マンガのキャラクター列伝、今回は望月三起也先生の「ワイルド7」から、飛葉ちゃんである。
本名は、飛葉大陸(ひば・だいろく)。
年齢は、18歳。
少年院に入っているが、月に一回脱走して、どこかに行っている設定があったとか。
脱走中に、警察庁の草波さんのスカウトを受け、法で裁けない悪党を退治するバイク部隊「ワイルド7」の一員になる。
母親は、横浜のバーのマダム(あまり、高級な方ではない)。
兄がいて、地方のお寺で修業をしていたようだが、かなり怪しい人物である。
(ちなみに母親は、こちらを溺愛している。)
出身は、横浜。
この町のとある一角(「天国と地獄」で描かれたあの辺)で、今で言えば暴走族(これも古いか)のリーダーをやっていたこともある。
バイクの操縦や拳銃の取り扱いは、文字通りプロ。
仲間たちとのチームワークは抜群である。
さて、さまざまな活躍は、古本屋のマンガを立ち読み等して確認してほしい。
個人的にすごく気になるのは、飛葉大陸の背景、というか漫画家・望月三起也のバックグラウンドになる部分なのである。
手塚治虫に連なるトキワ荘系の人たちは、けっこう自分を語ってくれているし、自伝も多い。
劇画やそれに連なる貸本マンガ系の漫画家も結構伝記が多い。
意外に、というか、やはり、と言うか、吉田竜夫とタツノコプロに連なる人たちの自伝が、ないのである。
やはり、大衆文学の系譜を継ぐからなのだろうか。
語っていないのだ。
それゆえに、作品の中に現れるモチーフを並べてみる。
先ず背景。
・横浜、それも終戦直後の大混乱した時代。
・アメリカ軍、それから二世部隊、ハワイ。
・中華街とそれに連なる中国人や華僑。
・そして、戦場とそれに連なる荒野。
そして、受ける印象。
・欠落する父親の姿(描かれる父性は、ひ弱で哀しいものばかり)。
・生活に疲れた母親像。
・経済的に貧しい家族環境(精神的にではない)。
・無慈悲な力と対立する正義、それを超越する自己の信念。
書き連ねていったら、これは戦後のフランスあたりにあったフィルム・ノワールの流れとほぼシンクロする世界観である。
戦争により経済的にも文化的にも精神的にも破壊され尽した戦後の荒涼とした町の中で、彷徨する十代の青年が主人公。
さて、彼の精神的な故郷は、その名「大陸」からも想像ができそうである。
読んでみたいなぁ、望月三起也さんの自伝。
特にお父さんがどんな人だったか、すごく気になる。
そして、飛葉大陸と同年代の、たぶん団塊の世代のおじさんたちが、今、何を感じているのかもすごく気になるのである。
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