しばらく仏教から離れ、小林武彦先生の二冊の著書から、老いる・死について考えて見ました。

 それでは、私たちが学んでいる仏教においては、自殺についてどう教えておられるのでしょうか。

 

 自殺する人に共通していえるのは人生に起きてくる様々な苦しみにすっかり気落ちしてしまって、将来に明かりも見えず、周りの人も冷たく、


「これ以上生きていても仕方ない」
「こんなに苦しいのならい死んだほうがましだ」


という理由が自殺を引き起こしてしまうのではないでしょうか。

 なぜ今自殺についてお話しするかと言うと、実は私の娘の友人が先月自宅で自殺していたことが、風の便りで聞こえてきたからです。

 娘とは幼稚園から中学まで同級生で、家も近所で私も良く知っている娘さんだったのです。

 親御さんの悲しみは想像もできませんが、娘も死因が自殺だけにお葬式にも参列できずお別れも言えないままになっているのを気にしています。

 「お父さんの勉強している仏教では自殺した人は地獄に堕ちるんでしょ」と故人の行先を心配しています。

 

 お釈迦様は自殺についてどう教えていかれたのでしょうか。

 仏教では自死を認めているのは事実です。

 実際に十大弟子の中の二人は自死ですし最後の弟子も自死しています。

 またジャータカの中には捨身供養も説かれていて中国で流行したこともあります。

 また現在でもチベットやタイで僧侶の自死が報道されています。

 反対に仏典のなかには自殺を否定していたり自殺したら地獄に行くと書かれているものも有ります。

 因みに往生要集の中では自殺すると黒縄地獄に落ちるとされています。(往生要集を書かれた源信は浄土真宗の六祖)

  死に対しての考え方は時代や文化で異なりますので一つの歴史として考えればいいのだと思います。

 現在の日本では自死は悪として認識され認められませんので安楽死などや尊厳死なども認められておりません。

 しかし昔は日本でも自死が美徳とされた時代もありました。

時代劇などをご覧ください。(切腹のシーンは多く出てきます。)

  幸せに暮らしていて死にたいと思う人はいません。

 誰だって安らかに最後を迎えたい筈です。

 自死するまでが地獄なので自死するまえにその地獄から救うのが仏教だと思っています。

 

つづく