ヒナコガサ | 三十九さんの部屋

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ヒナコガサ(雛小傘) Galerina nana

担子菌門ハラタケ亜門ハラタケ綱ハラタケ亜綱ハラタケ目ヒメノガステル科ケコガサタケ属
galerina ガレリナ(帽子)
nana ナナ(小さい)

春~初冬に腐朽木材、腐植土、コケの上に発生。
カサの径は1cm程度までの小型きのこ。
鐘形から平らに開く。平滑で中央栗褐色、周辺部黄土色で条線あり。
柄は細長く上のほうが黄褐色で下部のほうが濃色。
ヒダはやや垂生で黄土色から肉桂色になる。
胞子は肉桂色で紡錘形。小イボに覆われる。
シスチジアは紡錘形やフラスコ型で頂部に結晶物を付着する。

なんでこんな目立たないようなものなのかというと、
きのこの観察会で、これを持って帰って調べるようにと宿題を出されたので、家で詳細に調べることになったもの。
そこでまずカサと柄をばらして形態写真を撮影。柄が中空なのと、ヒダが垂生なのがわかる。
そして、種の同定の決め手として顕微鏡による観察。
胞子などを観察する必要がある。
顕微鏡を購入してからははじめて自分で胞子を観察し撮影に挑んだ。
それが下の写真。見せるのも恥ずかしい代物。

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400倍(対物40倍*接眼10倍)で見た胞子。褐色で紡錘形をしているのがわかる。さらに倍率を上げれば表面のようすがわかるだろう。

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これがシスチジア。シスチジアとは、子実体の表面に飛び出すように現れている細胞。カサ、柄、ヒダなど様々な部位にあり、その役割についてはいろいろ研究されている。その形態や特徴が種の同定の決めてになる場合がある。この写真ではわかりにくいが、このボウリングのピンのようなものの上(写真では下になる)になんかごちゃごちゃしたものがくっついている。これが結晶状の物質。これにより、このきのこをヒナコガサと判断した。同属で似たようなものにケコガサタケがあるが、そちらのシスチジアにはこういうものがついていない。外見的特徴に乏しいきのこの場合、顕微鏡による胞子やシスチジアの観察が同定には不可欠となる。

なんでこんなシスチジアみたいなものがきのこの表面についているのか、なぜ先端に結晶みたいなものがついているのか?他にもこのようなものがついている種類があるが、ひとつの研究として、きのこにくっつく虫が、この結晶に触れると死んでしまうという。ある種類の虫に効力のある物質を表面にまとうことで防御しているのか、死んだ虫を消化して食べるためなのか?
実際に菌糸で線虫をとらえて消化してしまう菌類は存在する。