毎日拡散 「英語を世界の統一言語にしてはならない」 | 産経新聞を応援する会

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 さて      『三橋貴明の「新」日本経済新聞』  より引用

                      2013/06/28 

From 施 光恒(せ・てるひさ)@九州大学 

●もし、あなたが「電力市場に外資参入させるな!」とお考えなら、

 

おはようございま~す(^_^)/ 

フランスの国際評論紙『ルモンド・ディプロマティーク』の日本語版に出ていたこの記事、興味深く読みました。

 

「英語を世界の統一言語にしてはならない」

http://www.diplo.jp/articles13/1306langueunique.html 

フランスでは、1994年に定められた「フランス語使用法」により、大学を含む公立学校の授業ではフランス語を使用しなければならないとされていました。 

政府の新法案は、この規定を緩和し、大学での英語の授業を認めるということだそうです。 

背景を報じた産経の記事(529日付)

「母国語重視のフランスが英語授業を拡大 国際競争で対応迫られ」

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130529/erp13052908550000-n1.htm 

フランスも、日本と同じような議論をしているんですね。 

日本でも、最近出された、安倍政権の「成長戦略」や教育改革の提言では、英語が使える「グローバル人材」育成の必要性がやけに強調されています。

以下のような提案がなされています。 

・大学入試や国家公務員試験でのアメリカの英語能力試験トーフル(TOEFL)の義務化

・大学における英語での授業の大幅増

・中学や高校における英語授業の英語での実施

・小学校における英語の正式な教科化 

TPPにも入ってしまうようですし、政府の成長戦略をみても米国型のグローバル市場に進んで飲み込まれるつもりのようですから、英語を事実上の公用語にしてしまおうというこういう政策は、わかりやすいといえばわかりやすいですが…。(>_< ) 

安倍首相は、もともと「戦後レジームからの脱却」を旗印にしていたはずです。第二次安倍政権の実現を期待した保守層の多くの人々は、今度こそ、「戦後レジームからの脱却」を願っていたと思います。 

ですが、最近のこういう英語偏重の政策って、脱却どころか、「戦後レジーム」の強化にほかならない印象を受けます。 

その理由は以下です。 

(1) 米国への利益誘導の面がある。 

以前、このメルマガでも書きましたが、大学入試や国家公務員試験へのトーフルの義務化は、米国への利益誘導の面が大いにあると思います。(下記のリンク先の後半部分をご覧ください)。 

TOEFLもマスト?」(419日付)

http://www.mitsuhashitakaaki.net/2013/04/19/se-11/ 

上の記事のなかで私は、「トーフル型の試験がよければ、日本人が自分たちで新しい英語の試験を作ればいい。そのほうが、受験料など日本人のお金が米国に流出しなくて済む」と述べました。 

少し補足しますと、最近だと、大学受験者が約675千人、国家公務員総合職受験者が約25千人ですので、大学受験者と国家公務員試験受験者を合わせて、これらの試験だけでも毎年70万人も受験することになります。一回の受験料が225ドルとありますので、一人一回しか受験しないとしても、約1546千万円がトーフルの主催団体に流れます。 

トーフルは数回受けて一番良い点数を受験先に提出するというテストですから、一人平均3回ぐらいは受験すると思います。そうなると、受験料だけで460億円以上の金が流出することになります。

ほんとばかばかしいですよね。

o(`ω´*)o 

(2) 米国中心の世界秩序作りに積極的に手を貸している。 

冒頭の『ルモンド・ディプロマティーク』の記事で、フランス人言語学者が、「逆説的なことに今日、英語の普及活動やアメリカ化を担っているのはアメリカ人以外の人々である」と述べていましたが、まさに率先して世界のアメリカ化を担っているのは、残念ながら日本のようですね…。orz 

(3) 米国に勝つぞ!負けないぞ!!という気合がハナからない。 

当然ですが、世界の英語化が進めば、大部分の日本人は、仕事や学問でアメリカ人に勝てなくなってしまうでしょう。アメリカ人が、日本語で仕事や学問をするようになれば、大部分のアメリカ人が日本人に勝てなくなるのと同じです。 

日本人は、68年前に、アメリカに勝つぞ!という気合を完全に挫かれてしまったんでしょうかね…。 

(4) 国家や国力に対する考察がなされていない。 

そもそも英語力の強化が、日本の長期的な繁栄や国力の充実にどうつながるのかは明白ではありません。たとえば、フィリピンやインドには英語がうまい人がたくさんいますが、これらの国は、「経済的豊かさ」、「政治の安定性」、「大学のレベル」など日本よりもだいぶ劣っていると思います。 

自国の言語や伝統を捨て去り、別の言語を導入した国は、大部分の場合、豊かな国にはなっていないように思えます。 

GDPの上位5か国を見ても、米国、中国、日本、ドイツ、フランスですので、経済力と、英語を使用しているかどうかは、あまり関係がないように思えます。 

むしろ、「国力のある国というのは、英語などの外国語には頼らず、母語で、政治や経済、教育、研究などをしっかり運営できる国である」といったほうが、現実に即しているのではないでしょうか。 

