「フリーミアム」という言葉がある。
無料サービスを提供してユーザーを増やしておいて、一部有料サービス化することで利益を得るビジネススタイルである。
今やWebやスマホアプリの世界ではほとんどこのパターン。
例えばYouTubeは無料で動画を見ることは誰でもできるがプレミアム会員になれば広告なしで動画を視聴できたり、スマホの画面がオフの時でもバックグラウンドで再生することができる。
Amazonプライムも同様。誰でもAmazonのサービスは利用できるがプライム会員になると送料が無料になったりプライムビデオを見ることができる。
山の世界に目を向けるとヤマレコやヤマップといった登山用SNSもフリーミアムだ。ヤマレコの場合無料でも記録を書いたり見たりできるが広告が出たり写真の容量制限があったりする。
最近ヤマップで無料会員の制約が厳しくなり批判を浴びている。
これまで登山地図のダウンロードが無制限だったところ、1か月あたり2枚しかダウンロードできなくなったのだ。
これまで無料でも便利に使えていたのに事実上お金を払わないと使えなくなったため批判というか落胆しているユーザーが増えている状況だ。
裏側では経営難みたいな事情もあるようだが、ユーザーにコストを転嫁する前に経営の効率化を図るべきといった至極当然な反応も多くみられる。
無料で一気にシェアを拡大しておいて、あとから有料化するという手法も多い。
例えば今はまだ無料だがGoogleMapが有料化されたとしたらほとんどの人がお金を払わざるを得なくなる。
今さら有料化するなら使いません、とはなかなかならないのではないだろうか。
今のビジネス界は「勝者総取り」方式が多いといわれている。
一強の勝者がすべてを支配するという形で、Google、Amazon、Appleなどが典型だ。
山のSNSでもヤマップが相当勢力を伸ばしていたので勝者総取りになるのでは・・・?という気配もあったが、今回の有料化でヤマレコに回帰するユーザーもいるかもしれない。
一方で自分はヤマレコユーザーだが過去10年来の記録をずっと蓄積してしまっている状況では簡単に他に引っ越すわけにはいかない。
上のGoogleMapの件と同様に、ロックインされている状況だともいえる。
今のタイミングで値上げされても簡単にはやめられないし引っ越しもできない。
こういった状況を鑑みて簡単に値上げに踏み切る会社なのか、経営の効率化で頑張ろうとする会社なのか、ヤマレコは少なくとも後者だと信じているしそういうスタンスの会社だからこそ費用を負担してでも応援していきたいという気持ちにさせてくれる。
ヤマレコの従業員数はヤマップの1/10程度しかいない。これからも少数精鋭で頑張って欲しい。