こんにちは。
婚活から終活まで対応できるオワマルライフサポーターのManyuです。
前回までの記事はこちら
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*名前の表記
上野美佐穂さん=み
み:たぶんお腹の中で赤ちゃんという形が出来て、
それを目にして、お腹に赤ちゃんが宿っているんだ、
この子は生きているんだという段階に来たら、
たぶん中絶することは今よりは減ると思う。
だけど出生前診断はその前だから、
形になる前に検査が行われていたら、
まぁするんだな・・・ということが感覚的には分かる。
ただ、育てられないという思い込みや、
社会の構造、間違った情報、
あまりにも「障害を持った子を抱えた親は不幸だ」
と言う情報だけで、
どんな人も大変というイメージを持つことがあると思う。
私は、
出生前診断を広げる前に、
先にやることがあるでしょ、と思う。
検査を受けたとしても、
それでも安心して産めるような、
バックアップ体制や情報とかを整ない限り、
障害者が生まれてこないような設計になる。
それが怖い。
社会がロボット人間ばっかりになる。
出来た人ばっかりになりそう。
でも、世界中のどこもそいういうことって進められている。
先進国は特に。
もっともっとその前にやることがあるんじゃないのと思う。
何度学会と話しても、
話がかみ合わないし、
いかにも「私たちも皆さんと同じ思いです」
とか言っておきながら、
止めることなくどんどん進めていることには怒りを覚える。
もちろん障害を持つ当事者として意思表示をすることや、
話し合っていくことはとても大事だけど
毎回同じ話をしていくのは無駄だなと思っているんだ。
ま:育てられないという思い込みや、
生まれてくるから前向きに環境を整えるための情報が
どこに行けばいいのかわからないし、
どうしたらいいのかわからないというのもあると思う。
出生前診断をする病院によっても、
カウンセリング体制やフォロー体制が全然違う。
「必ず検査を受ける前に
夫婦でカウンセリングを受けてください」
という病院もあるけど、
そうではないところもあるみたいだし。
結果的に検査では陰性だったけど、
生まれてきたら重い病気があったということもあれば、
陽性だったけど生まれてきたら障害はなかった、
ということもある。
検査は100%ではないし、
母体への負担もあるし。
み:それはずっと言われていたけど、
新型出生前診断はほぼ母体に影響がない。
採血だけ。
ま:(それだと検査を受けることが)すごく気軽になっちゃう。
み:そう。だから一気に間口が開いたの。
門が開いちゃったから、
すごい勢いで(出生前診断することが)加速していて、
その内の8~9割が何かしら異常が分かったら、
みんな産まないという選択をしているの。
ほとんど何も考えず、
それ(出生前診断)を受けるのが
出産前の当たり前の検査になるのが怖いことだと思う。
ま:私の知り合いでも、
子どもが生まれてきたときには障害がなかったけど、
そのあと原因不明の熱が出て
生死をさまよって命は助かったけど、
脳にも体にも障害を負ったという人がいる。
元気に生きていても事故等で体がうごかなくなることは、
誰にでも起こりうること。
それが生まれてくる前はさよならできるけど、
生まれて育ってきた後で起こったとき、
その命はどうするの?どう違うの?と思う部分もある。
私の夫は絶対に出所前診断を受けてほしい人。
何か異常が見つかったら産まないでほしいという人だから、
こういう話をするとかみ合わない。
み:一番しんどいのは女性。
産む側、産む女性に
すごく精神的な圧力と負担がかかる。
そこも問題。
「女性だけのこと」となっていて
男性には理解できないことが多い。
男性側の親には特に理解されない。
結局、そこで女性も生まないという選択をせざるを得ない。
そういう決断をしないと夫婦関係が悪くなっちゃうとか、
そいういうのはすごく多いと思う。
ま:女性側の負担になるんだ。
男性にはわからないことなんだね。
み:すべての男性とは言わないけど、
大半は仕事が忙しいしサポートできないとかね。
あとは「障害のある子はお金がかかる」
という国のあり方もどうかと思う。
バックアップがあまりないから、
負担もお金も時間もかかる。
だからどうしてもそういう選択をすることは、
自然なんだろうな・・・。
産める方法を考えてほしいというか、
そこの発想の転換。
「産めない」ではなく、
「産んだらどう育てて行けるかな」
というのを考えてほしいんだよね。
ま:診断を、命をどうするかではなくて、
どういう風に育てていくかを考える方向に持っていけたらいいね。
み:そうそう。
問題は、出生前診断に携わる医療側が
無知な部分があること。
例えば重度障害者がどういう生活をしているか、
どんな方法で生活しているかを全然知らない。
遺伝子カウンセラーたちも含めて、
医療的な観点からしか考えが及ばない。
地域に暮らしている人たちのことを全然知らない。
この前も
産科婦人科学会の人たちと話し合いがあったときに、
私たちは電動車椅子ユーザー4人で普通に電車で行ったの。
でも、待ち合わせ場所が、
産科婦人科学会が入っているビルの中の、
駐車場の広いスペース。
地下の荷物搬入口の駐車場のエレベーター前。
「なんでそんな場所なんだろう?」と不思議に思ったの。
そうしたら、
学会の人たちは私たちが寝たきりの状態で、
ストレッチャーに乗って車でくると思っていたの。
だから、
駐車場を下りたらそこのエレベーターが一番近いし、
大きいエレベーターがあるからそこを指定してきたんだろうね。
ま:気を利かせたつもりだったんだね。
み:いや、知らないってことだよね。
だから先天性の出生前診断の対象とされるような
重度障害者がここまで来ることは、
大それたことだという感じだったけど、
私たちにしてみれば、
それくらいの移動はへっちゃらじゃない?
ま:そうだよね。
海外旅行も行っているんだもん。
み:そう。
でも、そんなことは全然知られていない。
そういう話もよくするけど、
「それは限られたごくごく一部の人でしょ」みたいな捉え方。
そういう情報しか持っていない人たちが携わっているから、
(出生前診断を)受ける人たちは
「障害を持った子が生まれたら大変」
というイメージしか持たないと思う。
ま:そうだね。
たとえば出生前診断をして「陽性が出ました」
となったときに「いつまでに産むか産まないか決めてください」
ではなくて
「考えうる障害」
「それがどういうもので」
「どういうサポートが必要で」
「どういう支援が受けられるのか」
という提案をしてもらえれば(選択が)違うかもしれない。
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みいちゃんたちと学会の方たちのやりとり。
みなさんはどう思いましたか?
車いすで自由に動いている方たち。
それを全く想定せず、
親切心のつもりでしょうか?
駐車場のエレベーター前を待ちあ合わせ場所に指定する。
変な気を利かせずに、
建物の入り口で待ち合わせをした方が、
ずっと行きやすかったのです。
なぜ、こんなことが起こるのでしょうか?
知らないこと。
そして思い込み。
たった一言
「待ち合わせ場所はどこがいいですか?」
と聞けばいいのです。
「何で来ますか?車ですか?
広いエレベーターの方がいいですか?」
本人たちに確認すればいいのです。
私は今回、
みいちゃんの話を聞いて、
そう思いました。