(5) 能動的に国際秩序を作っていこうとする構想力や気概に欠けている。 

この5番目の点が、今回一番言いたいことです。 

最近の過度の英語能力偏重の政策は、まじめに将来の日本の繁栄を考えた結果だとは思えません。おそらく日本は「フィリピン化」し、国力は低下するでしょう。 

きっと、いまでもときどき話題になっているマレーシアやフィリピンへの「教育移住」が数年後、流行るでしょうね。そこで育った、日本語はあまりうまくないし日本人的常識や感性も身につけていないが、英語はそこそこうまくなった子なんかが、新たな日本のエリート層となり、多国籍企業の利益のおこぼれにあずかり、新しい既得権益層になり、大きな顔をするということになるんでしょう。ヤデスネ。

(´・ω・`)ショボーン 

だとすれば、日本人が元気になる、もっとましな国際秩序構想を考えるべきだと思います。 

思うに、戦後の日本人は真面目すぎます。日本人がアメリカ人などのネイティヴ・スピーカーと伍していけるような英語力を身につけるというマゾ的な努力を自分たちや自分たちの子孫に強いるのは、あまり賢くありません。 

少し時間はかかるかもしれないけれど、英語なんか下手でも、痛くもかゆくもないような世界を作り出す戦略を練るほうがいいんじゃないでしょうか。 

たとえば発想の転換をして、日本人の英語力をアップさせるのではなく、他の国の人々も、日本人のように英語が下手な世界を作るようにしたらどうでしょう。 

日本人が英語下手な原因は、よく言われるように、日本では英語なんか理解できなくても、母語である日本語だけで何不自由なく暮らせるからです。日常生活には支障がまったくありませんし、大学院レベルの高等教育でも日本語で受けられます。医師や弁護士などの専門的職業にも就けます。英語のうまい下手の違いによって、収入に差がつくこともほとんどありません。 

だから日本人は英語が下手なんですが、各国にこのような状態、つまりそれぞれの国の母語で、何不自由なく暮らし、専門教育を受け、専門的職業にも就けるような状態を作ることを目指せばいいんじゃないでしょうか。 

つまり、日本人は、日本的な国づくりの良さを世界に訴え、広めるようにしたらどうでしょうか。「理想的な世界とは、英語が世界の統一言語になるような世界ではなく、各国の人々それぞれが自分たちの母語で何不自由ない日常生活を送り、高等教育を受け、専門的職業にも就ける世界である」。このように主張し、この主張が各国に受け入れられるように、そしてこの主張に沿った国づくりが各国で実際に行われるように、知恵を絞り、活動してはどうかと思います。

 明治以来、日本は、そのときどきの先進の外来の知を翻訳し、日本化(土着化)し、日本語による近代的国づくりをうまく行ってきました。そのおかげで格差が少なく、みんなが社会に参加し能力を発揮しやすい国を作ることができています。ですので、そういう明治以来の日本が培ってきたノウハウをいかして、新興諸国の母語による国づくりを実際に支援すればいいと思います。 

たとえば、日本の大学が英語で授業を行うようにしたり、会社の公用語を英語にしたりするのは、あまり賢くもないし、ハタから見れば滑稽ですらあります。

 それよりも日本は、新興諸国に、母語で大学教育を行い、母語で専門職を含む多様な職業に就けるような国づくりを進めることこそ、長い目で見ればずっと良いことだと勧め、そうした国づくりの手助けを行っていくべきだと思います。 

多くの新興諸国の人々が、日本のように母語で何不自由なく暮らせるようになれば、その人たちは、いまよりもずっと幸福で安定した暮らしを営むことができるようになるはずです。(^_^) 

ついでに、彼らも、英語が下手になるでしょう。そうなれば、日本人の英語下手が目立たなくなり、日本人もハッピーです。

(*・∀-) 

いい歳をした大人が、「留学生をいかに増やすか」、「トーフルの平均点数をいかに上げるか」、「英国や米国の大学ランキングで、日本の大学の順位をどのように引き上げるか」などというチマチマとした細かいことばかり考えるのはやめてほしいものです。 

日本政府には、もっと「能動的、主体的に世界秩序を作っていくぞ」という気概をもち、「米国の英語による事実上の文化支配の完遂をいかに挫いてやるか」、「英語国に不当に有利な現在の世界のあり方を改善し、いかに万国の国民にとって公正な世界を作り出すか」、「英語なんか下手でも子孫に苦労させない世界をどのようにして実現するか」などの、考えるに値する大きな構想を描き、その実現のために策を練り、悪辣なまでに暗躍してほしいと思います。

 いつもながら勝手なことを長々と失礼しますた…

<(_ _)>