今年後半の来日オケはチェコ・フィルでスタート樫本さんも1年ぶりくらいかなあ
2019年10月22日
サントリーホール大ホール
ビシュコフとともに新たな時代を築くチェコ至宝の響き!
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
Cond:セミヨン・ビシュコフ
Vl:樫本大進
【第1部】
モルダウ~連作交響詩「わが祖国」より
(B.スメタナ)
ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35
(P.I.チャイコフスキー)
第1楽章 Allegro moderato - Moderato assai
第2楽章 Canzonetta andante
第3楽章 Allegro vivacissimo
【第2部】
交響曲第6番 ロ短調《悲愴》Op.74
(P.I.チャイコフスキー)
第1楽章 Adagio - Allegro non troppo - Andante - Moderato mosso - Andante - Moderato assai - Allegro vivo - Andante come prima - Andante mosso
第2楽章 Allegro con grazia
第3楽章 Allegro molto vivace
第4楽章 Finale:Adagio lamentoso - Andante - Andante non tanto
チェコフィルは前回来日した2017年10月1日以来(コンサート日記107)~円熟期を迎えた首席指揮者ビエロフラーヴェクのタクトによる「我が祖国」全曲の予定が死去により残念な交代となりましたが
ビシュコフは2018年10月から首席指揮者兼音楽監督に就任し、チェコフィルと以前から取り組んでいたチャイコも、ちょうど今秋チャイ交・Pfコンなどを収録したBOXセットをリリースしたばかりですね
ということで「我が祖国」はPASSして個人的には超久しぶりのチャイ6「悲愴」を堪能してきました
そうは言ってもチェコフィル=「我が祖国」は金看板以前からの客演+1年間の首席での時間がより一層の成熟に寄与したのかチェコフィル自家薬籠の曲として、まさにこれぞ「ヴルタヴァ」でした
ご存知出だしのFlの掛け合いが現す第1の源流から、Clの反行型が奏でる第2の源流と合わさると待ってました今回の演奏を占うあまりにも有名なVltavaの主題の美しさに脳内ドーパミンが爆発
さすがに人気の完売公演なのでほぼ満席状態=ホール残響少で、そのセピア色とも思わせるモノトーンのサウンドと相まって思わず大国の挟間で翻弄された現代史を連想~暗いことはないが愁いを含んで切々と歌いこまれるスメタナに1曲目からウルウル状態で前回の不満も霧散しました
1曲目でも感じましたが残響だけだはなく大進さんのチャイコンでもソリストもオケも非常に聴きやすく
ど素人の感想ですが和声音程も旋律音程も素晴らしく、かといってコンマ以下まで合わ過ぎていない
私など当然ながら絶対音感など訓練経験もなく持ち合わせてもいませんが、聞き伝えによれば来日したカラヤンが「音を合わせすぎるな」とよくリハでの賜った由
2つの楽器で例えばA音を出すとして442Hzと42.05Hzが音色となるのか不快音(雑味)となるのかは、他のパートの和音が重なる事による雑味の解消と各音の音量バランスや楽器の音色などで深み等へ転化させ独自サウンドへ昇華させることがマエストロの役割であり存在意義かと勝手に講釈を垂れているわけですホンマカイナ
まああまり適当なことを言うとお叱りを受けるのでこれくらいにして、とにかく食傷気味のチャイコンも目立ち気味の超絶技巧よりも(カデンツァは絶品)本来のこの曲のよさを存分に楽しむ事ができました
「悲愴」は冒頭で述べたことも理由のひとつなのかは判りませんが、これまで聴いてきたチャイ6のなかではベストに入る名演にチャイコでひさびさに感涙開演のときに聴衆の集中度がググッと感じられるホール環境もよく~ということは第3楽章が終わっての拍手も皆無で理想的でした
今さら曲の解説など不要でしょうが迫り来る死の予感を感じとったのか、あるいは生来の性格やいろいろな要素が複雑に入り混じった背景がより一層影を落とすような名曲中の名曲なのですが
今回の実演で初めてと言っていいほどナゼ最後に諦観的に消え入るように終曲するのか、音が消えしばらくビシュコフのタクトが降りるまでの余韻を含めて演奏であると印象づけた素晴らしさに感嘆
さすがに直後に無粋な拍手やぶらぼ~はやはり皆無だったもののあと5秒待ってくれたらなあ~と感じた拍手が1F下手前ブロックからパラパラそれでも~超ぶらぁぁぼぉぉ~でしたサンクス
終演後のビシュコフさんがマイクを持って指揮台からご挨拶~要約すると「His Majesty(陛下)の御即位をお祝いすると同時に先の災害で被害に会われた方々の復興を願って、エルガーのニムロッドを演奏します。」との言葉のあと美演のニムロッドが流れました
ニムロッドといえば3.11の伝説的演奏を彷彿とさせたハーディングMCOを思い出しますが、今回の演奏もメンバーの思いが伝わってきて(ビシュコフさんの挨拶のなかでもみんな日本が大好きと)今回の演奏会を〆るに相応しいエンディングでしたえくせれ~んと~~&ブラァボォゥ~
さていよいよ今月末から待望のブラック・ダイク・バンドの来日ツアーは始まります全国の金管族よ~全員~東京で集合せよ~えいえいオウ
私たちの世代はチャイコ=カラヤン