「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)11月16日(金曜日)参
通巻第5893号
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そして次は? マーシャル群島に中国が照準
中国からのマネー乱舞を警戒。「金融センターを南太平洋につくる」って本気か
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南太平洋のマーシャル群島に「オフォショア市場」を創設しよう、というのが中国の狙いらしい。
同国のヒルダ・ハイネ大統領は「そうした動きに反対する私の政権に介入し、(中国が間接的に)排除しようとしている」と爆弾発言を繰り出した。(アジアタイムズ、11月14日。シドニー発)。
マーシャル群島は1914年から1945まで日本の信託統治だった時代があり、長老のなかには、まだ日本語が流暢なひとがいて人々は親日的といわれる。
そのうえ国連で一票を持ち、台湾とは外交関係があるという不思議な政治位置にある。
焦点があたっているのはラリック列島のロンゲリック環礁だ。
ここに「ドバイのような金融センターを建設しよう」というのである。
実際に議会は、元議長や元首相ら有力者が推進チームを組んで、ハイネ大統領の解任を緊急動議、16v16となって結論は持ち越された。
「中国のカネがマーシャル群島の政治安定を損ねようとしている」と彼女は訴えた。
事情通は「仮想通貨の導入をめぐる混乱」と弁明したが、ハイネ大統領は、その説を否定し、「ひとつの珊瑚礁の環境を破壊し、中国が金融の特区を造ろうとしているのだ」と訴えた。
ロンゲリック環礁は住民がわずか22名。
ところが、この環礁にある日、突然、中国資本がやってきて、1000戸の別荘をたてたのだ。
しかも永住権が付与される投資ヴィザを要求した、マーシャル群島の憲法では別の法律が適用される島は認められないとして、経済特区のプロジェクトさえ、建設は難しいのが現実である。
ビキニ環礁を思い出しませんか。
マーシャル群島は南北に長く、ビキニはやや北東、1954年、ここで米軍は水爆実験を行い、ビキニは久しく核汚染のため未開発だった。
ロンゲリック環礁は、その近くに位置する。
僅か5万3000人のミニ国家ゆえに、親戚とか部族の依怙贔屓が政治の駆け引きお基軸となりやすく、理想やイデオロギーは程遠い論争、もっとも外交安全保障は、独立後もアメリカ任せであり、米軍基地がある。
今回の動きには大統領選挙で捲土重来を期そうとするカステン・ネムラ前大統領が、「経済特区」という薔薇色の青写真を示して仲間に呼びかけ、議員連中を組織した結果だと言われる。
背後には中国系住民の動きが濃厚ともいう。
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