今期の大河ドラマ「光る君へ」。

今週は、息子・藤原顕信の出家やら三条天皇との心理戦で、心身ともに疲弊しきってしまい、道長さん、倒れてしまった。

そんな話よりも、今週の乙丸、百舌彦、ききょうさんが気になるのである。

まず、百舌彦。
道長の塩梅が悪くなっていることを最も心配している人物。
そして、道長の気持ちや考えを一番よく知る人物で、視聴者とも同じ立場にいる人物。

もう気が弱り、心も弱っている道長が、誰に一番会いたがっているかを最もよく知っている。
たぶん、主人に命じられた訳でもなく、自分で判断して、まひろさんを呼びに行ったに違いない。

そして、乙丸。
まひろさんの家人として、百舌彦がやってきた理由を即座に理解してしまう人物。
そして、まひろさんの気持ちや考えを一番よく知る人物で、当然視聴者と同じ立場にいる人物。

家にやってきた百舌彦の顔色を見て、まひろさんや道長の行く末を心配そうな顔をして案じていた。

もう乙丸と百舌鳥彦は、このドラマの感情表現係。
まひろさんや道長が長じて、表情を露わにできなくなった代わりに、二人の微妙な感情を表情と身体で表現してくれているのである。

伊達に手塚治虫文化賞短編賞をとったり、ヨーロッパ企画で芸を磨いていない。
この二人のわずか五秒程度のセリフのない演技が、このドラまの構造を深くしているのである。

そして、今週のききょうさん。
もう、道長の患いの噂を聞き、もう思いっきり「ざまを見なさい」という顔をしている。
「清少納言こそしたり顔にいみじう侍りける人」そのものである。
ファーストサマー・ウィカさんの顔芸の勝利である。

今回は、あらぬ噂に翻弄され、病床の弟・道長のそばで、アタフタしている道綱くんや、道長と三条天皇の間の心理戦の中に巻き込まれながらも泰然自若としているロバート実資など見どころたっぷり出会った。

また来週も期待である。