日本の新聞で隠されたオバマ大統領の一般教書演説 | 産経新聞を応援する会

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三橋貴明先生のブログから転載

http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/

 

 

2012-02-08 10:09:31

隠されたオバマ大統領の一般教書演説

テーマ:アメリカ経済

 

 本日のエントリーは京都大学藤井聡教授からの情報提供です。

 

『2012年2月3日 日刊建設工業新聞「「米国は公共投資重視」大統領演説で話題に インフラ更新、日本も必要」」
 オバマ米大統領が1月24日(日本時間25日午前)に行った一般教書演説の内容が、日本のインフラ関係者の間で話題になっている。今年の施政方針としてインフラの再構築を明確に打ち出したからだ。オバマ氏は昨年1月の一般教書演説でも、インフラの再構築と、衰退している建設業界の仕事の倍増を表明した。社会資本の老朽化が急速に進んでいるのは日本も同じで、景気や雇用への効果も期待できる計画的なインフラ投資を求める声が一段と強まりそうだ。
 今回の一般教書演説について日本では、オバマ氏が不況にあえぐ中間所得層を重視した経済再生に取り組む姿勢を鮮明にしたことなどが大きく報じられた。経済をはじめ製造業やエネルギー、インフラ、外交安保戦略に関わることなど施政方針の内容は多岐にわたったが、日本ではインフラの再構築について語った部分はあまり詳しく報じられていない。日本のインフラ関係者の一人は「米国はインフラを重視している。なぜ、日本でこのことがほとんど報道されないのか」と指摘する。
 演説でオバマ氏は、エネルギー対策として、製造業者が工場でのエネルギーの無駄を無くせるよう手助けし、建築物のアップグレードを促進するためのインセンティブも与えると表明。これらの政策を実現すれば、「今後10年間でエネルギー消費が1000億ドル以上減り、公害が減る。生産は増加し、建設作業員の仕事も増えることになるだろう」と強調した。さらに、「壊れかけた道路や橋があり、送電網はあまりにも多くエネルギーを無駄にしている」と米国内のインフラが抱える問題を挙げてインフラ再構築の必要性を強く訴えた。
 こうした演説内容は、日本のインフラ関係者にも刺激を与えたようだ。関係者の間では、公共事業の削減が続く日本との違いを指摘し、「インフラ投資を怠れば日本は大きな後れを取ることになる」と将来を危ぶむ声があらためて出ている。日本では高度成長期に大量に整備されたインフラが老朽化し、一斉に更新期を迎える。昨年の東日本大震災や台風による豪雨災害などの頻発で、防災対策としてのインフラの重要性も一段と高まった。日本の公共事業政策が今後どの方向へ進むのか、関係者はその行方を注視している。』

 

 一年前にも同じような記事を書いた記憶がありますが、オバマ大統領は1月24日の一般教書演説において、「インフラの再構築」を明確に打ち出しました。ところが、例により演説のこの部分が日本の大手紙により報道されることはありませんでした
 辛うじて、ロイターのみが本件について軽く触れていますが、まあ、ロイターは日本の新聞ではございませんので。

 

『ロイター 「オバマ大統領が一般教書演説、税制や対中貿易などについて提案」
http://jp.reuters.com/article/JPbusinessmarket/idJPTYE81K0HC20120125
(前略)<債務削減・インフラ整備>
イラク、アフガニスタン戦争の終結で節約できた資金の半分を連邦債務の削減に、残りの半分を道路・鉄道など老朽化したインフラの修繕に充てる。ホワイトハウスは具体的な金額を明示していない。(後略)』

 

 大統領の一般教書演説における該当部分は以下になります。

 

日本語訳:エネルギー使用量を抑制すれば、簡単にコストを削減できるのは明白だ。ここで提言するのは、メーカーの工場でのエネルギー消費低減を援助し、施設性能の向上に対してインセンティブを与えることである。そうすれば、これからの10年で1,000億ドル以上の支出を抑えることができ、大気汚染も減り、生産量も増え、それにより建設雇用が増加するだろう。これらの雇用を創り出すための予算はおおいに歓迎する。

