェンダを巧みに覆い隠しました。」

「左派は社会主義とマルクス主義の失敗により少し方向性を失っていました。
 従って、彼らは昔と同じように反資本主義者のままですが、反資本主義を隠す
 新しい口実が必要でした。」

「それは驚くべき一種の同盟関係でした。
 右派のマーガレット・サッチャーから極左の反資本主義・環境活動家までです。
 それがおかしな思想を背景にこの様な勢いを作り出しました。」