私は運良くある程度の給付金やお給料の支払いを受けられ、この先数ヶ月はなんとかなりそうです。ですが、ではオーストリア全体としてはどうなんでしょうか。。
4月に発表されたオーストリアの失業保険申請数は562,522件。これは1945年以降の最多の記録だそうです。人口たった885万人の国で56万件以上の失業保険の申請…、この数字にどのような印象を持たれるでしょうか…。

日本の状況と比べようかな?と思ったのですが、日本とオーストリアの失業率の算出方法の違いや、失業者の定義の違いがわかり、比較しても意味がないことに気づいたのでやめておきます。

四月初めに、あるニュース記事を読みました。オーストリアで29年間勤めていたおじさんが解雇され、雇用主はクルツアルバイト(一定期間、給与や労働時間を一部カットして、従業員をリストラすることなく全員の雇用を守る)を申し出たけれど、本人は悩んだ末に、解雇されて失業保険を貰う方を選んだそうです。どんなお仕事をされていたかは記述ありませんでしたが、「僕は29年間真面目に働いてきた、お客さんにも恵まれたこの29年間に感謝している」などど書かれていました。

また三月末には知り合いのドイツ人歌手がミュンヘンの地元紙の取材に答えていた記事を読みました。
“我々を見殺しにする気か?“という激しい見出しでした。ドイツの芸術家や自営業者に対する補償は州や自治体ごとに内容が異なり、つまり彼が住むミュンヘンでは、事業で使う部屋の家賃や経費に対しての補償しか認められなかったため、彼や彼の家族の家の家賃や生活費のための補償が全く得られなかった、とのこと。

どちらを読んでも胸が痛くなりました。
コロナ危機の影響で、世界中多くの人が何らかの損害を受けたでしょう。しかもそれは今現在よりも、これからの方がもっと長く、もっと多くの損害が見込まれます。私は今、オーストリアの政策が行き届いているのか、失業保険申請数の増加が他の国々と比べてどれほど深刻なものなのか、正直わかりません。
ただ、今起こってること、そして誰が何をしてくれたか?
これだけはしっかり観察して、記憶しておこうと思います。