本屋大賞『舟を編む』 | 田中さなえオフィシャルブログ「いそがず休まず」Powered by Ameba

本屋大賞『舟を編む』

2012年本屋大賞に選ばれた話題の小説
舟を編む / 著・三浦しをん』 ようやく講読しました!

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三浦しをん氏の小説といえば、私が知っているのは・・・
箱根駅伝を目指す大学生たちの青春を描いた小説「風が強く吹いている」。
その駅伝にかける情熱と厚い友情、苦難を乗り越えて夢を掴む彼らの姿、
何かに一生懸命になれる姿ってとても美しい・・・と感動した。
映画化もされたし、とても後味さわやかな良い作品でした。

今回の作品も、
①ある事に情熱を注ぎ、苦難を乗り越え、夢を実現する。
②キャラクターが個性的で惹き付けられる。
③テンポがよく、後味さわやか。
など、そういう点では似ているかも。

違いは、前者は体育会系、後者は文科系!(笑)
そして今回は、より大人の知的好奇心をくすぐります!
さすが本屋大賞!めちゃくちゃ面白くてオススメです!

『舟を編む』は、
辞書作りに人生をかける人達のお話。
何万、何十万語と掲載されているその一語一語がこんなに吟味され、
取捨選択されて語釈の限られたスペースに収められていく・・・。
語釈も辞書によって違うし、編纂する人のセンスが光るところ。
また、紙にもこだわっている。
そういえば、あの感触、私も好きだった。
薄いペラペラの紙で、サラっとしていて指触りが気持ちいい。
めくる時の音も好き♪
何気なく使っていた辞書が、こんなに丁寧に膨大な時間をかけて
作られるものだとは知らなかった。

「辞書は、言葉の海を渡る舟だ」

大海原に散らばる言葉をどう選んで、自分の思いを如何に正確に伝えるか・・・ 
辞書という舟がそれを助けてくれる・・・

そう、私も言葉を学ぶために小中高とお世話になってきた辞書ちゃん達。
なんだか急に愛おしくなり、押し入れから引っ張り出してきたニコニコ


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時代とともに言葉も増えるし辞書はどんどん新しくなるのだけど、
手垢がついて古くてもやっぱり捨てられないよね~本

小説の中で、誰に監修してもらうか・・・によっても箔が付くんだそうで・・・
ふと冒頭の「監修者のことば」覧をめくってみた。
ほぉ~~~。・・・誰?

吉田精一氏。日本の国文学者。近大文学会を創立。
文部大臣賞なども受賞している、とにかく偉い人!

ほぉ~~~。
ひとつ勉強になったね!

ほかにも、小説ではこんな議論も・・・
「河童の絵はどうする? これ、徳利もってるけど、おかしくない?」
依頼したイラストレーターが某酒メーカーの影響でか?徳利を持った河童を
描いてきたのだ(笑) 

また思わず、手持ちの辞書の「河童」を引いてみた。
あった!イラスト付き! けど、徳利は持ってないバージョン!(笑)

諺や慣用句も・・・
ーーのかわながれ(川流れ)
ーーのへ(屁)

ここでふと疑問がわいた。
ーーのへ(屁) 実に簡単でたやすくできること。なんでもないこと。屁の河童。
とあるが・・・
そもそも河童も屁をするのか?どんな屁か?
そして何故それが簡単なことを意味するのか?? 

今までとくに考えず使っていた言葉・・・屁の河童。
誰か教えて~~~っ!

そう、辞書は完璧ではない!
そこにまた面白さがあるのだ!

いやぁ~「辞書って深いなぁ~」と思う今日この頃。
買うのは大変だから図書館へ行って色んな辞書を見比べるのも楽しそう!

とにかく、『舟を編む』 読んで損はない!オススメで~すニコニコ 


【追記】
ちなみに、
屁の河童は、木っ端の火(こっぱのひ)という慣用句からきている。
木端(木の屑)の燃える火は火持ちしないことから、たわいもないこと・
儚いことを木っ端の火といった。これが訛って河童の屁となり、
更に転じて屁の河童となった。

・・・そうな。 もとから転じすぎて分らんわっ!(笑)