『叫び』のムンクだって、こんな眩しい世界を描くことができた | 大阪高槻 昔話の山里にあなたのプライベートシート 古民家ギャラリーねこ福

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築130年古民家をリノベーション、自然に囲まれ季節を肌で感じて「大切なことを思い出す」空間作りをしています。大阪駅・京都駅から1時間以内、奇跡のアクセスで桃源郷へようこそ♪こだわりをもって過ごす交流の場、ゆったり内省する時間をどうぞ。猫さんも寄り添います。

 
ちょうど2年前、姪っ子の部屋に泊まりに行ったとき、
 
「えみねーちゃん、今わたしが一番好きな絵やねん、ムンクの……、」
 
デスク前に飾っていたポストカードを手にして近くまで見せに寄ってきました。
 
 
「『太陽』やろ。暗鬱な世界に精神を苛まれていた画家が、
晩年にこんな絵を描ける境地に至った、奇跡のような絵やな。」(私)
 
「え?えみねーちゃん知ってたの?」
 
 
 
知っていますとも、
わたしだってこの絵に深い深い思い入れをしていた過去がある。
 
 
 
血の繋がりって不思議なもので、
そうとは打ち合わせした過去もないのに、
話してみるとお互い同じものに熱烈に惹かれているということがある。
甥っ子とは、
知る人ぞしか知らないギターの神様Richie Kotzenにメロメロ同士だったりと。
 
 
 
 
 
 
今、東京で『ムンク展』が開催されていますね。
かの有名な『叫び』が来日しているとか。
 
 
 
 
20年前には京都でも彼の特別展がありました。
展示室で小さな子供が「こわい〜、こわい〜」と泣き叫んでいて、気の毒でした。
 
『そりゃそうでしょう…』
なんで無垢な子供をこんな世界に連れ込むのか、親の無神経さが計り知れずでした。
 
ムンクの世界ってそれくらい人間の精神の闇を追求して暗澹としています。
『叫び』とか、キャッチーで大衆受けするこなれ感がある方で、
多くの作品は、己の陰鬱感情をいかに剥き出にするかに試行錯誤した洒落にもならないモチーフ。
 
当時の展覧会は目玉になる作品はなく、ただただムンクの闇を探求することがテーマだった記憶です。再来日の作品も多そうなので、会場内の空気が想像できる…。
 
 
 
 
もしも、冒頭に紹介した『太陽』が来ているなら東京までも会いに行ったことでしょうが、残念ながら来ているのは同じモチーフの別の作品のようです。
というわけで、あえて上京までしてムンクの世界に再び立ち入ることはよしましょう。
 
 
わたしはムンクに太宰治が重なります。
文学者は思春期に太宰治に傾倒したことを恥じると聞きますが、
わたしの感覚で言うと「疲れる」。その世界はもういいよ…。
それくらい、その世界と向き合い消耗してきたので。
 
 
 
 
その昔、わたしはムンクの世界に生活していました。
『叫び』に出会ったのは中学時代、
『わたしはこの世界を知っている。』と感じました。
 
20年前の京都での展覧会の会場では、
『この画家の心理が手に取るように分かるけれど、もっと探求しなくては…。』
と、懸命に絵に同調しようとしていました。
 
なぜかというと、
画家がその後『太陽』の境地に至った心理ステップを
どうにかして解明したかったから。
 
 
 
そのお話はまたいつか《続き》でさせてください。
 
 
 
 
今このタイミングでムンク展が開催されていて、
『叫び』と、作品こそ違えど同じタイトルで極似の構図の『太陽』が並んで来日している。
 
物事の巡り合わせの不思議を思わずにはいられないのです。
 
 
強烈なインパクトを受けた作品だったのに、
社会人になって色々な刺激や価値観が自分の中に流入してきて、
いつしか過去になっていた。
絵に重ね合わせていた身近な課題からも目を逸らすようになっていた。
 
 
今回、ひっきりなしに入ってくる展覧会の評判などに目を通しているうちに、
 
そういえば…、
『太陽』に初めて出会った新聞記事を大切に切り抜いて、
護符のように定期入れに挟んでいたことを
じわじわと思い出してきました。
新聞の印刷クオリティですからお粗末なもだったのに、結構長い年月そうしてました。
 
それさえも忘れ去っていた心の変遷にもびっくりですが、
思い出すべきタイミングに絵の方からやってきてくれた不思議な巡り合わせに
メッセージを感じずにはいられないでいます。

 
詳しいことはまたいつか《続き》でお付き合いくださいませ。
 
 
 
私は行かないけど、今回の『ムンク展』は素晴らしい品揃えです。
みんながチャラける『叫び』の背景が笑えないこと、伝わってくると思いますよ。
…ん〜、それとも、今の日本人は皆同じ要素を抱えて自嘲しているということかな?
 
映像はお借りしました
 
 

続きがあります《続き》《完結》