引っ越しが迫り、荷物のかたづけの日々。
本や手紙、資料を処分しますが、ついつい出てくる様々なものに気をとられます。まずいことだけれど、でも幸せな時間でもあります。また再び来たらずの時間が一瞬戻ってくるからです。

新任から5年間、同じ学校で仕事をした(2年間同じ学年も組んだ)Ⅰさんがお隣の市の小学校に転勤する際にくれたメッセージカードもそのひとつ。
彼女は、今は結婚もし現在育児休暇に入っています。フェイスブックにアップした可愛いお子さんたちの様子を見ながら、
お母さん先生なんだなあと嬉しくなります。
職場復帰した時の厳しさを思うと、今、存分に子育てに没頭してねと、エールを送ります。

そのメッセージ。

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霜村先生。
初任の時から、長い間大変お世話になりました。
初日から話しかけに来てくださったのを覚えています。三二先生は、若い人やその時大変な状況にいる人を決して放っておかず(おけず?)その人の周りをウロチョロしては、さりげなく話しかけてくれるのですよね。
私はそんな三二先生にずーっと助けてもらって、楽しく毎日生活してこれたんだなと思っています。

S市の、それも研究校と呼ばれる小学校で三年臨採をした後に、三二先生と出会った時、実は私はとても驚きました。カルチャーショックのような……。
「教科書を使わなくていいの??」「(同学年の)各クラスが違うことをしてもいいの??」等々挙げるときりがありませんが。

でも、その一つ一つの教育活動をすぐそばで実際に見せて頂いて、そして真似して自分でもやってみるうちに、三二先生の言っていたことの意味が私の中に入ってくるようになりました。

三二先生が言う「やりたいことをやればいい」との言葉は、私にとって厳しい言葉でした。学年で同じことをそろえて、教科書通りのことをなぞってやってきた私には、“やりたいこと”を考えたことなど、無いに等しかったからです。
やりたいことをやるために、自分でしっかり学ぶこと、自分が楽しくなければ、子どもたちだって楽しくないということ……この五年間で三二先生から学んだことは今後の私の教師生活の大きな財産になると思います。

また、三二先生に見つけてもらった私のいいところを忘れることなく、新しい市の学校でも楽しんで先生をやって行きます。
なんだか書ききれないのですが、本当に今までありがとうございました。

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このメッセージ、こんまりさん流の「ときめきかたづけ法」からすれば、最も“ときめくもの”です。

ぼくのような存在、見ようによってはウザったいオジサン、自分勝手で困った人だったかもしれません。

ぼくは、このメッセージにも見られるようなⅠさんの率直さを大切なものと考えました。それをつぶさないようにしたいと思っていました。
周りからみると、とても手を焼くような“困ったちゃん”の子でも、その子の愉快さ、面白さとして語るところに彼女の素敵さがありました。
教室での子どもたちとの関わり方が自然で、とにかくよく笑うんです。ここに彼女の魅力がありました。

若い人の魅力をつぶすような話があふれる学校現場。
管理職だけではなく、同じ現場に立つ同士が小さな管理を当然のものとして取り込みます。

ぼくは管理ではなく自由こそ最も大事にしたいと思っていました。管理一色の中に、よく見ればまだら模様の自由、それを少しでも広げたいと。

「やりたいことをやるためにしっかり学ぶこと」「自分が楽しくなければ子どもたちだって楽しくないということ」、これがぼくから学んだと書いているけれど、それは、I さん自身がぼくとの出会いで自ら気づいたことです。押し付けられたものではないことに、改めて“ときめき”ました。

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Ⅰさんともいた学校では、昨日は、オヤジの会の川遊びの予定でした。
元祖仕掛け人のぼくです。行かないわけにはいきません。
これも学校のなかのまだらの自由です。

けれど、大雨のために増水も予想されたので、中止。

そこで夕方から町内会館で残念の交流会でした。新たに若いオヤジやお母さんたちが集っています。

そこに向かうとき、ふと空を見上げたら虹がかかっていました。
しばし見とれました。
虹を見ているうちに、Ⅰさんのメッセージを再度思い出していました。

フェイスブックにⅠさんが、お子さんと虹の写真をアップしていました。同じ時間にこの虹を見てたんだね。

(№1410の記事)