555「ユダヤ教神学生を徴兵すべきか?」ゆるゆるキリスト教雑記帳

ゆるゆるその1
いつも最初にお断りしているのですが、内容は私の極めて独断による見解ですので、ご了解ください。なお、聖書の訳は協会共同訳を使用しています。

ユダヤ教には、超正統派、超保守派が存在し、議会にも議員を送り出しています。超正統派の人々は、もっぱら祈りと学習を宗教指導者のラビを仕事にしている人々です。その家族まで含めると人口の10%程度を占めると言います。生活は、日本で言う生活保護で暮らしています。その他、税法など数々の優遇措置がなされてきました。
その一つが、ユダヤ教超正統派イシバ(神学校)学生の徴兵免除でした。イスラエルは、3方面から敵に囲まれる中、軍での人手不足が問題になっていました。
昨年6月、ユダヤ教超正統派のイシバ(神学校)学生の従軍免除に関する法律が期限を迎えたのです。イスラエルでは、超正統派のイシバ(神学校)学生の従軍免除の法律を不公平とする声が高まっており、政府は、この法律を延長することができなかった。しかし、急に徴兵は難しいため、イスラエル軍に対し超正統派の徴兵開始を10か月待つよう、指示していた。しかし、この間に、ハマスとの戦争に突入したのである。この期間も過ぎた今年4月、いよいよイシバ学生も徴兵すべきとの声が高まってくる中、エルサレムでは、超正統派たちが、これに反発する大規模なデモを行った。

さらに超正統派のユダヤ教政党は、6月、徴兵免除の継続だけでなく、従軍免除になる年齢を今の26歳から21歳に引き下げて、より多くのイシバ学生が従軍から免除される法案を提出しました。
こうした中で、6月25日、最高裁判所は、保留になっている徴兵免除の法律はすでに期限切れを迎えており、これを継続することは違法だとする判決を、判事9人(ユダヤ教正統派判事含め)全員の一致で、可決した。これにより、従軍免除の年齢を下げるどころか、歴史的に続いてきた、26歳以上のイシバ学生の従軍免除という法律も無効になったのです。
これからは、イシバ学生も、すべてのイスラエル人とまったく同じように従軍する義務が生じることになる。加えて、最高裁は、イシバで学ぶ学生に支給してきた補助金、奨学金についても、停止を命じると発表している。これにより、イシバ学生の従軍義務は、文字通り他のイスラエル市民と同じになった。なお、政府はこれを覆す権利もあるが、国会では与党議員らも、イシバ学生も従軍すべきとの意思表示をしている者もあり、おそらく政府は最高裁の判断を履行するとみられている。
イスラエルでは、これまで、神に祈るということが、最前線で戦う兵士たちと同じ位置付けにされていた。しかし、今、3方向から敵に囲まれ、イスラエル軍が人手不足が現実問題になる中、イシバ学生もまた最前線に出る時代に入ったということである。実際にこれまで兵役免除になっていた6万3000人が、今後は徴兵の対象になっていくとみられる。2024年6月からさらに、3000人の徴兵が可能になるとみられる。
こんな社会情勢の中、6月25日、イスラエルの最高裁が、これまで長年、懸案であった、ユダヤ教超正統派イシバ(神学校)学生の徴兵免除は違法であるとの判決を出した。これにより、イシバ学生も徴兵される可能性が出てきたのです。

最高裁の判決に反対する超正統派、約6万人の大群衆が、テルアビブに近い超正統派の居住地ブネイ・ブラックで、主要道路の4号線で、交通妨害を行うなどのデモを行った。一部の抗議者は、警察にむかって、「ナチスだ」と叫んだと言う。一時警察と乱闘になり、少なくと32人が逮捕された。交通が再開されたのは、3時間後だった。
もっとも超正統派全員が、従軍に反対しているのではなく、すすんで従軍する者も少なくない。イスラエル軍には、正統派が律法を守りながら従軍できる特殊部隊もあり、活躍しているのです
一方、国会では、超正統派の従軍義務について論議された後、一般市民の予備役として従軍する年齢の上限を、40歳から42歳に、将校の場合は、45歳から46歳に上げる法案についても採択をとることになっていた。これによっても、従軍人数を増やすことが可能になったのです。

ゆるゆるその2
この問題を担当する国家防衛委員会のエデルステイン委員長は、26日、国会での採択を延期すると発表した。その理由について、この件については、与党が多数派であることで決められるべきでなく、全会一致か、全会反対かで答えを出すべきだとの考えを明らかにした。エデルスタイン氏は、リクード党員で、与党である。それが政府の法案にブレーキをかけたということである。これにより、野党が一人でも反対意見を出せば、法案にならないということになる。これを受けて、超正統派の徴兵の件で、連立の離脱が懸念されはじめていたユダヤ教政党が、政府に残ると言っている。
これは、超正統派徴兵問題でも、同様のシステムにして、否決されたイシバ学生の徴兵免除年齢を26歳から21歳にするという法案を、全会一致ではないとして、ひっくり返すことが可能になってくるのです。
なんともかとも、どのように理解してよいのか苦しみます。そして、一体全体どうなっていくのでしょうか。ただ一つ言えることは、超正統派が増えると、従軍しない人々が増える、そして生産労働に携わらない人々が増える。イスラエルという国が成り立たなくなりますね。それも、神のみ心かもしれませんね。