酒井信彦   朝鮮戦争の悲惨な実態が、少し明らかになった | 護国夢想日記

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酒井信彦   朝鮮戦争の悲惨な実態が、少し明らかになった
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二年ほど前、私はこのブログで、「朝鮮戦争の真実が明らかにされるべきである」という文章を書いたことがある。7月8日の朝日新聞朝刊に、ようやくその一端を取り上げた記事が掲載されている。
 

それはソウルの中野晃記者によるもので、見出しには「虐殺語る遺骨 慰霊なき放置」「『北の協力者』数十万人、軍など処刑」「朝鮮戦争の暗部、政権黙殺」とあり、リードの部分は、「朝鮮戦争のとき、韓国の軍や警察に虐殺された民間人の遺骨が大量に放置されている。


国立慰霊公園の建設は進まず、地中に埋まる遺骨の発掘も中断したままだ。自国の暗部を明るみに出すことに消極的な保守系の李明博政権の姿勢が背景にある」とある。


日本に対しては、戦前・戦中の朝鮮人の遺骨の返還を熱心にせまる韓国であるが、自国において大量の遺骨が放置されているわけである。
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記事によると、「『進歩系』の故・盧武鉉大統領のもと、独裁・軍事政権期の人権弾圧の真相究明を進める政府機関が発足した。


長年放置されてきた朝鮮戦争での民間人虐殺にも光があてられ、国の予算で犠牲者が地中に埋まっている可能性が高い約40カ所の発掘が始まった」という。


清州市の忠北大学の朴善周教授は、2007~09年に韓国10カ所の発掘調査を行い、1617体分の虐殺遺骨を収集して、それは同大学に保管されている。
 

具体的な事例として紹介されているのは、ソウル北西郊外高陽市の場合で、小高い丘の頂上付近に井戸のような深い穴があり、警察が銃殺した村民の遺骨153人分が、1995年に発掘された。


その中の一人は「集落長」だった人物で、「北朝鮮側の占領時に人民委員会の委員長になった」ことが、「北の協力者」とされたわけである。


穴には遺体があることは分かっていたが、軍人出身政権の間は発掘できなかった。その後文民政権下で発掘でき、盧政権で犯罪行為と認定されたのだという。しかし発掘調査を進めた政府機関も、現政権で解散したのだという。
 


もう一つの具体例は公州市のもので、こちらは比較的大き目の写真が掲げられ、簡単なキャプションが付けられているが、事件そのものの内容は説明されていない。


キャプションには、「韓国・公州市の発掘現場。遺骨が整然と並んだ状態で見つかった。整列させられたまま銃殺されたとみられる=朴教授提供」とある。たしかに地表からそれほど深くないところに、かなりの人骨が頭を並べて横たわっている。
 

朝日の記事はまことに朝日らしく、あくまでも韓国における進歩政権と保守政権の、対応の相違に焦点が当てられているが、この自国民虐殺の事実が突きつける意味は、とてもそんなレベルには止まらないはずである。


それは、戦争と言うものは、そのような悲劇を伴うものなのだという、単純かつ厳粛な事実である。
 

朝鮮戦争は時間的には比較的短期間であるが、空間的には朝鮮半島の殆ど全土が戦場になった。初めは北朝鮮軍が優勢で、国連軍を半島南東部に追い詰めた。


仁川上陸から国連軍が反撃し、今度は北鮮軍を中共国境近くまで追い詰めたところで、中共軍が参戦して盛り返し、結局以前と同じような南北分断状態になったのである。


このような複雑な地上戦が展開されたのであるから、戦争に巻き込まれた民間人も当然多くなる。
 

それは戦闘の余波で命を落とすだけでなく、高陽市の場合のように、支配者の交代に伴って、スパイや「敵の協力者」として処刑される人間が出てくることである。


ソウルなどの南北境界付近は、取られて取り返し、また取られて取り返した地域であるから、都合四度、地上戦が行われたわけである。
 

朝日の記事には、「朝鮮戦争では韓国軍や警察、右翼勢力から『北の協力者』とみなされ、数十万人の民衆が裁判なしで『処刑』されたとされる」と述べているが、これは決して韓国側に限ったことではないだろう。


北朝鮮軍も全く同じことをやったに違いないし、中共軍もベトナムのソンミ事件のような、民衆虐殺をやったに違いないのである。今のところ、秘密のベールで覆い隠されているだけである。


慰安婦問題でいつまでも日本をネチネチと攻撃していないで、韓国は「保守派」の政権であっても、北鮮軍・中共軍の犯罪とあわせて、朝鮮戦争の悲惨な真実をすべて明らかにすべきである。
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「蘇れ美しい日本」  第1229号


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