記念すべき第一弾は

フジファブリックについて書きます。

現在ももちろん解散をせず精力的に活動しているバンドです。

でも実は今のバンドは第二期といっていいと思います。

第一期には志村正彦というボーカリストがいました。

ほとんどの曲を彼が書いていました。

デビュー当時はフジファブリックは志村正彦のバンドでした。

僕は彼が亡くなってしばらくしてからフジファブリックを知りました。

ある晩、深夜にテレビをつけていたらライブ映像が流れました。

「ん?なんだこのバンド?」と思わず座りなおしてしまいました。

それぐらい衝撃がありました。

サファーキングという曲です。へんてこな曲でしたがめちゃかっこいい。

志村もとてもキレイな顔をしていました。でも目の奥がちょっとへん。


誰だろう...この人???


そして映像の最後に

「ボーカルの志村正彦君は昨年12月24日に永眠されました」

というテロップが流れました。


「えええええーーーー?」

今度は椅子から転げ落ちるぐらいびっくりしました。

彼は29歳の若さでこの世を去っていました。

死因については色々憶測もあるようですが未だはっきり分かっていません。


彼の曲の中で一番好きな曲があります。

「茜色の夕日」という曲です。

この曲はプロミュージシャンを目指して志村が山梨から上京し、

東京で初めて作った曲です。

それにしても一曲目でこのクオリティ...

桑田ケイスケとか荒井由実とか佐野元春とか、

30年に一度ぐらいの間隔で、ある種の完成された強烈なオリジナリティを持って

突如現れ、時代を席巻していく天才ミュージシャンに引けを取らない才能だと

僕は思っています。


彼の曲の最大の特徴は「せつなさ」です。

「せつなさ」を表現させたらちょっと彼の右に出る者はいないと思います。

色々なミュージシャンを聴いてきましたが、

全アルバムをほぼ数日で全部揃えたのは

志村正彦のフジファブリックだけです。


「茜色の夕日」には全ての志村正彦的な視点や

感じ方が凝縮されています。

おそらく彼はその後の短かったソングライティング人生の中で

この曲を越す曲をイメージし、捻り出そうと葛藤していったと思います。

少なくとも僕はそう確信しています。

またそこが志村正彦の悲劇だったと思います。

バンドはメジャーに登りつめ、志村に課せられたのは良い曲を作ること。

彼の元来のまじめさもあって、ソングライティングにのめり込んでいきました。

その頃から昼夜逆転の生活が始まります。

睡眠時間は2時間程度、食べ物はコンビニ弁当とコーラ。

アルバムを作ってツアーに出て、また曲作りして、アルバムを発表して

またツアーに出る。深夜に延々と続く曲作りは

深い内省作業の無限連鎖のようで志村を消耗させていきました。

電車に乗るのが怖い。

その頃からいわゆるパニック障害に陥っていたという証言もあります。

一曲目で出来てしまった名曲がその後の彼の人生を大きく狂わせていった。

それぐらい「茜色の夕日」は完璧な曲です。


志村正彦が亡くなって、彼を偲ぶミュージシャンが終結した

追悼コンサートが開かれました。

志村正彦がずっと憧れて尊敬し、最終的には同じ事務所に入ったという

兄貴分のミュージシャンが奥田民生です。

その追悼コンサートで彼はギター一本で「茜色の夕日」を歌いました。

サビの部分で歌えなくなり、キャラではないけど泣き出してしまいました。

まともに歌えなかったのですが、オリジナルに匹敵する

気持ちのこもった素晴らしい「茜色の夕日」でした。


この曲は世界で一番美しいバラードの一つだと僕は思っています。


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茜色の夕日


作詞:志村正彦

作曲:志村正彦



茜色の夕日眺めてたら

少し思い出すものがありました

晴れた心の日曜日の朝

誰もいない道 歩いたこと

茜色の夕日眺めてたら

少し思い出すものがありました

君が只 横で笑っていたことや

どうしようもない悲しいこと



君のその小さな目から

大粒の涙が溢れてきたんだ

忘れることはできないな

そんなことを思っていたんだ



茜色の夕日眺めてたら少し

思い出すものがありました

短い夏が終わったのに

今 子供の頃のさびしさが無い



君に伝えた情熱は

呆れる程情けないもので

笑うのをこらえているよ

後で少し虚しくなった

東京の空の星は

見えないと聞かされていたけど

見えないこともないんだな

そんなことを思っていたんだ



僕じゃきっとできないな できないな

本音を言うこともできないな できないな

無責任でいいな ラララ

そんなことを思ってしまった

(しまった しまった)



君のその小さな目から

大粒の涙が溢れてきたんだ

忘れることはできないな

そんなことを思っていたんだ

東京の空の星は

見えないと聞かされていたけど

見えないこともないんだな

そんなことを思っていたんだ





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