「プレシジョン・メディシン」とも呼ばれている個別化医療では、遺伝子プロファイリングなどの情報を活用して治療を個別化します。例えば、BRCA遺伝子変異による進行乳がんや進行卵巣がんの治療薬であるリムパーザ(一般名オラパリブ)は、特定の酵素の働きを阻害し、がん細胞を短時間に死滅させる作用があります。さらに、Vitrakvi(一般名larotrectinib)は、甲状腺がんや肺がん、頭頸部がんなど、がん種を問わず同じ遺伝的要因を持つがんの治療に使用できます。

 

  個別化医療は「多くの人の命を救う」、「医療に革命をもたらす」反面、従来のものと比べて格段に高額です。免疫チェックポイント阻害薬のキートルーダ(一般名ペンブロリズマブ)の治療費は年間で約15万ドル(約1700万円)に上り、リムパーザで生存期間を1年延ばすには23万4,000ドル(約2600万円)以上が必要と推定されます。Vitrakviの場合は30日分のカプセル代だけで3万2,800ドル(約370万円)となります。