手慰み用に入手した 往年の名機 中波、短波受信機 TRIO 9R-59D。大よそ50年前のビンテージ受信機。もちろん真空管を使っています。
ひと通りの動作確認、調整、整備が完了。
総括すると、この受信機は、キットを組み上げたオーナーさんは、中・上級の腕前。(半田付や配線の状況から)
おそらく、倉庫かどこかに保管されていて、埃の混入やネジ類の錆が発生。
推察するに、第2のオーナーさんに渡ったか、修理に出されたか不具合箇所が修理され・・・、これが最終的にオークション出品者の手に渡ったものだと思われます。
初期の動作確認で、すべてのバンドで受信確認できて(何らかの信号が受信できているので局部発振器等基本機能は作動)いました。
まずは、アマチュア無線用モービルホイップアンテナのアンテナ取り付けのM型コネクタを取り付け。
次に、受信周波数がダイヤルメモリと会っているかを大雑把に確認すると・・・ずれている。
一番強い電波は
RF ラジオ日本 川崎ラジオ送信所
JORF/1422KHz/D50kw
神奈川県川崎市幸区小向仲野町89
これが1500KHz以上のダイヤルメモリで受信。
校正などをシグナルジェネレータでと思ったら、音響用の低周波発振器は東京に残していたけれど、高周波、HF波が出せるものは長崎の小値賀に送ってしまっていた。
インターネットで色々検索すると、ダイヤルメモリで受信周波数を読み取るのでなく、周波数カウンターで、受信周波数を表示させる記事があり、出版されている雑誌にも載っていました。
ということで、受信周波数を周波数カウンターで読み取れるように、配線。バリコンに2pFのコンデンサを介して、同調周波数を取り出すというもの。
周波数カウンタ用電源と周波数カウンター
受信周波数を取り出す。理論的には検波周波数+中間周波数の混合して、増幅されいる場所。
受信周波数の精度と受信能力を見る簡易的な方法は、標準電波を受信すること。
10MHzと15MHzで受信状態を見ればいい。中華のBPMとアメリカ(ハワイ)のWWVHの標準電波局。
まずは、AOR AR3000をリファレンス機として、10MHz、15MHzを同じアンテナで受信して
電波が到来していること、強度などを感覚的に把握。
次に、TRIO 9R-59Dでこれを受信すれば、短波帯のC、Dバンドの中央付近での状態が把握できる
ちなみに、切り替えは、以下のとおりであり、Bバンドは省略、放送等で異常はないようです。
Aバンド 550-1600 kHz
Bバンド 1.6-4.8 MHz
Cバンド 4.8-14.5 MHz
Dバンド 10.5-30 MHz
結果として、10MHzと15MHzともに良好に受信したので、受信機能として低下はあまりないようです。
この周波数カウンターで直読みする仕組みは、周波数カウンターで読み取った値は、検波した周波数に、中間周波数455KHzを減算して表示させるというもの。原理的には正確に455KHzデあれば10.000MHzとなるはずが10.003MHzと表示されるので、+3KHz程誤差があるようです。15MHzでも誤差は同じ+3KHzでした。
ダイアルメモリはだいぶずれています。
中波AM放送を受信してダイヤルメモリと比較すると、低い周波数500KHz、800KHz当たりではダイヤルメモリは、ほぼ合っています。
ただ、高い方のラジオ日本JORF/1422KHz では、最良受信時1424KHzと表示され2KHz高いのでやはり直読みの周波数カウンター値の誤差は2~3KHz。
この補正は、後日の課題へ
ダイヤルメモリは1530KHzを指してしまいます。
低い周波数でも同じくらいの誤差があれば、ダイヤルメモリをシャフトに止めてあるネジを緩め、メモリ盤自体を補正すれば良いかと思われますが、高い周波数にダイヤルメモリを合わせると低い方がずれてしまう。
今回は、高周波用のシグナルジェネレータが手元にないので、校正はここまでにしました。
アマチュア無線のSSBの受信、復調もできました。ただ、復調をBFO摘みでやるので、ちょと面倒、CWの受信は、音声の復調ほど、そんなに神経質にならなくても良いので、これはこれで良し。
課題としては、中間周波数の補正 455KHzが正確に出るようにするか、実中間周波数は458KHz付近と思われるのでこれを補正せずに周波数カウンター側で補正するか。
周波数表示のメモリ盤の指示メモリ合わせをするか、どうか。そこまで今の測定機環境でできるか???
