アルファ・ロメオのタイミングベルト交換とバルブタイミング① | STAFF BLOG -サンアイ自動車スタッフが送るブログです。-

アルファ・ロメオのタイミングベルト交換とバルブタイミング①

アルファ・ロメオ156のタイミングベルトとウオーターポンプの交換のご依頼を頂きました。現在ウオーターポンプは異音や水漏れはありませんが、予防整備として交換を希望されました。



156だけでは無く、他モデルにも幅広く採用されている2.0TS(ツインスパーク)エンジン。フィアットのファミリーBエンジンをベースにアルファ・ロメオ流に味付けされたエンジンです。
伝統のツインスパーク(ツインスパーク採用の経緯は以前ご紹介しています )を採用していますが、「なんで4弁にツインスパークが必要なの?」と思ってしまうのは私だけでしょうか?



タイミングベルトの他にバランスシャフトベルトがあるのが特徴です。
以前にも書きましたが、4気筒では、クランクの重さでバランスを取るのが不可能なので、バランス・シャフトと言われる「重り」を取り付け、完全バランスを目指そうとするものです。カタログにも「4気筒で6気筒並みにスムーズ」と謳ってあります。三菱が開発したこの技術。ポルシェの4気筒やランチアにも採用されていました。スゴイですねー。世界の1流メーカーに売れる技術があるのに、あんなリコール騒ぎを起こしたのは残念です。


話が逸れましたが、今回はそんなロメオのタイミングベルト交換作業をご紹介しようと思います。

ちょっとマニアックな話になりますが・・・



まずはタイミングベルトカバーを外します。カムプーリーとカバーにマジックでマーキングがしてあります。

この車は、以前にも他社でベルトの交換作業がされており、その際に付けられたマークです。他の車ですと最初からメーカーが打ったマークがあり、その印を基にカム位置を確認するのですが、ロメオにはマークはありません。ではどのようにしてカム位置を確認するのかご紹介します。



まず専用工具にてピストンの上死点を確認します。

工具にはダイヤルゲージがセットされていて、ピストン位置は1/100mm単位で確認します。
次に、カムシャフトキャップを外し、(画像左カム前から3つ目、左カム4つ目)これまた専用工具でカムシャフトをロックします。

↓の工具でロックします。いくつかあるのは、V6用など他モデルのエンジン用です。



この方法はロメオだけで無く、他のフィアット系のエンジンも同様に作業します。

94年頃、V6-24Vエンジンでバルブタイミング不良が原因でエンジン不調になるケースが多発した為に採用された方法です。当時はPDI(輸入直後の点検センター)でもタイミングの確認作業をしていたみたいです。
他にも、整備でのベルト交換時にセット不良でバルブタイミング(以下バルタイ)がずれるケースが多いからだと思います。僕が思うに、この方法は画期的で、必ずメーカーが指定した数値に正確にセット出来ます。
他メーカーが採用している「アイマーク方式」でのタイミングベルト交換方法では必ずしも正確なバルタイがセット出来る訳では無いのです。

例えば、ベルトの張り方でもバルタイは変化します。テンショナーの位置にもよりますが、一般的にはベルトをキツク張ればバルタイは進む方向へと変化します。逆に緩めに張れば遅れる方向へ変わります。(今はほとんどオートテンショナーになっているので問題ないですが)
その誤差は、僕の経験だとクランク角でおよそ±4~5deg(度)が多いです。通常ですとこれぐらいのズレでエンジン不調になる事は無いので問題にもならないですし、各寸法にはどのメーカーでも必ず公差は存在します。ですが、より高精度を求められるレース用エンジンなどでは、より正確にバルタイを合わせるのが常識になっています。

なのでロメオのタイミングベルト交換方法は、わずかなズレも無い、より高精度な交換方法だと僕は思います。
次回、実際の交換作業をご紹介します。