豚生レバーの提供禁止と食中毒について(前編) | サリーの「おいしい」を科学する料理塾

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6月12日より、豚の生レバーの提供禁止がスタートします。
これに関して、SNSで発信したところ反応がそこそこあったので、
ブログでもまとめておこうと思います。
また、後編では時期柄、食中毒に関しても少し触れたいと思います。

このブログ、告知と料理の話が多く、
普段はあまり真面目なことを書いていないので少しびっくりされるかもしれませんが、
できるだけやわらかくかみくだいて書こうと思いますのでお付き合いください。


◆「新鮮なら大丈夫」ではない
さて、今回問題になっている「豚レバーの生食」
その危険性については以前から厚生労働省をはじめ、
様々なところから注意喚起がされていましたが、
この度、飲食店の提供が禁止されることとなりました。
厚生労働省HP:豚レバーの生食は、やめましょう

これに対して、
「うちは新鮮だから大丈夫。
 品質管理をきちんとしない業者のせいで規制されてしまった」

という意見を見かけることがあります。

しかし、豚のレバーについては、
新鮮でも品質管理をきちんとしても、生で食べたら危険なんです。


◆「時間が経って菌が繁殖したものを食べるとお腹壊す」だけが食中毒ではない
食中毒というと、
「肉や魚を放っておいたら、そこで菌が繁殖し、それを食べてお腹を壊す」
「だから、冷蔵庫で保管して早めに食べるのが良い」
というイメージが強いのではないでしょうか。

確かに、そのような仕組みで発生する/予防できる食中毒もあります。
しかし、食中毒の原因はもっと多様です。

細菌、ウイルス(この2つは似ているようで違います)、寄生虫。
フグ毒のように、食品自体がもともと毒性をもっていることもあります。
細菌が食品中で毒性のある物質を作り出すこともありますし、
食品中で増えた菌が体にはいって悪さをすることもあります。

少量でも体内に入れば、
あとは人の体の中で増えて、病気を引き起こすケースもあります。
これが、豚で問題になっているE型肝炎ウイルスです。
豚肉やレバーを生食することで、豚が持つウイルスを
自分の体内に取り入れて感染・増殖させてしまう恐れがあります。
症状が出ないケースもありますが、
1ヶ月以上経ってから症状が現れることもあります。
まれに重症化し、死に至ります。

また、豚の場合は寄生虫の問題もあります。
これもまた、もともと内部に存在していた寄生虫を
体に取り込んでしまうことで問題が生じるのですから、
新鮮さには意味がないわけです。(むしろ新鮮な方が寄生虫も元気かも…)

これが、豚肉を生で食べてはいけない主な理由です。
しつこいようですが、新鮮でも、丁寧に管理しても、危険なものは危険です。
必ず、加熱してから食べてください。


◆豚がダメなら…

ここで懸念されているのが、
「豚がダメならジビエで」と考える人がいるだろう、ということです。

そもそも、豚の生レバーが規制されるようになったのは、
牛の生レバー規制に伴い「牛がダメなら豚ならいいでしょ」と、
一部で豚の生レバーを食べるようになったからです。

「豚の生食なんてアリエナイ」だったはずが、いつのまにか
「禁止されてないってことは大丈夫?」となってしまったんですね。

これと同じことが、ジビエでも起こる可能性はあります。
しかしこれは、豚のように表立って問題になっていないから
「"まだ"規制されていない」というだけで、
ジビエの生食にはE型肝炎や寄生虫など様々なリスクがあります。
必ず、火を通して食べてください。



長くなってきたので
・加熱すればなんでもOK?気をつけるのは肉や魚だけ??
・食中毒を防ぐ「食品衛生の三原則」について
などについては、後編で書こうと思います。

規制される前に生レバ食べとかなきゃ!なんてことのないように取り急ぎ。

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