コロナは緊急事態宣言で効果が表れており、ようやく国内でもワクチン接種が始まろうとしていて、少しホッとします。
一方、東京オリンピックはコロナで開催が疑問視される中での某会長のトンデモ発言に対して国内外から非難噴出。そのあとも火に油を注ぐ発言があちこちから相次いで全く情けなくなります。次期会長選びがせめて透明性の高いことを願います。
あんな発言さえなければ・・・。と、つい思ってしまいます。
しかし、さまざまな事実が次々に相互に複雑に関係して次の新しい事実を作っていきます。歴史に「if」はありません。
ところで、
今回の売り信号は失敗じゃないの?と言われるかもしれませんね。日経平均株価はあっという間に29000円を超えました。3万円説も勢いを増しています。
もしロビンフッダー騒ぎが無ければ私のパソコンからは売り信号は出ず、従って私は銘柄1570を売ることはなく、もっと利益が出たはずだ
と、ついつい思ってしまいますが、
しかしここにもifはありません。ロビンフッダー騒ぎは起こり、パソコンは売り信号を出し、私は株を売り、そしてこのようなブログを書いている・・・。それが事実の連鎖です。
では本当に失敗か?
私の手法は大きく変動する相場には強いのですが、一本調子で上昇する相場では時に取りこぼしが出るのです。このまま一本調子で3万円まで行く場合は、私は指をくわえて見ているしかないです。
しかし、一旦どこかで少し落ちてから再度立ち上がる場合は買うチャンスがある(買い信号が出ればですが)ので失敗ではなく、リスク回避に成功したという評価になります。
いずれにしても評価できるのは少し先です。
今回のテーマは「中国ショック」です。
本題の前に前座を。
英シンクタンク「経済ビジネス・リサーチ・センター」(CEBR)が、2028年までに中国のGDPがアメリカを抜いて世界一になる、という調査報告書を昨年末に発表しました。
他の主要国が軒並みマイナス成長の中にあって、中国だけがプラス成長で、コロナショックがキャッチアップを加速させた格好です。
図1はコロナ禍前、2019年のGDP上位20か国ランキングです。
<図1>
図2は、対数目盛で表した1999年と2019年の世界のGDPランキング上位50か国です。順位は入れ替わっています(中国の躍進がすごい!)が、世界全体のGDP増加でグラフは上方に平行移動しています。
ランキングデータが対数目盛グラフで直線に沿って並ぶのは、経済活動が複雑系だからです。一見不思議な特徴ですが、私のブログを覗いて頂いている皆様には違和感が少ないと思いますが、如何でしょうか?
<図2>
直線より上側の国は伸び盛り、下側の国は停滞と考えてほぼ差し支えありません。中国が20年間で約15倍なのに対し、日本は殆ど横這いです。
このままGDPの横這いが続くと、中国が世界一になるころは日本は6~8位に後退してしまうでしょう。3位を維持するには今の約2倍のGDPが必要になるでしょう。極めてハードルは高いですね。
さて中国ショックですが、2015年~2016年にかけて続けて2回起こりました。
それまで躍進著しい中国の景気に牽引されて世界の株価は上昇していましたが、その中国の景気減速が明らかになって売られたのです。
表2および図3は、第1次中国ショックと、引き続いて起こった第2次中国ショックです。
<表2>
<図3>
図4はそのうち前半部、2015年の第1次中国ショックです。
<図4>
ショック前の約半年間に及ぶ株価上昇期は、2回の売買によって上昇分をほぼカバーして利益が得られています。そして8月3日の週に発生した「売り」信号から間もなく急落しました。
実はこの8月3日の週に発生した「売り」信号は、銘柄1570から出たのではなく、銘柄1321から出たものです。表1の説明には「1321売り」とあります。
この両銘柄の変動パターンは当然ながら非常によく似ており、同じ種類の信号が同じタイミングで出ることが多いのですが、違いが発生することもあります。
それで、銘柄1321で発生した信号は銘柄1570に反映させるように設計しています。リスク低減のため、早めにアクションするようにしているのです。(注:その逆は行っていません。銘柄1321は売買しないので)
1回目の1321の売り信号も、2回目に出た1570の売り信号も、いずれも緊急系の信号(とにかく売れ!)でした。5週移動平均線が13週移動平均線の上から下に交差したタイミングで出ています。
図5に第一次中国ショック時の移動平均線の交差タイミングのズレを示します。2週間ずれています。
<図45
銘柄1570が交差を検知したのが8月17日の週だったのに対して、銘柄1321はそれより2週間早い8月3日の週です。
もしこの銘柄1321の信号を使わなかったら2回目の信号で売ることになり、この回の売買は赤字になっています。
際どいタイミングでしたが回避できました。
図6は秋から冬にかけて、第1次に引き続いて発生した第2次中国ショックです。
ここは余裕で売り抜けています。また、「買い」信号はここでも底値に比較的近いところで出ています。
第2次も第1次と同様、最初の売り信号は銘柄1321由来のものです。
しかし信号の種類が違います。第1次は緊急系ですが、第2次は逆張り系です。従って待ったなしの第1次とは違い、第2次では売りタイミングに余裕があり、仮に1回目の信号を無視したとしても、ほぼピークで売ることができています。
こうして、銘柄1321の信号との連携プレーで2度の中国ショックはスマートに回避できています。
次回はさらに遡って2013年のバーナンキショックです。