大学を卒業したての頃、

当時参議院議員だった野末陳平さんの秘書をしていたことがあります。

 

当時、野末さんは50代。今の私の年代でして

参議院選挙で東京都でトップ当選して

 

ラジオやテレビや雑誌、講演に引っ張りだこ!

まさに飛ぶ鳥を落とす勢いでした。

 

この頃の野末さんがよく言っていたのは

「『人生ひまつぶし』っていうけどホントだね〜」

 

その頃は「ハァ〜?」って感じだったけど

今思えば、たぶん「限りある人生だから、周りに振り回されず、

自分のしたいようにするよ」ってことだったんだと思う。

 

当時、野末さんの元には仕事の依頼の電話がジャンジャンかかってきて

秘書の私は、次から次へと電話で話を聞くんですが

 

ゆっくり話を聞いていると議員室からカミナリメラメラが落ちます。

「その半分のスピードで、条件を過不足なく聞き出すように」

 

そうした依頼のうち、実際、引き受けるのは”ひと握り”なので

「話を聞くだけ無駄」というわけ

 

「いや、先生、その仕事、引き受ける時間、十分あるでしょ?」

と当時の私は少し苦々しく思っていたもんですが・・・

 

野末さんは、自分の決めた生活のペースの範囲内でしか

新規の仕事を引き受けない方針だったんですね。

 

国会活動とレギュラーのラジオ、テレビ以外は

午前は書斎にこもってインプット(読んだり調べたり執筆したり)

 

(私が出勤するともう議員は仕事していたので、たぶん早朝から

来て仕事してたんだろうな)

 

ランチは友達かスタッフと雑談しながらゆっくり食べる

午後から講演、打ち合わせ、国会の委員会活動、面会依頼者に対応。

 

そして夜は、打ち合わせを兼ねた食事会の他は基本仕事はしない。

映画、お芝居、プロレス、寄席、ジャズなどに繰り出すというわけです。

 

楽しい食事や趣味の時間を犠牲にするくらいなら

「気のすすまない仕事は断わる」という強い意志叫び

 

お金や名誉にそれほど執着がなかったのも

なんだかやっぱりこの人生哲学に関係あるような・・・

 

「人生、ひまつぶし。ご機嫌に一生を過ごしたい」

 

いや、なんで急にそんなことを思い出したかというと

そんな野末先生、今も85歳でブログを書かれておりまして

 

”敬老の日に、町内会からいろいろもらって嬉しい”

という近況を書かれていたから・・・

 

過去の名誉に執着しない野末さんらしいなぁと

感慨深かったんです。

 

今は仕事の依頼があまりなくなってしまったことが

ちょっと残念なようですが、

 

いろんな人とランチをしたり、映画に行ったり寄席に行ったり

やはり好きなことをやって老後生活を楽しまれています。

 

私もね、実は今でも、日本に帰国した時には、

ランチなどご馳走になっておりますニコニコ

 

恩師と同じ年齢になってわかる恩師の偉大さですね。