≪転院への壁≫

NETに関して、最も多くの症例を経験しているのがT大学病院だということが分かったものの、それだけの理由で転院先を決めていいものなのか疑問がありました。
それに、当然のことながら転院には患者である母の意思が最も重要ですし、家族の意見も尊重しなければなりません。

実際、母は、肝転移があっても無症状で日常生活に何一つ問題がない状態だったので、いつか手術を受けなければならないことは理解していましたが、副作用の強い薬物(特に、抗がん剤)を使って、かえって生活の質が悪くなることは嫌がっていましたし、転院する場合の労力や事務手続が気になるようでした。
また、家族内にも、転院に賛成する意見もあれば、すぐ転院することに異を唱える意見(Z大学病院で手術を受けてからT大学病院に転院すべきとの意見)もありました。

そのため、私は、T大学病院に転院した場合、どのような治療が受けられるのか、専門外来をやっている先生はどういう先生なのか、他の病院と治療方法や診療体制に違いがあるのか、などについてリサーチしてみました。

その結果、T大学病院では、
 肝転移の治療に関しては、おそらく薬物治療(分子標的療法やホルモン療法)を行ってから手術の可否を判断することになること
 専門外来のメリットとして、薬物治療から手術までを一人の先生が診てくれること(いくつもの診療科を回らなくてよいこと)
 専門外来の先生も患者の利益を第一に考えて治療方法を提案してくれる先生であること
などが分かり、母や家族も転院する方向に傾きました。

ただ、セカンドオピニオンを受けてから転院した方がいいのか、転院のタイミングをどうするのか、この点についてはなかなか答えが出ませんでした。

(続く)