ただ、10MHzも15MHzも受信感度はすこぶる良好なので、余り余計なところはいじりたくないなと思う気持ちもあります。
ちなみに、邪道ですが、強信号を受信すると、Sメータが簡単に振り切れ、戻らなくなる現象があったので、3KΩの抵抗を入れて
IFゲイン最大、ラジオ日本JORF/1422KHzでSメータが振り切れる直前としました。これが他の回路に悪影響を及ぼすか不明です。
おそらく、定格通りの真空管や抵抗、コンデンサを集めるのは至難の業で、改善できるか自信がありません。
なので、不具合の対処療法的なやりかたです。
ちなみに、怪しいと思っていたIF信号用ボリュームとコンデンサは外して測定したところ問題はありませんでした。
ただ、取り付けられているのは小型ボリュームなので、ネットでは電流値が比較的大きいので大型のボリュームを付けるのが正解との記事もありました。
今度10KΩの大型のボリュームが見つかれば、入手して交換しようかと思います。
ちなみにコンデンサー類は不具合そうなものは交換され、ダイオードも交換されている痕跡がありますので、一度修理されているのは間違いないようです。修理も、全換えではなく、ピンポイントに安価な部品を使っているようなので、これを修理された方の技量も大したものだと尊敬します。
個人的には、保管状況が良くなかった期間に出ている錆びたネジを交換したいところですが、どうもインチネジで手持ちのJISネジでは交換できなかったので、これも今後の課題にしました。
とりあえず、受信機的に機能、性能上問題はない。
これを主たる受信機にするわけではないので、そこそこの調整、部品交換。
受信周波数も正確な受信周波数表示が日常的に必要なわけでなく、常時周波数カウンターを取り付けておかなくても、
たまにAM中波放送をBGMで聴きたいときには既存の「癖」として、使えば良いこと。
小さな課題は残りましたが、十分に使える受信機であることが分かっただけで満足です。
手慰みの為の我楽多ですが、動作する54年前のビンテージ 受信機としては合格ではないでしょうか。(´∀`*)ウフフ
個人的には、デジタル化されたものより、じんわりと、アナログ的に微細な調整ができるアナログダイヤル操作が好きです。
DSP(デジタルシグナルプロセッサ、デジタル処理)化されると、この微妙なところがありません。受信周波数の「STEP」、いわゆる段階的でなく、あくまで連続なのがアナログです。
イエスかノーか、これの次はこれ、でなく、その中間もあるということ。
機械的な動きと、それが目に見えて音声に変換されるのは、理論とか分かっていても不思議と感動します。
デジタル化され、超小型化、高性能化されているものが沢山あり、素晴らしいものがあるので、これを否定するものではありません。
が、・・・良いものは、いつまで経っても良いなーと感じる次第です。
蛇足的に・・・・
ネットオークションで入手した本機、たまたま「当たり」だったのかもしれません。出品されるものには酷いものもあるらしい。
基本的にこの9R-59Dはキット販売で、最初の組立者の技量で大きな差が出ます。そして、改造、修理の記事が巷に溢れ、
有益なものもあれば、害となっているもの。修理も修理者の技量によって最終的に出品されているものは珠玉混合。
手慰み、お遊び程度で楽しむにはおあつらえ向きですが、完全動作を期待してこの機種のようなビンテージものには手を出さない方が良いですぞ。
お終い。
惣治のmy Pick