奥山篤信の映画評 アメリカ映画『サード・パーソン the third person』2013 | 護国夢想日記

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奥山篤信の映画評 アメリカ映画『サード・パーソン the third person』2013
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僕が現代の監督で最も評価する監督の一人であるポール・ハギス(Paul Haggis, 1953年3月10日 - )の監督・脚本作品だ!


ハギスはカトリックの環境で育っており、35年間Church of Scentorogyに属していたが、カルトと断定し去った。


彼の映画は人種を離れた人間愛、サマルタン的隣人愛そして人間の罪を深く洞察した映画群であり、この映画も例外ではない。


映画脚本としては初めての『ミリオンダラー・ベイビー』でアカデミー賞にノミネートされ、作品賞を受賞。


翌年には自身が監督、脚本、製作した『クラッシュ』で作品賞と脚本賞を受賞した


脚本を手掛けた作品が2年連続でアカデミー作品賞を受賞するのは史上初の快挙であった。


その他
007 カジノ・ロワイヤル Casino Royale (2006) - 脚本
父親たちの星条旗 The Flags of Our Fathers (2006) - 脚本
硫黄島からの手紙 Letters from Iwo Jima (2006) - 製作総指揮
告発のとき In the Valley of Elah (2007) - 監督・脚本
007 慰めの報酬 Quantum of Solace (2008) - 脚本
スリーデイズ The Next Three Days (2010) - 監督・製作・脚本
と一部に娯楽もあるが、長時間映画を飽きさせない縦糸横糸の緻密なシナリオの構成には驚くばかりである。

この映画はパリ、ローマ、ニューヨークを舞台に3組の男女の関係を描く恋愛ものだ。


著名だが落ちぶれつつある小説家と愛人、ビジネスマンと娘を誘拐された女、元女優とその元夫の物語を交錯させながら、三つの物語をうまく求心的に描く能力は凄い。


しかもリーアム・ニーソンをはじめ、エイドリアン・ブロディ、オリヴィア・ワイルド、ミラ・クニス、マリア・ベロ、そしてキム・ベイシンガーがまで出ていて名演技が披露される。


キリスト教用語を使えばこの世は人間の罪が満ちあふれている。性欲・犯罪・詐欺・エゴイズム・嫉妬・近親相姦など、そんな醜い人間界で、この三組を取り巻くエピソードを展開させ、サマリタン的人間愛、赦し、庇いなどまさにイエスの教えがちりばめてあり、この映画は正真正銘のキリスト教推薦映画である。


三組の結末はまさに、それでもエゴで人間関係を利用する男、赦しの男女そして人種を超えたサマリタン、罪深い世であるが、人間はどうしようもない罪に傾いてはいるものの、最後にはやはり救いがあるという余韻を残す見事なシナリオであり、バックのピアノ旋律が素晴らしく光るのだ。


決して奇麗事を念仏で唱えるキリスト界ではなく偽善や欺瞞を憎み、もろ人間界の醜悪さのなかで、神というかイエスを見つめる監督の姿は最高である。