「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」カズオ・イシグロにノーベル文学賞 | 護国夢想日記

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 日々夢みたいな日記を書きます。残念なのは大日本帝国が滅亡した後、後裔である日本国が未だに2等国に甘んじていることでそれを恥じない面々がメデアを賑わしていることです。日本人のDNAがない人達によって権力が握られていることが悔しいことです。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)10月7日(土曜日)
        通巻第5466号  <前日発行>
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 カズオ・イシグロにノーベル文学賞
  二年前に、こんなことを書いていました
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いまや村上春樹より注目はカズオ・イシグロだ
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 新作『The Buried Giant(忘れられた巨人)』を発表したカズオ・イシグロ氏に欧米から賞賛の嵐が続いている

 

 

待望の新作は早くもベストセラー入りし、「タイム」などにも書評が出た。邦訳は4月下旬に早川書房から出版される。

 

 

 イシグロ・カズオ氏の日本名は石黒一雄、父親が海洋学者だった関係で5歳の時に英国に移住し、英国の大学で学び、完全に日本語を忘れた。

 

 

28歳の時に英国籍を得て英国女性と結婚している。

 いまや60歳、還暦を超えた。彼は民族精神が希薄ながら村上春樹氏をライバル視し、来日の折には大江健三郎氏と対談している。

 

 

もともと若き日のイシグロ氏はシンガー・ソングライターを目指してレコード会社にさかんに売り込みをかけたという変わり種だった。

 

 

 彼の文名が知られたのは王立文学協会賞を受賞した長編デビュー作『遠い山なみの光』(ハヤカワ文庫)からだ。

 

 

長編第3作はブッカー賞を受賞し、アンソニー・ホプキンス主演で映画化された『日の名残り』(同)。

 

 

これは世界50カ国以上で翻訳された。さらに2005年に発表した『わたしを離さないで』(同)は一転してSF小説だった。

 イシグロ文学の特色は「記憶」であり、悲しい物語の背景には幼い記憶の糸から想像した遠い過去の日本の風景、これらを現代世界に置き換え、南ア、旧ユーゴスラビア、ルワンダの流血などが集合的にパノラマ風に展開される。

 

 

少年時代の日本の記憶からサムライの精神を描く新作『忘れられた巨人』の舞台は5世紀頃のブリテン島

 

 

侵略者サクソン(ゲルマン)と原住民ケルト系民族との対立、戦争

 

 

そしてつかの間の平和を描いているが、登場するのは悪魔、修行僧、凶漢な戦士、面妖な僧侶、円卓の騎士団と、まるでハリー・ポッター風でもある。

「激しい剣戟(けんげき)場面があり、幼年期に日本で読みふけった漫画と好きだったプロレスの影響が濃厚だ」(「タイム」3月9日号)。

 

 

15世紀の詩『ガワイン卿と緑の棋士』(作者不詳)が追求した純潔と忍耐という隠されたテーマに大いに刺激を受けて想像力に富む物語を紡ぎ出した。

 作風とは異なり、イシグロ氏は快活でお喋り、俗なジョークを飛ばし驚くほど人間味に溢れるという。

 

 

私生活を明かさず、思索にこもる孤立したイメージの村上春樹や大江健三郎と同列には語れそうにない。

 (この文章は『エルネオス』、2015年四月号からの再録です)
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