新しいエネルギーの将来を確立するのは、広範囲におよぶアメリカのインフラ改善計画のほんの一部に過ぎない。再建しないといけないアメリカの社会基盤はそのくらいたくさんある。壊れたままの道路や橋、エネルギー効率の悪い送電網。さらに、不完全な高速ブロードバンドネットワークのおかげで、地方の中小企業は世界に製品を送り出すことが出来ない。

アメリカは、大恐慌時代にフーバーダムやゴールデンゲートブリッジを作り、第二次世界大戦後には高速道路網で州を繋ぎ合わせた。民主・共和両党の指導部は全ての人々に恩恵を与える偉大なるプロジェクトに投資をしていた。当時の建設に携わった労働者だけでなく、それらを基盤とする今日の事業へも恩恵を与えているのだ。

数週間のうちに、私は余りにも多くの建設プロジェクトの進行を妨げている障害を排除する大統領令に署名する。ただ、これらのプロジェクトには資金が必要だ。軍事に必要としなくなった予算の半分を債務返済に使用し、残りをこの国家再建に使用する。

建設に特に適した時期というものはありえない。住宅バブルの崩壊で最も厳しい打撃を受けたのが、建設産業であるからなおさらである。当然ながら、建設労働者が唯一影響を受けたわけではない。不動産価値低下の憂き目に遭った何百万人もの罪無きアメリカ国民も同様だ。こうやって政府がこの問題を解決できずにいる間も、住宅所有者は不動産市場が底を打って少しでも安堵できるのをただ座って待つわけにはいかないのだ。』

 

 さて、日本の新聞の報道は以下。

 

『産経新聞 「オバマ米大統領「米国の価値を取り戻そう」」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120125/mds12012513180005-n2.htm

 

『2012年1月25日 日本経済新聞「中間層支援へ富裕層増税 米大統領が一般教書演説」』

 

『読売新聞 「一般教書演説 再選へ意欲を見せたオバマ氏」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120125-OYT1T01160.htm

 

 読売新聞は、オバマ大統領の一般教書演説における「軍事に必要としなくなった予算の半分を債務返済に使用し」のところのみを抜き出し、日本の財政健全化(と言うか、消費税増税)を煽っております
 まあ、お約束というものでしょか。

 

『毎日新聞 「米一般教書演説:オバマ大統領「公平な機会、実現を」 経済再生に全力」
http://mainichi.jp/select/world/news/20120125dde001030032000c.html

 

『朝日新聞 「オバマ氏、公平な経済を強調 一般教書演説、再選めざし」
http://www.asahi.com/international/update/0125/TKY201201250197.html

 

 毎日や朝日は「米国の価値観の復活、製造業やエネルギー産業の振興、労働者の技術向上」と、結構、網羅的に書いているくせに、なぜかインフラ再構築だけがすっぽりと抜け落ちています


 結局、全ての大手紙に「インフラ」「建設」という言葉はありませんでした。 特に、オバマ大統領は明らかに現在をフーバー政権期の大恐慌期と重ね、ルーズベルトと同じ政策により苦境を脱しようとしているわけです。その事実すら書かない大手紙は、「社会の木鐸」を名乗る資格はないでしょう。しかも、「いくつかの大手紙が書かない」ならともかく、「全紙書かない」わけなので、気持ちが悪くて仕方がありません

 

 なんですか? 情報封鎖か何かなのですか? 大手紙のみなさん。


 それにしても、オバマ大統領は1929年のバブル崩壊、そしてフーバー期の市場原理主義的政策を経て、GDPが半分になる大恐慌状態にあったアメリカが、ダムや橋梁、高速道路網を構築し、恐慌から脱した上に、
現在のアメリカ国民も経済的な恩恵を受けている
 事実を明確に認識しているわけです。


 公共事業は、その時期の需要や雇用を創出するのみならず、将来世代への贈り物なのです。その「将来世代への贈り物」を拒否しがちな民主党政権は、まさに「将来世代にツケを残す」政権以外の何物でもないと確信しています。
  
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(転載以上)